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採用戦略コンサルティングとは?サービス内容や費用相場を徹底解説

採用戦略コンサルティングとは?サービス内容や費用相場を徹底解説

「求人を増やしても応募が来ない」「コストばかり膨らむ」——このような悩みは、部分的な改善では解決しません。原因は手法でなく、根本的な“採用設計”そのものにあるためです。

しかし、日々の業務に追われる中で、戦略をゼロから見直すのは容易ではありません。

そこで活用したいのが「採用戦略コンサルティング」。

これは単なる数合わせではなく、経営戦略を起点に「獲得から定着までを仕組み化する」専門サービスです。課題の特定から実行までを採用のプロが確実な成果へと導きます。

本記事では、具体的な支援内容から費用相場、失敗しない選び方までを解説。「場当たり的な採用」から「再現性のある仕組み」へ変えるためのヒントとしてご活用ください。

目次

採用戦略コンサルティングとは?

採用戦略コンサルティングとは、企業の採用活動を上流工程(戦略策定)から設計し、採用の方向性を明確にして採用成功へ導く専門サービスです。

単に人手不足を埋めるための活動ではなく、経営課題や事業計画をもとに、求める人物像の定義、市場分析、KPI設計などを戦略的に組み立てる点に特徴があります。

よく比較される「採用代行(RPO)」が、日程調整や応募者対応といった実務の遂行をメインとするのに対し、採用戦略コンサルティングは「どう戦うか」という戦略・分析・設計に強みを持ちます。(※近年は、実務と戦略の両面を一貫して提供するハイブリッド型の採用代行も増加)

採用戦略コンサルティングの最大の価値は、場当たり的な「数合わせ」から脱却し、中長期的な事業成長を支える「人材ポートフォリオ」を構築できる点。

社外の第三者の視点で組織課題を構造的に捉え、優先すべき施策を明確にすることで、採用活動の精度と再現性をアップデートします。

採用戦略コンサルティングの主なサービス内容

採用戦略コンサルティングの主なサービス内容

単なる「作業代行」とは異なり、採用ブランディングの構築、データ活用、選考プロセスの改善、担当者の育成など、採用力そのものを総合的に底上げする支援が中心。

ただし、企業規模やフェーズによって、優先すべき施策は大きく異なります。自社にとって必要なサポートは何なのか。明確にすることが重要。

ここからは代表的な支援内容を整理し、導入を検討する際の判断材料を示します。

採用戦略の立案・設計支援

採用戦略の立案は「いつまでに・どのポジションで・どのような人材を、どれくらい採用するのか」を明確にすることから始まります。

単に人数や時期といった定量面を決めるだけでなく「経験・スキル・価値観・行動特性」といった定性面までを含め、「採用のゴールイメージ」を詳細に描くプロセスです。

これにより、場当たり的な募集ではなく、経営戦略と人材戦略を強固に結びつける役割を実現。

具体的には、まず経営陣や人事へのヒアリングを通じて、採用課題や組織の現状を整理。そのうえで、市場動向や競合状況、候補者の動きを分析し、最適なターゲットとアプローチ手法を設計。

さらに、採用人数・単価・選考通過率・定着率などのKPIを定めたうえで、優先順位とスケジュールを網羅した実行ロードマップへと落とし込みます。

こうした戦略設計があれば、目先の欠員補充に追われる状況から脱却できます。

「中長期的にどのような組織を作りたいか」という視点で計画的に人材を獲得できるため、採用活動が事業成長を支えるための「攻めの取り組み」として機能しはじめるのです。

採用ブランディングの構築支援

採用ブランディングは、単に自社の情報を発信するだけのものではありません。

自社ならではの価値(EVP)」を一貫したストーリーとして届け、候補者から「選ばれる理由」をつくるための重要な取り組みです。

採用戦略コンサルティングでは、まず企業の現状を深く分析し、強みや独自性を言語化するところからスタート。社員へのインタビューや企業理念、働き方の実態など、多角的に情報を収集し、ブランドの核となる「コンセプト」を明確に定義します。

そのうえで、採用サイト・求人媒体・SNS・Web広告など、あらゆるチャネルでメッセージを統一。

候補者が企業を知る“最初の一歩”から“応募を決める瞬間”までの体験(CX)全体を設計し、「認知→興味→共感」というプロセスが自然に生まれる導線へと磨き上げます。

ここでは発信のトーンや写真の選び方まで精査し、企業らしさが誤解なく伝わる表現を徹底します。

また、ブランディングは一時的な発信で終わらせないことが鍵。情報更新の頻度やテーマ設定、社員を巻き込む体制づくりなど、無理なく継続できる運用ルールまでをサポート。

こうした一連の取り組みを通じて、採用ブランディングは企業の魅力を伝える確かな資産となり、応募の「質と量」を安定的かつ長期的に高めることにつながります。

採用プロセスの設計・改善支援

採用プロセスの設計・改善支援は、まず現行の選考フローを分解し、どこで歩留まり(離脱)が発生しているかを「数値で可視化」することから始まります。

書類通過率、面接辞退率、内定承諾率などの指標を詳細に分析することで、感覚だけでは気づけない「採用のボトルネック」を特定。課題が明確になれば、選考ステップの省略、評価項目の再定義、コミュニケーションの見直しなど、打つべき施策も具体的になります。

ここで欠かせないのが「候補者の不安やストレスを取り除く」という視点。

日程調整の効率化や、迅速な合否連絡の仕組みを整えることは、社内工数の削減だけでなく、候補者体験(CX)の向上に直結します。とくに、選考スピードの遅さは辞退の最大要因となるため、プロセス短縮は非常に効果的な施策です。

こうしたデータに基づく改善は、単なる効率化に留まりません。評価基準の統一により面接の質が安定し、入社後のミスマッチ防止にも寄与します。

最終的には「速く、正確で、迷わせない」選考プロセスへと進化し、採用ROI(投資対効果)を最大化させる、企業の基礎体力を高める取り組みとなります。

母集団形成・チャネル戦略支援

採用コンサルティングによる母集団形成支援では、まず「どの経路(チャネル)を使えば、ターゲット人材に最短で出会えるか」を徹底的に整理します。

求人媒体、スカウト、人材紹介、リファラル、SNS……。選択肢が無数にある中で、自社の職種やフェーズに最適な組み合わせを見つけ出すのは容易ではありません。

コンサルタントは、市場データや過去の採用実績を分析し、ターゲット属性ごとに最も効果的なアプローチを設計。

例えば、若手エンジニアなら「転職サイト×ダイレクトリクルーティング」、管理職候補なら「人材紹介×ヘッドハンティング」といったように、ポジションごとの勝ち筋を描きます。

さらに、リファラルやSNSを組み合わせることで、広告費に依存しすぎない持続可能な採用モデルも構築可能です。

ここで重要なのが、「応募数(量)」だけでなく「マッチ度(質)」もシビアに見極める視点。

チャネルごとの通過率や採用単価を比較検証し、効果の薄い施策をカット。

浮いた予算を有効な経路へ集中投下します。

こうしたPDCAを回すことで、「質と量の確保」と「採用コストの最適化」を両立させる、筋肉質なチャネル戦略が完成します。

採用データ活用・ROI/DX支援

採用データ活用・ROI/DX支援の目的は、採用活動を数値で捉え、勘や経験だけに頼らない「根拠ある意思決定」ができる状態を作ることです。

まずは、応募数、歩留まり、内定承諾率、定着率といったKPIを整理し、自社が追うべき重要指標を定義。そのうえで、チャネルごとの採用単価や成果を可視化。分析結果をダッシュボード化することで、経営層と現場が同じ数字(共通言語)を見て議論できる土台を整えます。

さらに一歩進んで、採用ROI(投資対効果)の観点を導入。

単に「採用コストを下げる」のではなく、「入社後の活躍」までを含めた価値を算出し、投資すべきチャネルや職種にメリハリをつける戦略的な予算配分を実現します。

また、こうしたデータ運用を支えるのが「採用DX」です。ATS(採用管理システム)やタレントプール、オンラインツールを連携させ、活動データが自動で蓄積される仕組みを構築。

リアルタイムで状況を把握できれば、辞退率の悪化などの予兆にも即座に手を打てます。

「現場の工数削減」と「成果の最大化」を、データの力で同時に実現する点に、この支援の大きな価値があります。

採用担当者の教育・育成支援

採用担当者の教育・育成支援は、企業が外部パートナーに頼り切りになるのではなく、将来的に「自走できる採用組織」をつくるための重要な取り組み。

コンサルタントは、面接官トレーニングやKPI管理研修、要件定義ワークショップなどを通じて、担当者の「選球眼(見極め力)」と「設計力」を養います。

とくに、面接基準の統一や候補者体験(CX)の向上は、採用活動の属人化を防ぎ、誰が担当しても安定した成果を出せる体制を作るうえで欠かせません。

また、人事と現場(配属部署)の連携をスムーズにするためのコミュニケーション手法や、数値をベースに改善サイクルを回す習慣づくりも支援の対象。

採用プロセスを自ら設計・改善できる担当者が育てば、外部コストを削減できるだけでなく、組織全体の採用力が底上げされます。

教育支援は、単なるスキルアップではありません。

企業が長期的に勝ち続けるための「ノウハウの資産化(土台づくり)」といえるでしょう。

採用戦略コンサルティングの料金形態・費用相場

採用戦略コンサルティングの料金形態・費用相場

採用戦略コンサルティングの費用は、支援内容の深さや期間、求める成果によって大きく変動。

「高ければ良い」というわけではなく、企業の課題フェーズや予算規模に合わせて最適な契約形態を選ぶことが、費用対効果を高めるカギとなります。

料金モデルは大きく分けて、「月額顧問型」「プロジェクト型」「成功報酬型」の3種類。

それぞれ得意とする領域やコストのかかり方が異なります。まずは各モデルの仕組みと特徴、そして費用相場を整理して、自社に合うスタイルを見極めましょう。

月額顧問型

月額顧問型は、毎月定額の費用で継続的にコンサルタントの支援を受ける契約形態。

スポット的な依頼とは異なり、採用課題の洗い出しから戦略立案、実行、日々の改善(PDCA)までを一貫して伴走してもらえる点が最大の特徴です。

このモデルの強みは、支援期間が長くなるほど「コンサルティングの精度」が高まる点。

コンサルタントが企業の社風や業務内容、過去の合否データを深く理解することで、より自社の実情に即した的確な提案が可能になるからです。

「採用の方針に迷ったとき、すぐに相談できるプロがいる」という安心感も、人事担当者にとっては大きな価値でしょう。

一方で、毎月の固定費が発生するため、単発的な成果だけを求める場合にはコストが割高に感じるかもしれません。しかし、採用ミスマッチの防止や業務効率化によるトータルコストの削減を見据えるなら、中長期的には最も合理的な選択肢となり得ます。

とくに、複雑な課題を抱える企業や、属人化を防いで「強い採用チーム」を作りたい組織におすすめの形態です。

費用相場

月額 20万円〜100万円程度
※訪問頻度や実務代行の有無により変動します。

プロジェクト型

プロジェクト型は、特定の採用課題に対してテーマと期間を区切って集中的に支援を受ける契約形態。

例えば「採用ブランディングの刷新」「選考フロー全体の再設計」「面接官トレーニングの実施」など、解決したい課題が明確な場合に選ばれます。

一般的に3〜6ヶ月程度のプロジェクトとして組成され、完了時には戦略レポートや運用マニュアル、ブランドブックなどの「成果物」が納品されるケースが一般的です。

このモデルの最大のメリットは、「ゴールと費用が決まっている」点。

契約時点でやるべきこととコストが確定するため、社内決済を通しやすく、初めて外部コンサルティングを導入する企業にとっても取り組みやすい方式といえます。

一方で、契約期間終了後の運用は基本的に自社へ委ねられます。そのため、中長期的なナレッジの定着や、継続的なフォローを求める場合には不向きな側面があります。

依頼する際は、「作ってもらった仕組みを、その後自社だけで回せるか」を見極めることが重要。

それでも、課題がクリアになっており、「短期間でプロの知見を借りて方向性を整えたい」という企業には、非常に費用対効果の高い選択肢です。

費用相場

1プロジェクト 50万円〜300万円程度
※期間や成果物のボリュームにより大きく変わります。

成功報酬型

成功報酬型は、採用決定やKPI達成といった「具体的な成果」が発生した時点ではじめて費用が生じる契約形態。

初期費用が不要なケースが多く、成果が出るまではコストがかからないため、採用活動に予算のリスクをかけたくない企業や、初期投資を抑えたい企業に最適です。

このモデルの特徴は、企業とコンサルタントの利害が一致しやすい点にあります。

報酬が成果に連動するため、コンサルタント側も採用成功(クロージング)に向けて集中的にコミットしやすく、結果として採用スピードが上がりやすい傾向があります。

短期間で確実に人数を確保したい局面では、非常に合理的な選択肢。

一方で、特定のポジションを埋めるためのスポット的な支援になりやすく、中長期的な戦略の構築や、社内へのナレッジ蓄積には不向きな側面があります。

また、トラブルを防ぐために最も重要なのが「成果地点の定義」。

「内定承諾」の時点で費用が発生するのか、「入社日」なのか、あるいは「入社後◯ヶ月」なのか。この条件を曖昧にしたまま進めると、認識のズレが大きな問題になりかねません。

そのため、契約前に成果の判断基準を細かく取り決めておくことが、このモデルを賢く活用するカギとなります。

費用相場

理論年収の30%〜40%程度または、採用1名あたり定額(数十万円〜)など。
※難易度の高い職種では、別途着手金が必要な場合もあります。

採用戦略コンサルティングの選び方

採用戦略コンサルティングの選び方

自社に適したコンサルを選ぶには、単に「支援内容」や「料金」を比べるだけでは不十分。

どこまで深く関わってくれるのか、担当者に実績はあるか、そして自社のカルチャーと相性は良いか。採用活動は企業の成長を左右する重要なプロジェクトだからこそ、失敗は避けたいもの。

選び方を誤ると、成果が出ないばかりか、貴重な時間とコストを浪費することにもなりかねません。ミスマッチを防ぎ、最短距離で課題を解決するために。

ここでは、比較検討する際に必ずチェックしておきたいポイントを整理します。

実績と得意業界を確認する

採用戦略コンサルティングを選ぶうえで、最も確実な判断材料となるのが過去の「支援実績」。

単に取引先企業のロゴを見るだけでなく、「どの企業で、どのような課題を解決し、どれだけの成果を出したか」を具体的に確認しましょう。

とくに、採用決定率の改善幅や、リードタイムの短縮日数など、成果が数値で公開されている場合は、そのノウハウに高い再現性が期待できます。

同時に、コンサルタントが得意とする「業界・領域」のチェックも欠かせません。IT、製造、医療、サービスなど、業界によって採用競合の動きや候補者の志向性は全く異なるため。

自社と同規模・同業種の支援実績が豊富な企業を選べば、業界特有の事情や専門用語も通じやすく、コミュニケーションコストを大幅に下げられます。

現場との対話もスムーズに進むため、「絵に描いた餅」で終わらない、実効性の高い戦略が描けるはず。

支援範囲と体制を把握する

コンサルティング選びで最もトラブルになりやすいのが、「どこまでやってくれると思っていたか」という認識のズレです。そのため、契約前に支援範囲(スコープ)を明確にしておくことが非常に重要。

「戦略策定とアドバイス」だけに特化した企業もあれば、スカウト送信や面接調整といった「実務の実行」まで担う企業もあります。自社のリソースが不足している場合は、手足となって動いてくれる実行支援が含まれているかを必ず確認しましょう。

また、どのようなチーム体制で支援されるかも選定ポイント。

一人のコンサルタントが全て担当するのか、データ分析・採用広報・研修など、各分野のスペシャリストがチームを組むのか。専門チームが関与する体制であれば、複雑な課題に対しても多角的な解決策が期待できます。

さらに、「提案型(レポート納品中心)」か「伴走型(定例会議で一緒に推進)」かという関わり方のスタイルも重要。社内にノウハウを残し、長期的に採用力を高めたいのであれば、現場に入り込んでくれる「伴走型」を選ぶ方が成果の継続性は高まるでしょう。

コンサルタントの経験・体制を見る

採用戦略コンサルティングは「形のないサービス」であるため、その成果は担当コンサルタントの力量に大きく左右されます。

そのため、契約前に担当者の経歴や実績を厳しくチェックする姿勢が、プロジェクトの成否を分けると言っても過言ではありません。

具体的には、以下の要素が判断材料。

コンサルタントの判断材料

  • 実務経験:人事や採用担当としての現場経験があるか(机上の空論にならないか)。
  • 業界知見:自社と同じ業界や、似た規模の企業での支援実績があるか。

ただし、個人の力だけに頼るのはリスクもあります。

戦略策定と実務実行を分業するなど、チーム体制で支援する企業であれば、担当者ごとの品質のバラつきが抑えられ、より安定した成果が期待できるでしょう。

事前の打ち合わせは、いわば「コンサルタントの面接」。

提案の論理性やレスポンスの速さ、そして熱量。「この人なら任せられるか」という視点で、担当者の質と組織のバックアップ体制の両面を丁寧に見極めることが重要です。

費用対効果・契約形態を比較する

採用戦略コンサルを比較する際、見積もりの金額だけで判断するのは危険です。重要なのは「安さ」ではなく、「その費用でどれだけの成果が得られるか(費用対効果)」というバランス。

顧問型・プロジェクト型・成功報酬型の3つは、単に支払い方法が違うだけではありません。

それぞれ「リスクの所在」や「支援の深さ」が大きく異なります。

コンサルティングの費用形態

  • 短期的な課題解決を狙うなら、ゴールが明確な「プロジェクト型」
  • 長期的な体制構築を目指すなら、継続支援の「月額顧問型」
  • 初期リスクを抑えたいなら、成果連動の「成功報酬型」

このように、目的とフェーズに最適な形態を選ぶことで、コストパフォーマンスを高めます。

費用の妥当性を判断する際は、提示額単体で見るのではなく、期待される「採用単価の削減幅」や「定着率の向上による損失回避」といった指標と照らし合わせることが重要。

費用を単なる「支出(コスト)」ではなく、将来の組織を作るための「投資」と捉え、リターンに見合うかどうかを見極める姿勢が、選定の精度を格段に高めます。

自社課題との適合度を確認する

採用コンサル選びで最も重要なのは、「自社の課題フェーズ」と「コンサルの得意領域」が合致しているかを見極めることです。

まずは依頼の目的を明確にしましょう。

「母集団を増やしたいのか」「ブランディングを強化したいのか」、あるいは「選考プロセスの歩留まりを改善したいのか」。ゴールが曖昧なままでは、最適なパートナーは選べません。

次に、課題のステージを整理します。

ゼロから採用体制を作る「構築フェーズ」なのか、既存のやり方を磨き上げる「改善フェーズ」なのかによって、求めるべき支援内容は大きく異なるため。

この「目的」と「フェーズ」を整理したうえで、契約前の打ち合わせで課題認識を細かくすり合わせることが不可欠。ここで認識のズレを解消しておけば、ミスマッチのリスクを最小限に。

自社の状況にジャストフィットする支援を受けられれば、短期的な数値改善はもちろん、長期的な「採用力(組織の資産)」の強化にもつながります。

おすすめの大手採用戦略コンサルティング企業の比較 5選

大手コンサルの強みは、豊富なデータと専門家チームによる「総合的な解決力」。戦略からブランディング、DXまでを一気通貫で支援できるため、全社的な採用改革に最適です。

費用は高めですが、そのぶん成果の再現性が高く、確かなノウハウが社内に残ります。

会社名料金形態特徴得意領域URL
株式会社リンクアンドモチベーション要相談組織診断データに基づいた「採用×定着」の一体支援組織開発・エンゲージメント向上https://solution.lmi.ne.jp/
株式会社マイナビ要相談圧倒的な母集団形成力と研修まで含めたトータルサポート新卒中途採用全般・人材育成https://hrd.mynavi.jp/
株式会社船井総合研究所要相談業種別に特化したコンサルタントによる実践的な戦略指導業界別採用戦略・中小企業支援https://hrd.funaisoken.co.jp/
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社要相談採用プロセスの工数削減と自動化を実現する業務設計採用DX・業務プロセス改善https://www.persol-bd.co.jp/
株式会社クリーク・アンド・リバー社要相談映像・Web・ゲームなどクリエイティブ領域に特化した支援専門職採用・クリエイター支援https://www.cri.co.jp/

株式会社リンクアンドモチベーション

リンクアンドモチベーションは、独自の「モチベーションエンジニアリング」を基盤に、組織開発と人材採用を不可分なものとして捉える組織人事コンサルティングのパイオニアです。

単なる母集団形成にとどまらず、企業の「組織状態」を診断し、その結果を採用戦略にフィードバックさせることで、入社後の定着と活躍までを見据えた一貫性のある支援を提供します。

最大の特徴は、国内最大級のデータベースを持つ組織診断サーベイ(エンゲージメント・レーティング)を活用した科学的なアプローチ。

組織の現状や魅力を定量データで可視化し、求める人物像の定義からブランディング、選考プロセスの設計までを論理的に構築。候補者に対する「企業の意味づけ(動機づけ)」を最適化し、採用ミスマッチを構造的に防ぎます。

また、経営層と対話しながら「経営戦略を実現するための採用」を設計できるため、採用を起点に組織全体を強くしたい企業にとって最適なパートナー。

こんな企業におすすめ

  • 組織診断データを活用し、客観的根拠に基づいた採用戦略を立案したい
  • 「採用」と「定着・育成」を切り離さず、一気通貫で改善したい
  • 経営戦略と連動した、本質的な人材ポートフォリオを描きたい
  • エンゲージメントの高い「強い組織」を作るための採用を行いたい

株式会社マイナビ

株式会社マイナビは、就職情報サイトや求人メディアの運営で培った圧倒的な顧客基盤と市場データを有する、総合人材サービスのリーディングカンパニーです。

その強みは、新卒・中途・アルバイトまで網羅する膨大な採用ノウハウを活かした「ワンストップ支援」にあります。採用戦略の立案や母集団形成はもちろん、選考プロセスの設計、面接官トレーニング、内定者フォローに至るまで、フェーズごとの課題をトータルで解決。

特に「マイナビ研修サービス」との連携により、採用活動と社員教育(育成)をセットで設計できる点が大きな特徴です。「採用して終わり」にするのではなく、入社後の定着や早期戦力化までを見据えた一貫性のあるコンサルティングを提供します。

業界ごとのトレンドに精通した専任担当者が伴走し、KPI設計や歩留まり改善など、各社の状況に合わせたオーダーメイドの施策を提案。大規模採用から専門職のピンポイント採用まで、あらゆるニーズに対応可能な守備範囲の広さが魅力。

こんな企業におすすめ

  • 新卒・中途採用から入社後研修まで、一気通貫で体制を見直したい
  • 採用活動と育成プログラムを連動させ、人材の定着率・戦力化を高めたい
  • 大手ならではの豊富な市場データやノウハウを活用し、採用精度を上げたい
  • マンパワー不足のため、戦略設計から実務支援まで幅広く任せたい

株式会社船井総合研究所

株式会社船井総合研究所は、中堅・中小企業への支援において国内最大級の実績を誇る総合経営コンサルティングファームです。

採用支援のみならず、人事評価制度や賃金制度の構築、教育研修までを包括的にサポートする体制が整っており、「採用」を入り口として組織全体の生産性向上や業績アップを目指せる点が特徴。

最大の強みは、業種・テーマごとに細分化された専門コンサルタントチームの存在です。

医療・介護、製造、建設、士業など、各業界特有の採用事情や法規制、トレンドに精通しており、汎用的な理論ではなく「その業界で今、勝てる具体的な手法」を提案します。

とくに、ダイレクトリクルーティングやWebマーケティングを活用した母集団形成に定評があり、知名度に課題のある地方企業やニッチ業界でも若手・即戦力の獲得を実現しています。

経営者の視点に立ち、採用戦略と人事戦略(定着・育成)をセットで再構築することで、企業の持続的な成長基盤を整えます。

こんな企業におすすめ

  • 業界特有の事情に詳しい専門家に、具体的かつ実践的なアドバイスをもらいたい
  • 採用だけでなく、評価制度や賃金制度の見直しまで含めて相談したい
  • 知名度や立地にハンデがあり、ダイレクトリクルーティング等で打開したい
  • 経営視点を持ったパートナーと、中長期的な組織づくりに取り組みたい

パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社

パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社は、人材サービス大手「パーソルグループ」の豊富な実績と、業務プロセス設計の専門ノウハウを掛け合わせたコンサルティング企業です。

採用戦略の立案にとどまらず、現場レベルでの「業務フローの最適化」や「工数削減」に強みを持ち、戦略を絵に描いた餅に終わらせない実行力が特徴。

特に、ATS(採用管理システム)やデジタルツールを活用した「採用DX」の推進に定評があります。選考プロセスの歩留まりやリードタイムを数値で可視化し、ボトルネックを特定することで、データに基づいた科学的な改善を実現します。

また、仕組みの提供だけでなく、面接官トレーニングや採用担当者向けの育成プログラムも充実。

最終的には外部に依存せず、社内だけで高品質な採用活動を回せる「自走化(内製化)」をゴールに見据えた支援を行っています。

こんな企業におすすめ

  • 採用プロセスが属人化しており、可視化・効率化を進めたい
  • ATSやデジタルツールを導入して「採用DX」を実現したい
  • 感覚的な判断ではなく、数値データに基づいた改善サイクルを回したい
  • 担当者のスキルアップや面接官育成を通じて、採用の内製化を図りたい

株式会社クリーク・アンド・リバー社

株式会社クリーク・アンド・リバー社は、映像・ゲーム・Web・広告・ITなど、クリエイティブ分野のプロフェッショナル・エージェンシーとして国内最大級の実績を持つ企業です。

その強みは、クリエイター特有の志向性やキャリア観、制作現場のリアルな実情を熟知している点にあります。一般的な採用理論を当てはめるのではなく、職種ごとのスキル要件や評価基準、ポートフォリオ選考のあり方など、専門職ならではの採用戦略を設計できる点が他社にはない特徴。

採用ブランディングにおいても、現場の熱量を伝えるコンテンツ制作や、クリエイターの心に響くメッセージ開発を得意としています。

また、自社でエージェント事業や制作請負を行っているため、独自のネットワークとデータベースを活用した母集団形成も可能。

総合型のコンサルティング会社では対応が難しい、ニッチな専門職やハイクラス人材の採用において圧倒的なパフォーマンスを発揮します。

こんな企業におすすめ

  • ゲーム、Web、映像など、クリエイティブ専門職の採用を強化したい
  • クリエイター特有のスキル評価や選考フローの設計に悩んでいる
  • 制作現場の実態を深く理解したコンサルタントに戦略を任せたい
  • 専門職に響く採用ブランディングやスカウト運用を行いたい

おすすめの中小採用戦略コンサルティング企業の比較 5選

中小企業において、限られた人員と予算で「勝てる採用戦略」を練るのは容易ではありません。

多くのコンサル会社が似たような言葉を並べていますが、中小企業が重視すべきは「現場のリアリティ(忙しさ)への理解」と「実務の実行力」です。

綺麗な戦略を描くだけでなく、泥臭い運用まで手伝ってくれるか。経営層と視座を合わせて対話ができるか。 単なる「安さ」ではなく、「自社の足りないリソースをどう補ってくれるか」を基準に選ぶことが失敗を防ぐ鍵となります。

会社名料金形態特徴得意領域URL
AchieveHR(株式会社b&q)月額+成功報酬型経営戦略と連動した採用設計と、現場に入り込む実務伴走支援採用戦略設計・ヘッドハンティングhttps://black778643.studio.site/
HeaR株式会社月額顧問型候補者体験(CX)の向上を軸にした採用ブランディングと母集団形成採用ブランディング・候補者体験(CX)設計https://www.hear.co.jp/
株式会社Legaseed要相談組織開発の視点を取り入れ、理念浸透とマッチングを両立させる採用設計新卒採用・理念浸透・組織風土改革https://www.legaseed.co.jp/
クライアントファースト株式会社要相談Webマーケティングとオペレーション構築による「採用できる仕組み」の提供中小企業採用・Web集客・採用サイト制作https://c-1st.jp/
ワミィ株式会社要相談エンジニア出身者による現場理解の深い戦略設計と採用の内製化支援エンジニア採用・専門職採用・採用内製化https://wamii.co.jp/

AchieveHR(株式会社b&q)

株式会社b&qが提供する「AchieveHR」は、成果伴走型のサービスです。

最大の特徴は、全コンサルタントがSE採用の経験者である点です。技術への理解が深いため、現場エンジニアと対等に会話ができ、候補者に刺さる求人票作成やスカウト文面の作成が可能。

また、ダイレクトリクルーティングに加え、独自のヘッドハンティングチャネルを活用することで、「採用成功率90%以上」「最短26日で内定承諾」という圧倒的な実績を誇ります。

さらにユニークなのが、「初期の採用戦略設計を無料で行う」という仕組みです。

まず無料で戦略を立て、採用成功のロードマップが描けた段階で初めて運用契約を結ぶため、ミスマッチや投資リスクを最小限に抑えられます。

こんな企業におすすめ

  • エンジニア採用に苦戦しており、技術理解のあるプロに任せたい
  • ダイレクトリクルーティングやヘッドハンティングで質の高い母集団を作りたい
  • 「初期戦略設計」を無料で試し、納得してから契約したい
  • 固定費だけでなく成果報酬も組み合わせた、リスクの低い料金体系が良い

HeaR株式会社

HeaR株式会社

参考:HeaR株式会社

HeaR株式会社は、採用ブランディングと「候補者体験(CX:Candidate Experience)」の向上を軸に、採用成果を最大化させるコンサルティング企業です。

単に母集団を集めるだけでなく、「候補者にどう認知され、どう選ばれるか」という体験設計に圧倒的な強みを持ちます。

採用広報の戦略立案から、NoteやSNSの運用代行、採用ピッチ資料の制作までを一貫して支援し、企業の魅力をストーリーとして届けることで、質の高い母集団形成とミスマッチの防止を同時に実現。

また、スタートアップや成長企業特有の「採用専任者不在」という課題にも対応。

戦略を描くだけでなく、スカウト配信や日程調整などの実務運用まで深く入り込む「伴走型」の支援スタイルで、リソース不足を補いながら採用チームを強くします。

「知名度はないが、魅力はある」そんな企業のポテンシャルを最大限に引き出し、ファンを増やす採用を実現します。

こんな企業におすすめ

  • 採用広報やSNS活用を強化し、認知度とブランド力を高めたい
  • 候補者体験(CX)を見直し、辞退率の改善やミスマッチを防ぎたい
  • 採用専任がおらず、戦略から実務まで手厚く伴走してほしい
  • 「愛される採用」「ファンをつくる採用」を実現したい

クライアントファースト株式会社

クライアントファースト株式会社は、「採用活動の仕組み化」と「人事の自走支援」をテーマに掲げる、中小・ベンチャー企業特化型のコンサルティング企業です。

多くの中小企業が陥りがちな「担当者の勘と経験頼み(属人化)」の採用から脱却し、誰が運用しても成果が出せる再現性の高い採用システムを構築します。

具体的には、採用要件の定義から母集団形成、歩留まり改善のためのフロー再設計までを数値に基づいて分析。Webマーケティングの知見を活かした集客導線の設計や、採用サイトの改善に強み。

また、コンサルタントが一方的に戦略を渡すのではなく、担当者への研修や実務サポートを通じてノウハウを社内に定着させる「伴走支援」を徹底。

プロジェクト終了後には「社内に採用ノウハウが資産として残る」ため、長期的なコストパフォーマンスを重視する企業に選ばれています。

こんな企業におすすめ

  • 採用活動が属人化しており、誰でも回せる「仕組み」を作りたい
  • Webマーケティングや数値を活用し、科学的に採用改善を行いたい
  • 限られたリソースでも成果が出せる、効率的なオペレーションを整えたい
  • 外部に依存し続けるのではなく、社内に採用ノウハウを蓄積したい

株式会社Legaseed

株式会社Legaseedは、「採用」と「組織開発」を融合させた独自のメソッドで注目を集めるコンサルティング企業です。単なる人材獲得支援にとどまらず、「採用活動をきっかけに、理想の組織をつくる」という経営変革の視点での支援が最大の特徴。

特に新卒採用におけるブランディングと体験設計に圧倒的な強みを持ちます。

説明会やインターンシップ、選考プロセスそのものを「学生の心を動かすコンテンツ」へと昇華させ、知名度のない中小企業でも優秀な学生からの応募・承諾を獲得できる仕組みを構築します。

また、そのプロセスに既存社員を巻き込むことで、自社の理念浸透やエンゲージメント向上も実現。

「採用」を入り口として、入社後の定着や活躍、さらには既存社員の意識改革までを一気通貫で支援するため、「選ばれる強い会社」に変わりたいと願う経営者にとって、最強のパートナーとなります。

こんな企業におすすめ

  • 新卒採用を強化し、理念に共感する優秀な若手人材を獲得したい
  • 説明会や選考フローを見直し、候補者の志望度を劇的に高めたい
  • 採用活動を通じて、既存社員のモチベーションや組織風土も改善したい
  • 自社の魅力を言語化・可視化し、ブランディングを再構築したい

ワミィ株式会社

ワミィ株式会社は、エンジニア採用をはじめとする「専門職採用」と、中小企業の「採用体制づくり」に特化したコンサルティング企業です。

最大の特徴は、外部に依存し続けるのではなく、企業自身が採用力を身につける「採用の自走化(内製化)」をゴールに掲げている点。

採用専任者が不在、あるいは経験が浅い企業であっても無理なく運用できる仕組みを構築。

求人票のブラッシュアップや、面接での魅力付け(アトラクト)、要件定義の精緻化など、採用の土台となる部分を丁寧に整えます。

とくにエンジニア採用においては、現場出身の知見を活かした「刺さるスカウト文面」や「技術者視点の広報戦略」に定評があります。

SNS運用やダイレクトリクルーティングの実務支援も手厚く、難易度の高い採用市場において「勝ちパターン」を作りたい企業にとって、非常に心強いパートナーです。

こんな企業におすすめ

  • 採用担当者が1名以下で、実務の手が回らない
  • エンジニアや専門職の採用に苦戦しており、現場視点のアドバイスが欲しい
  • 求人票の改善や採用広報(SNS等)を強化し、母集団を増やしたい
  • 将来的には外部を使わず、自社だけで採用できる「自走組織」を作りたい

採用戦略コンサルティングを導入するメリット

採用戦略コンサルティングを導入するメリット

自社だけで採用課題に向き合っていると、どうしても「これまでの慣習」や「社内のしがらみ」にとらわれがちです。声の大きい部署の意見に左右され、場当たり的な対応に終始してしまう……そんな経験はないでしょうか。

採用戦略コンサルティングを導入する最大の価値は、こうした主観を排し、客観的なデータに基づいて「勝てる戦略」を描ける点にあります。

単なる欠員補充の繰り返しから脱却し、中長期的な「採用力」そのものを高めるために。ここでは、導入によって得られる特に重要な3つのメリットを解説。

採用課題を客観的に把握できる

採用戦略コンサルティングを導入する最大のメリットは、自社の採用課題を「客観的なデータ」に基づいて可視化できる点にあります。

社内だけで議論していると、どうしても担当者の「感覚」や「過去の経験則」に頼りがち。

しかし専門家が入ることで、現場では気づきにくい「面接評価のバラつき」や「チャネル別の費用対効果」、「求職者から選ばれない本当の理由」などが、数値として浮き彫りになります。

課題が事実として特定されれば、解決のための優先順位も自ずと決まります。

例えば、「母集団不足」だと思い込んでいたが、実は「一次面接の通過率」に問題があった場合、広告費を増やすのではなく、面接官トレーニングや選考フローの見直しにリソースを割くべきだと判断可能。

このように状況に応じた「最短ルート」の打ち手を選べるようになるため、時間とコストのムダが消え、採用活動全体の質が劇的に向上します。

戦略的採用によってミスマッチを防げる

採用コンサルティングを導入する大きな意義は、「求める人物像」の解像度を高め、入社後のミスマッチを未然に防げる点にあります。

多くの企業で起こりがちなのが、「優秀そうだから」という曖昧な理由で採用し、入社後に「カルチャーが合わない」と後悔するケース。

コンサルタントは、ハイパフォーマー(活躍社員)の行動特性や価値観を分析し、「自社で本当に活躍できる人材像」を言語化します。

この明確な定義(要件)を選考基準に落とし込むことで、面接官ごとの評価ブレがなくなり、感覚頼みの採用から脱却可能。

さらに、選考プロセス全体で「どのタイミングで、何を見極めるか」を設計するため、候補者との相互理解も深まります。

結果として、入社後のリアリティショックや早期離職が減少し、「定着し、活躍する人材」を確実に採用できる強い組織へと成長できるのです。

採用コストの最適化・ROI改善ができる

採用活動において、限られた予算で最大の成果を出すためには、「採用コストの最適化」と「ROI(投資対効果)の改善」が欠かせません。

まずは、媒体ごとの応募単価(CPA)や採用単価(CPH)を正確に把握し、可視化することから始めます。数値が明らかになれば、「費用対効果の低いチャネル」を客観的に特定でき、無駄な出稿を停止して、効果の高い施策へ予算を集中させることが可能になります。

さらに重要なのが、目先の採用数だけでなく「入社後の活躍度」までを含めて評価する視点。

「安く採れたが、すぐ辞めてしまった」では意味がありません。定着率や貢献度まで追跡することで、真に投資価値の高いチャネルが見えてきます。

また、データを共通言語にすることで、経営層への予算申請や部門間の調整もスムーズに。

過去データとの比較を通じて改善のサイクルを回し続けることが、長期的で無駄のない「筋肉質な採用運用」を実現する鍵となります。

採用戦略コンサルティングを導入するデメリット

採用戦略コンサルティングを導入するデメリット

採用戦略コンサルティングは、企業の採用力を飛躍させる強力な選択肢ですが、決して「導入すればすべて解決する魔法の杖」ではありません。

メリットの裏側には、当然ながらデメリットやリスクも存在します。

外部に依頼する以上、決して安くないコストが発生し、短期的には採用予算を圧迫することに。

また、ゴールイメージや優先順位の認識がずれたまま進むと、「期待した成果が出ない」というミスマッチも起こり得ます。さらに、丸投げ体質になってしまうと社内にノウハウが残らず、契約終了後に自走できなくなるリスクも無視できません。

こうしたマイナス面をあらかじめ理解し、「対策を持った上で依頼できるか」を冷静に見極めることが、失敗しない活用の第一歩。

外部コストが発生する

当然ながら初期費用や月額報酬といった「外部コスト」が新たに発生します。

特に採用戦略は、施策を実行してから成果(入社・定着)が出るまでにタイムラグがあるため、短期的には「コストだけが増えて成果が見えない」という焦りを感じやすい点が最大のネック。

広告費やツール利用料などが重なると、一時的に採用予算が大きく膨らむこともあるでしょう。

しかし、これを単なる「支出(消費)」と捉えるのは早計です。中長期的に見れば、採用精度の向上によってエージェント手数料を削減できたり、早期離職による損失を防げたりと、トータルコストが下がるケースも多いからです。

短期的なROI(費用対効果)だけで判断せず、「将来の採用力を高めるための投資」として、どれくらいの期間で回収するかという視点を持つことが重要。

コンサルとの認識齟齬のリスク

採用戦略コンサルティングにおいて、最も警戒すべきリスクは、企業側とコンサル側の間で「成功の定義(ゴール)」がズレてしまうことです。

例えば、企業は「とにかく応募数を増やしたい」と考えているのに、コンサルは「選考プロセスの質を高めること」を最優先に動いていたとしたらどうでしょうか。施策の方向性がかみ合わず、「費用をかけたのに欲しい成果が出ない」という不幸なすれ違いが生まれてしまいます。

こうしたギャップは、初期段階での握りが甘いと容易に発生。

だからこそ、契約前に「支援の範囲」「追うべき指標(KPI)」「完了の基準」を明確に言語化し、双方が同じ絵を描いてスタートする体制が不可欠です。

さらに、プロジェクト開始後も定例ミーティングや進捗レビューを設け、状況の変化に合わせて認識をチューニングし続ける姿勢が重要。

密なコミュニケーションが前提となる「伴走型」のコンサルタントを選べば、このリスクを最小限に抑え、安定した成果につなげやすくなるでしょう。

社内にノウハウが定着しにくいケースも

外部コンサルタントに主導権を委ねすぎると、採用ノウハウが社内に蓄積されず、プロセスが「ブラックボックス化」してしまう恐れがあります。

「成果は出ているが、なぜ上手くいっているのか社内の誰も分からない」——この状態で契約が終了すると、翌月から運用がストップし、成果を再現できなくなる事態になりかねません。

こうしたリスクを避けるためには、決して「丸投げ」にせず、自社も主体的にプロジェクトに関わることが不可欠。

定例ミーティングで施策の意図を確認したり、分析レポートの読み方を学んだりと、プロの思考プロセスを積極的に吸収する姿勢が求められます。

コンサルティングは永久に続くものではありません。

支援期間中にノウハウを盗み、最終的には「外部に頼らずとも勝てる採用体制(自走化)」を築くことこそが、真のゴールであると意識しましょう。

最適な採用コンサルで採用力を向上

採用戦略コンサルティングを導入する真の目的は、単に目の前の採用数を増やすことではありません。企業全体の「採用力(基礎体力)」を持続的に高めることにあります。

課題の可視化、プロセスの最適化、そしてブランディング設計。

これらを体系的に進めることで、属人的な“勘と経験”の採用から脱却し、「誰がやっても成果が出る再現性のある仕組み」を構築できます。

また、データに基づく意思決定が定着すれば、投資対効果の高いチャネルへ予算を集中でき、コストの最適化にも直結。

重要なのは、外部の知見を一時的に借りるだけでなく、最終的に「自社だけで運用できる強い組織(自走化)」を目指すことです。

長期的な視点で育てた採用力は、必ずや企業の競争力を支える「無形の資産」となるでしょう。

WRITERライター情報

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執筆者

金田大和

株式会社b&q 執行役員

横浜国立大学卒。プロップテック企業にて、リテンションマーケティング事業や人事コンサルティング事業の立ち上げ、事業責任者として推進。その後、代表高稲とb&qを共同創業し、現在は執行役員として、多くの企業にHRを通じて本質的な価値を届けるべく、コンサルティング事業を含む複数のHR事業を管掌。これまでのキャリアを通じて合計500社以上の人事と対話し採用/組織改善を図る。