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アルムナイ採用支援サービスのおすすめ比較8選!サービスの選び方も解説

アルムナイ採用支援サービスのおすすめ比較8選!サービスの選び方も解説

近年、退職者を再び戦力として迎える「アルムナイ採用」が注目を集めています。

外部で経験を積んだ人材をミスマッチ少なく、短期間で活躍させられる点が魅力です。

また、多くの企業が制度化を進める中で、効率的な運用を支える専門サービスにも注目が集まっており、自社の目的や体制に適したサービスを選定することが成功の鍵。

この記事では、アルムナイ採用支援サービスのおすすめ8選を特徴・機能・運用支援の観点から比較し、自社に合う選び方と失敗しない導入手順を解説します。

サービスを上手に活用し、自社に最適な“つながり型採用”を実現しましょう。

アルムナイ採用とは?

アルムナイ採用とは、一度退職した社員を再び雇用したり、業務委託・紹介・プロジェクト協業などの形で継続的につながりを持つ採用・関係構築の仕組みです。

一般的な中途採用が「新しい人材を外部から迎える」のに対し、アルムナイ採用は「自社をよく知る元社員との再接点を活かす」点に特徴があります。

一度自社に所属していた経験があるため、退職者はすでに企業文化や業務フローを理解しており、再入社後のミスマッチが少なく、短期間で戦力化しやすい点が強み。

また、退職者が外部や他企業で培った経験や知見、人脈を自社に還元することで、新たな価値の創出やイノベーションの推進にもつながります。

企業は、採用・教育コストの削減信頼関係に基づく円滑な再雇用が可能になり、個人にも安心できる環境で再挑戦できる機会を得られる、双方にメリットのある採用手法といえます。

アルムナイ採用支援サービスの選び方

アルムナイ採用支援サービスの選び方

アルムナイ採用を効果的に進めるには、制度を整えるだけでなく、自社の目的や課題、組織体制に合った支援サービスを見極めることが重要です。

サービスごとに得意分野や機能、サポート体制が異なるため、目的に合わないツールを選ぶと、せっかくの仕組みが定着しないケースもあります。

ここでは、導入前に確認しておきたいポイントや、比較・選定の基準をわかりやすく紹介。

採用適性を確認する

まず自社の採用スタイルや文化にどの程度フィットするかを見極めることが重要。

導入を急ぐのではなく、現状の採用課題を整理し、アルムナイ採用によって何を解決したいのか、どんな成果を得たいのかを明確にしておきましょう。

例えば、次のような課題を抱える企業では、アルムナイ採用が特に有効です。

アルムナイ採用が効果を発揮する課題

  • 即戦力人材を早く採用したい
  • 採用・教育コストを抑えたい
  • 定着率を高めて人材の循環を良くしたい

アルムナイ採用は、大きく次のような種類に分けられます。

アルムナイ採用の種類

  • 即戦力型:退職者を再雇用して現場で活躍してもらうスタイル
  • ネットワーク型:関係を維持し、将来の採用や協業につなげるスタイル

どちらを重視するかによって、活用すべきサービスや運用方法も変わってきます。

また、導入効果を高めるには、再雇用規定やアルムナイ登録制度、コミュニティ運営体制などの社内仕組みを整えておくことも大切。

制度と文化の両面から適性を確認し、柔軟な発想で仕組みを設計することで、自社の採用課題や組織特性に合ったアルムナイ採用を実現できます。

目的と課題を整理する

まず、「なぜ導入するのか」という目的を明確にすることが、最初のステップ。

アルムナイ採用の導入目的を曖昧なまま進めてしまうと、サービス選定の軸がぶれ、導入後に十分な成果を得られない可能性があります。

アルムナイ採用の目的は、主に次の4つの方向性に整理できます。

主な目的例

  • 再雇用の促進:
    即戦力人材をスピーディーに確保したい企業向け。離職後の人材データを整理し、最適なタイミングで再アプローチできる仕組みが必要です。
  • リファラル採用の強化:
    退職者のネットワークを活用し、信頼性の高い紹介を増やしたい場合に有効。紹介制度や推薦機能を備えたサービスが適しています。
  • ネットワーク維持:
    離職後に関係が途切れてしまう課題を解消し、継続的なつながりを保つ目的。コミュニティ機能や情報発信機能の充実が重要です。
  • ブランド向上:
    社員が「また戻りたい」と思える環境づくりを通じて、企業イメージを高めたいケース。アルムナイの体験価値を重視した運用支援が求められます。

このように、目的ごとに解決すべき課題(関係断絶・採用コスト増・データ管理不足など)や、求められる機能が異なり、再雇用を重視する企業と、ブランド構築を目的とする企業とでは、選ぶべきサービスの方向性もまったく違います

どの目的を優先するかを整理し、それに合ったサービスを選定することが、成功に導く鍵。

必要要件を策定する

効果的に運用するためには、目的に応じた必要要件の策定が欠かせません。

関係維持・再雇用・企業ブランディングなど、目的によって必要な機能や体制が異なります。

例えば、退職者情報を一元管理するデータベース管理、情報を定期配信するメッセージ配信、求人との照合を行うマッチング機能、イベントの企画・管理を行うイベント運用機能、効果を可視化する分析機能などが代表的です。

導入初期は、関係維持を目的にデータ管理や配信機能を中心に整備し、中長期的にはマッチングや分析などを追加して戦略的な活用へと発展させることが理想。

また、運用には人員・予算・データ整備のリソース確保も欠かせません。

担当部署の明確化や運用体制の構築を行い、ツール運用の責任範囲とフローを整理することで、段階的な拡張を見据えながら、無理のない運用と継続的な成果の両立を実現できます。

比較基準を設定する

サービスの導入時には、明確な比較基準を設定して検討を行うことが重要です。

サービスごとに特徴や得意領域が異なるため、複数の観点から評価軸を整理することで、自社に最適なサービスを選定しやすくなります。

代表的な比較基準としては、価格機能UI/UX導入企業規模サポート体制セキュリティなどが挙げられ、とくに費用対効果と運用のしやすさの両立は選定時の重要な視点。

導入費用が低くても、操作性が悪かったり運用負担が大きい場合は、活用が定着せず、また、導入企業の実績コミュニティ活性支援の有無など、実務面で差が出やすい項目も重視すべき。

例えば、イベント開催や情報発信をサポートしてくれるサービスは、長期的な関係構築に有効。

こうした多角的な基準をもとに比較検討を行うことで、短期的な導入効果だけでなく、継続的な関係維持と再雇用促進につながる仕組みづくりを実現できます。

トライアルを実施する

アルムナイ採用支援サービスの導入を検討する際は、事前のトライアルやデモを通じて実際の運用感を確かめることが極めて重要です。

表面上の機能比較だけでは分からない、操作の快適さやサポート品質を体感することで、自社の要件を満たせるのか、また導入後のミスマッチを防ぐことが可能。

トライアルでは、まず操作性やメンバー登録のしやすさ、サポート対応のスピードと的確さを重点的に、現場目線でも徹底的に確認します。

その上で、一定期間の利用結果をもとに、登録率・稼働率などの定量的データと、「使いやすさ」「管理画面の分かりやすさ」などの定性的な評価を組み合わせて比較することが効果的。

また、トライアル中にサービス担当者との打ち合わせやデモ説明を行い、運用中の支援体制やカスタマイズ対応の柔軟さを確認することも大切です。

これらのステップを踏むことで、自社の体制・目的に最も適したサービスを選定でき、導入後の定着率と効果を大きく高めることができます。

おすすめのアルムナイ採用支援サービス8選

自社の目的や運用体制に合った支援サービスを選ぶことが大切です。

ここでは、特徴や機能が異なるアルムナイ採用支援サービスを紹介します。

自社に最適なツールを見つける参考にしてください。

オフィシャル・アルムナイ

オフィシャル・アルムナイは、企業と退職者の関係を長期的かつ戦略的に維持・発展させることを目的とした、クラウド型のアルムナイプラットフォーム。

名簿管理やクローズドSNS機能、イベントの企画・運営、アンケートの実施やデータ分析など多彩な機能を備え、退職者同士および企業との双方向のつながりを円滑にします。

さらに、導入から運用定着までを支援する専任コンサルタントが伴走し、企業の文化や体制に合わせて最適なコミュニティを構築できる点が大きな特長で、高いセキュリティ基準を満たしながら、再雇用・協業・ブランド強化など多方面でのアルムナイ活用を可能にします。

こんな企業におすすめ

  • 退職者との関係を維持し、再雇用や業務連携につなげたい
  • 社外ネットワークを活かしてブランド力や採用力を高めたい
  • アルムナイコミュニティを戦略的に運営し、長期的な価値創出を目指したい
  • 導入から運用まで専門家の支援を受けながら安定的に運用したい

ResumeX

ResumeX

参考:ResumeX

ResumeXは、企業と退職者・内定辞退者・元アルバイトなど、幅広い関係者とのつながりを維持・再構築できるアルムナイ・ネットワーク構築支援サービスです。

クラウド上で人材データを一元管理できる仕組みを備え、コミュニティ形成から再アプローチ、再雇用・副業・業務委託の機会創出までをトータルに支援します。

退職者データベースとコミュニティ運営機能を連携させることで、人的ネットワークを企業資産として継続的に活用できる点が特徴で、シンプルなUI設計と柔軟なカスタマイズ性により、社内運用負担を最小限に抑えながら、広報・採用・事業連携など多面的な活用が可能。

こんな企業におすすめ

  • 退職者・内定辞退者などとの関係を継続し、人材プールを戦略的に活用したい
  • 再雇用・副業・プロジェクト参画など多様な人材活用を促進したい
  • アルムナイ施策を採用・広報・事業開発など複数部門で横断的に展開したい
  • 運用コストを抑えながら、柔軟にカスタマイズできるプラットフォームを求める

YELLoop

YELLoop

参考:YELLoop

YELLoopは、マイナビが提供するアルムナイ(退職者・OB・OG)と企業との継続的な関係づくりを支援するコミュニティ型クラウドサービスです。

専用SNSとして機能し、プロフィール登録・記事投稿・グループチャット・ビジネスマッチングなどを通じて、退職者と現役社員・企業の間で双方向の交流ができます。

さらに、企業側には投稿管理やチャット履歴確認など運用管理機能が提供され、退職者を活用した「カムバック採用」「リファラル採用」「協業機会創出」にも対応し、e-GIFTと交換可能な「YELLポイント」などインセンティブ制度も備え、アルムナイの参加モチベーション向上にも寄与。

こんな企業におすすめ

  • 退職者とのつながりを活かしてカムバック採用やリファラル採用を検討している
  • 業務委託・ビジネスマッチングといった多様な関係構築を通じて人的資産を活用したい
  • 現役社員・退職者双方のネットワークを活性化し、ブランド強化・採用力強化を図りたい
  • 専用SNSによる交流・投稿機能を通じて、双方向コミュニケーションを促進したい

My Talent

My Talent

参考:MyTalent

My Talentは、クラウド型タレントアクイジション(TA)プラットフォームで、採用候補者・退職者・辞退者・社外タレントなど、多様な人材データを一元管理できるサービスです。

単なる候補者管理にとどまらず、メール開封やサイト訪問などの行動データを自動スコアリングし、最適なタイミングでアプローチできる点が特徴。

また、既存のATS(採用管理システム)や各種チャネルとのデータ連携にも対応しており、採用活動全体の効率化と候補者体験の向上を同時に実現します。

さらに、タレントプールの構築により、短期採用だけでなく中長期的な人材リレーションの形成を支援し、退職者や過去応募者を将来的な人材資源として活用する仕組みを整えています。

こんな企業におすすめ

  • 退職者や辞退者などとの関係を継続し、再アプローチや再雇用につなげたい
  • 採用候補者データを資産化し、スコアリングによる戦略的な採用を実現したい
  • ATSや各種採用チャネルと連携し、採用業務を効率化したい
  • 長期的な人材プールを構築し、将来的な採用コスト削減や採用力強化を図りたい

Alumy

Alumy

参考:Alumy

Alumyは、企業とタレント(退職者・選考参加者・キャリア登録者など)との関係性を資産化し、理想的なタイミングで協働機会を創出するタレントプール構築支援サービスです。

企業がこれまで接点を持った人材とのつながりを途切れさせず、無料の管理システムと専任コーディネーターによる運用サポートを通じて、タレントの経歴・希望条件・行動ログなどを一元管理し、企業側・タレント側双方の最適なマッチング実現を図ります。

さらに、初期費用や月額利用料は無料で、成果報酬型の料金設計により導入ハードルを抑制しながら、「カムバック採用」「辞退者活用」「アルムナイ関係の長期活用」など多様な活用を可能とする体制を整えている点が大きな特徴。

こんな企業におすすめ

  • 退職者など、既に接点を持った人材を再活用し、採用チャネルとして構築したい
  • 候補者との関係を途切れさせず、将来的な採用・協業の可能性を高めたい
  • 採用リソースが限られた中でもタレントプール運用を効率的に進めたい
  • カムバック採用などを通じて自社ブランド強化・人的資産活用を図りたい

airy for alumni

airy for alumni

参考:airy for alumni

airy for alumniは、EDGE株式会社が提供する、退職者や選考辞退者と企業との継続的なコミュニケーションを支援するクラウド型コミュニティプラットフォームです。

退職後もタレントとしてつながりを維持できるよう、スマートフォンアプリを通じた情報発信・プッシュ通知・チャット機能・プロフィール登録など、運用しやすく設計された機能を完備。

例えば、社内の求人情報や企業の近況を手軽に配信でき、タイムライン形式で閲覧できるため、アルムナイ側のログイン頻度を高め、ネットワークを活性化させる効果があります。

さらに、導入実績が豊富で、手軽な発信ときめ細かな管理の両立を可能にしており、定着化までフォローする運用支援体制も特徴です。

こんな企業におすすめ

  • 退職後も自社とのつながりを保ち、カムバック採用やプロジェクト参画を促進したい
  • 離職率が高めで、選考辞退者や前職社員との関係を資産化したい
  • スマホアプリや通知機能などで、タレントへの接点を継続的に維持したい
  • 運用リソースを抑えつつ、アルムナイネットワークを活性化させたい

いっと

いっと

参考:いっと

いっとは、退職者との関係を単に保つだけでなく、彼らが感じた“本音”を丁寧にヒアリングし、企業の組織改善やアルムナイ活用に結びつけることを目的としたサービスです。

専門のインタビュアーが退職者一人ひとりへ深掘り取材を実施し、その内容を分析したレポートとともに改善点を提示し、さらにタレントプール化によって、再雇用希望者の確認・紹介までワンストップで実施できる点が大きな特徴。

成果報酬型の料金体系によって、採用実績が出た段階でのみ費用が発生するため、コスト管理の観点でも導入しやすく設計されています。

こんな企業におすすめ

  • 退職者の“本音”を活用して職場環境や人事制度を改善したい
  • カムバック採用やアルムナイ採用の前段階として、まず環境整備から取り組みたい
  • 再雇用よりも、まず退職理由や組織改善に焦点を当てたい
  • 採用コストを抑えつつ、データに基づいたアルムナイ施策を始めたい

Wantedly

Wantedly

参考:Wantedly

Wantedlyは、企業と人材が「給与や待遇」ではなく「ビジョン・価値観・共感」によってつながることを主軸とした、ソーシャルリクルーティングプラットフォームです。

求人掲載だけでなく、企業側は自社のストーリーやカルチャーを発信し、働くメンバーの姿を通じて自社の魅力を自然な形で伝えることが可能。

登録ユーザー数・掲載企業数ともに多く、ダイレクトスカウトやコミュニティ的な機能も備わっており、単なる「採用媒体」以上の価値を提供しています。

こんな企業におすすめ

  • 自社のミッション・ビジョン・カルチャーを軸にした採用を強化したい
  • 若手やクリエイティブ職、エンジニア職など「共感で動く」人材をターゲットにしたい
  • 採用担当が複数チャネルを使い分けており、広報的要素を持つ採用手法を導入したい
  • 採用単価を抑えながらも自社ブランドを高め、候補者との長期的関係を構築したい

アルムナイ採用のメリット

アルムナイ採用のメリット

アルムナイ採用には、企業と退職者の双方にとって多くの利点があります。

ここでは、アルムナイ採用の主なメリットを3つ紹介します。

即戦力をスピーディーに再雇用

アルムナイ採用の魅力は、入社後すぐに力を発揮できる即戦力を確保できることです。

退職者はすでに社風や仕事の進め方を理解しているため、環境に慣れるまでの時間が短く、スムーズに業務へ取り組めます。

一般的な中途採用では戦力化までに3〜6カ月かかるといわれますが、アルムナイの場合はその期間を半分ほどに抑えられるケースもあり、また、過去の経験に加えて、他社で培ったスキルや視点を持ち帰ることで、新しい価値を生み出せる点も特徴。

たとえば、営業職として転職した元社員が再入社後に最新の提案手法を導入し、チーム全体の成果向上につなげるケースもあります。

このように、アルムナイは「自社を知る安心感」と「外で得た新しい知見」の両方を備えた人材

再雇用することで、即戦力としての貢献と組織の成長を同時に実現できます。

採用・教育コストの削減

アルムナイ採用の大きなメリットは、採用と教育にかかるコストを大幅に抑えられることです。

企業は退職者に直接声をかけることが多く、求人広告や人材紹介サービスを利用せずに採用できるため、採用費を約3分の1程度に削減できるケースも。

また、アルムナイはすでに自社の文化や業務の流れを理解しているため、研修やOJTにかかる教育コストも軽減されます

一般的な新入社員の場合、業務に慣れるまで3カ月以上かかることがありますが、アルムナイであればその期間を半分以下に短縮できることもあり、さらに、組織風土や人間関係を理解した上で再入社するため、定着率が高い点も魅力。

早期離職のリスクが低く、採用・教育にかけたコストを中長期的に最小化できます。

このようにアルムナイ採用は、即戦力の確保とコスト削減を両立できる仕組みとして、多くの企業で注目を集めています。

新たな知見とネットワークの獲得

アルムナイ採用のもう一つの魅力は、新たな知見とネットワークを企業にもたらすことです。

退職後に別の企業や業界で経験を積んだアルムナイは、新しいスキルや考え方を身につけています。

その知見を持ち帰ることで、組織に外部の視点を取り入れ、イノベーションを生み出すきっかけとなります。例えば、異業種でデジタルマーケティングを担当した元社員が戻ることで、社内に新しい手法が導入され、業務改善や顧客開拓が進むケースもあります。

このように、アルムナイがもたらす“外の風”は、社内に刺激を与え、柔軟な発想や変革を促します。

さらに、アルムナイ同士や現役社員とのネットワークを維持することで、新たなビジネスチャンスの創出にもつながり、退職後のつながりが企業間の協業や取引のきっかけとなることも少なくありません。

単なる人材確保ではなく、組織に新しい視点と広がりをもたらす投資といえるでしょう。

アルムナイ採用のデメリット

アルムナイ採用のデメリット

アルムナイ採用には多くの利点がありますが、注意すべき課題も存在します。

ここでは、アルムナイ採用の導入前に知っておきたい主なデメリットを紹介。

退職ハードルが下がるリスク

アルムナイ採用には多くの利点がありますが、退職のハードルが下がるリスクも意識しておく必要があり、再雇用の仕組みが整っていることで、「辞めても戻れる」という安心感が生まれ、結果として離職を後押ししてしまう可能性があるためです。

特に若手社員の場合、キャリアの模索段階で「まずは外の世界を見てから戻ればいい」といった軽い判断につながることもあります。

このような状況が続くと、組織全体の定着率や人材育成の効率に影響を及ぼすおそれがあります。

ただし、このリスクは制度設計によって防ぐことが可能

リスクを防ぐための制度設計

  • 再雇用の基準を明確に定めること
  • 復帰時の評価ルールを整備すること

具体的には、再入社の際にスキルや経験を再評価し、条件を透明化する仕組みを導入することで、安易な離職を防げます。

アルムナイ制度は「出戻り歓迎」の文化を育てる仕組みではなく、経験を積んだ人材が再び活躍できる道を開く仕組みとして運用することが大切です。

待遇・評価の不公平感

アルムナイ採用では、待遇や評価の不公平感が生まれるリスクにも注意が必要。

再雇用された元社員が、現職社員よりも高い給与や役職で復帰した場合、チーム内に不満や不信感が生じる可能性があります

特に中堅層やベテラン社員の再雇用では、職務経験の評価基準が曖昧だと、周囲とのバランスを欠く結果になりかねません。

外部で得たスキルを評価され、復帰時に管理職として再入社したケースでは、「自分たちより優遇されている」と感じる社員が出ることも。

こうした不満は、チームのモチベーション低下や組織全体の連携不良につながり、このリスクを防ぐには、評価基準と給与テーブルを明確にし、透明性を確保することが欠かせません。

再雇用の際は、どのスキルや成果をどのように評価するのかを社内に共有し、現職社員との納得感を得ることが大切です。

アルムナイ採用を成功させるためには、待遇の差を生まない公平な仕組みづくりをしましょう。

関係維持にかかるコスト

アルムナイ採用をうまく活用するには、退職者とのつながりを維持するための手間やコストがかかる点も理解しておくことが大切です。

アルムナイとの関係は一度築いて終わりではなく、定期的なコミュニケーションや情報更新を続けていく必要があり、例えば、メール配信やSNSでの近況発信、交流イベントの開催などは、企画から運営まで時間や人手を要します。

また、個人情報を扱う以上、データの管理体制やセキュリティ対策にも一定のコストが必要。

これらを怠ると、関係が自然消滅してしまうおそれもあります。

ただし、最近ではアルムナイ専用の管理ツールや支援サービスを活用することで、運用を効率化する方法も増えており、情報発信や登録管理を自動化できる仕組みを導入すれば、負担を抑えながら関係を継続することが可能です。

こうした運用コストは短期的には負担に見えるかもしれませんが、長い目で見れば人材との信頼を守り、企業の資産を育てるための大切な投資といえるでしょう。

アルムナイ採用を成功させるポイント

アルムナイ採用を成功させるポイント

アルムナイ採用をうまく進めるには、仕組みを整えるだけでなく、人とのつながりを大切にした運用が欠かせません。

ここでは、アルムナイ採用を成功させるポイントを4つ紹介。

受け入れ文化の醸成

アルムナイ採用をうまく進めるには、退職者をあたたかく迎えられる社内の雰囲気づくりが欠かせず、制度を整えるだけではなく、「また戻りたい」と思える空気を育てることが大切です。

受け入れ文化を育てるためのポイントは、次のとおりです。

受け入れ文化を育てるためのポイント

  • 安心して戻れる環境をつくる
    現職社員がアルムナイを自然に受け入れられる雰囲気を整えましょう。過去の貢献を認め、新しい経験を前向きに評価することで、お互いに気持ちよく働けます。
  • 経営層や上司からのメッセージ発信
    経営層が「また一緒に働けるのをうれしく思う」といった姿勢を言葉で伝えることが、社内の理解を深めるきっかけになります。
  • 再入社を歓迎する仕組みを整える
    「おかえり会」や「社内紹介制度」など、復帰後にすぐ馴染める工夫を取り入れると、安心してスタートできます。

こうした取り組みを積み重ねることで、アルムナイが“戻ってきてよかった”と感じられる企業文化が育ちます

退職時からの関係継続

アルムナイ採用を長く続けるためには、退職してから関係を作り直すのではなく、退職のタイミングからつながりを保つことが大切。

退職を「終わり」ではなく「新しい関係のはじまり」と考えることで、自然に信頼関係を育てていけ、例えば、退職時にアンケートを行い、今後のキャリアの方向性やアルムナイ登録の意向を聞いておくのも一つの方法です。

その後は、定期的にニュースレターを送ったり、OB・OG向けの交流会を開いたりして、ゆるやかに連絡を取り続けましょう。

こうした小さな接点の積み重ねが、退職者に「また一緒に働きたい」と思ってもらえるきっかけになります。

ネットワーク活用と交流促進

アルムナイ採用をより活かすためには、退職者同士や現職社員とのつながりを育てることが大切。

人のつながりが広がることで、採用やビジネスの場面でも新しいチャンスが生まれます。

例えば、OB・OG会のような交流イベントを定期的に開いたり、オンラインコミュニティやSNSグループで気軽に近況を共有したりする仕組みをつくると効果的です。

場所を選ばずコミュニケーションが取れる環境があると、関係が自然に続きやすくなります。

このようなつながりから、新しい採用のきっかけや仕事上のコラボレーションが生まれることもあり、また、アルムナイが自社の魅力を外に伝える“アンバサダー”的な存在になることも少なくありません。

企業とアルムナイが緩やかに関わり合うことで、人とのつながりが新しい価値を生み出す循環が育っていきます。

再雇用後のオンボーディング設計

アルムナイ採用を円滑に進めるには、再雇用後のオンボーディングを丁寧に設計することが重要。

たとえ自社をよく知る元社員であっても、組織体制や制度、ツールの使い方などは以前と変わっていることが多く、改めてキャッチアップする時間が必要です。

再入社時には、最新の社内ルールや人員構成を共有するほか、社内システムやツールの再トレーニングを行うとスムーズに業務へ移行できます。

また、配属先でのメンター制度を取り入れることで、早い段階からチームに馴染みやすくなり、さらに、歓迎ランチやカジュアルな交流会などを設けると、社内に温かい雰囲気が生まれます。

こうした工夫によって、アルムナイが「戻ってきてよかった」と感じられる環境が整い、再雇用の定着率や成果発揮のスピードを高める効果が期待できます。

アルムナイ採用の導入時によくあるQ&A

アルムナイ採用を導入する際には、進め方や制度設計など、気になる点も多いものです。

ここでは、企業が導入時によく抱く疑問を分かりやすく解説します。

アルムナイ採用支援サービスを導入すべき企業とは?

アルムナイ採用支援サービスは、離職率が高い業界や専門職が多い企業に特に効果的です。

退職者と継続的に関係を築くことで、必要なタイミングで即戦力をスムーズに再雇用できます。

とくに、成長期の企業やプロジェクト型の組織では導入効果が高く、採用だけでなく協業や人材紹介など、新たなビジネスチャンスにもつながります。

アルムナイ採用とリファラル採用は何が違うの?

アルムナイ採用は、自社を退職した元社員を再び迎え入れる制度です。

一方、リファラル採用は、現職社員が知人や友人を推薦して採用につなげる仕組み

どちらも信頼関係をもとにした採用ですが、アルムナイ採用は社風理解や即戦力性が強みであり、リファラル採用は新しい人材との接点を広げられる点が特徴です。

アルムナイ採用は中小企業でも効果がありますか?

アルムナイ採用は、中小企業にとっても十分な効果が期待できる制度です。

採用コストを抑えられるうえ、元社員の経験や社風理解を活かせるため、教育期間を短縮できます。

知名度に左右されにくく、信頼関係をもとに安定した採用を行えるのも魅力。

アルムナイ採用はサービス選びで変わる

アルムナイ採用を成功させるためには、まず自社の目的や課題に合ったサービスを選定することが欠かせず、再雇用の促進を重視するのか、それともネットワーク構築やブランド向上を目指すのかによって、選ぶべきツールの方向性は大きく異なります。

また、導入後のサポート体制やセキュリティ面も、安心して長期的に運用するための重要な要素。

信頼性の高いサービスを選ぶことで、退職者との関係を継続的に育てられ、採用や協業、情報発信など、さまざまな場面で新たな価値を生み出すことができます。

WRITERライター情報

プロフィール画像

執筆者

金田大和

株式会社b&q 執行役員

横浜国立大学卒。プロップテック企業にて、リテンションマーケティング事業や人事コンサルティング事業の立ち上げ、事業責任者として推進。その後、代表高稲とb&qを共同創業し、現在は執行役員として、多くの企業にHRを通じて本質的な価値を届けるべく、コンサルティング事業を含む複数のHR事業を管掌。これまでのキャリアを通じて合計500社以上の人事と対話し採用/組織改善を図る。