コラム
採用課題改善

リファラル採用が難しい5つの理由と成功させる6つのポイントを解説

リファラル採用が難しい5つの理由と成功させる6つのポイントを解説

「制度は作ったのに、社員からの紹介が全く上がってこない……。」

「周知はしているはずなのに、現場の協力が得られず形骸化している……。」

――そんな「リファラル採用の停滞」を打破するには、失敗の真因を特定し、適切な改善策を講じる必要があります。

本記事では、リファラル採用が「難しい」と言われる理由やよくある失敗事例の徹底分析から、制度を活性化させるための具体的な成功ポイントまでを体系的に解説。自社の運用におけるボトルネックを解消することで、社員が自発的に知人を紹介したくなる仕組みを構築し、リファラル採用を「機能する採用チャネル」へと進化させることができます。

リファラル採用の運用がうまく回らずお悩みの採用担当者はもちろん、制度の再設計を検討している人事責任者の方も、ぜひ最後までご覧ください。それでは、詳しく内容を見ていきましょう。

目次

リファラル採用とは?

リファラル採用とは、社員が自社に適した友人・知人を紹介し、それを選考の起点とする手法です。外部媒体に頼らず、自社を熟知する社員が「企業と候補者をつなぐ入口」となる点が最大の特徴。

リファラル採用の運用にあたっては、社員からの紹介だからといって即採用を保証するものではなく、通常の選考基準で公平に判断することの徹底が欠かせません。この前提が曖昧だと、社内で「縁故・コネ採用」という不信感を招く恐れがあるのです。

また、本制度は社員の「知人に勧めたい」という会社へのエンゲージメントが土台となります。

そのため、詳細な募集要項の共有だけでなく、日頃の環境整備も重要です。人間関係やタイミングに左右され即効性は期待しづらいため、中長期的な視点でフォロー体制を構築し、改善を重ねることが成功への第一歩となるといえるでしょう。

リファラル採用のよくある失敗例

まずは、リファラル採用で起こりがちな失敗例を5つ整理して確認しましょう。

どれも制度そのものの問題というより、設計・運用や社内コミュニケーションの不足によって発生しやすい点が共通しています。それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

社員から紹介がまったく出ない

リファラル採用でよくある失敗パターンの一つが、「社員から紹介がほとんど出ない」状態です。制度を整えて社内に告知しても、まったく紹介が出ないケースは実務上も起こり得ますが、その原因を社員の意欲だけに求めるのは適切ではありません。

紹介が生まれにくい背景には、制度設計や情報共有の不足があることが多く、社員が紹介したくても判断材料を持てない状態になっている場合があります。例えば、採用目的や求める人物像、募集背景が十分に共有されていないと、社員は「誰に、どのように声をかければよいか」を具体化できず、行動に移しづらくなります。加えて、紹介後の選考フローや連絡の流れ、不採用となった場合の扱いが不透明だと、候補者との関係性を考えて声をかけること自体をためらいやすくなるのです。

そのため、紹介が出ない状況を個人の問題として片付けるのではなく、社員が紹介判断に必要な情報を十分に持っているかを起点に、募集情報の整理・発信方法・紹介後のコミュニケーション設計を見直すことが重要。あわせて、紹介が採用の保証ではなく、採否は通常の選考基準で判断されることや、不採用時のフォロー方針を明確にし、社員が安心して動ける状態をつくることが欠かせません。

制度を作ったが形骸化している

リファラル採用では、制度を作ったこと自体が目的になってしまい、運用が続かないまま形骸化するケースが起こりがち。導入時は説明会や社内メールなどで告知が行われ、「紹介してみよう」という声が出ることもありますが、その熱量が継続しないまま制度が忘れられていく流れは珍しくありません。

背景として多いのは、一定期間が経っても紹介状況や進捗、成功事例が共有されず、社員が「どのように活用すればよいのか」を具体的にイメージできない状態が続くことです。

結果として制度は存在していても使われなくなり、紹介が出ない状態が固定化しやすくなります。特に、募集ポジションの更新や情報発信が途切れたり、紹介後の対応が見えなかったりすると、社員側の関心は自然と薄れていくでしょう。

また、人事だけで運用しようとして現場のマネージャーやチームを巻き込めていない場合、社員の当事者意識が育ちにくく、制度が「自分ごと」になりません。リファラル採用は制度設計だけでは成立しにくく、評価制度や福利厚生と同様に、運用と浸透の仕組みがあって初めて機能します。

したがって重要なのは、制度の見た目やルールの良し悪しよりも、継続的に情報が更新・発信され、進捗が見える運用設計になっているかを確認することです。あわせて、現場を巻き込み、社員が迷わず動ける導線(窓口・手順・対応フロー)を整えることで、形骸化を防ぎやすくなります。

採用の目的や人物像が社内で共有されていない

採用の目的や求める人物像が社内で十分に共有されていないことは、リファラル採用が機能しにくくなる代表的な要因。採用基準が曖昧なままだと、社員は紹介した後に「求めている人と違う」と判断されることを不安に感じ、紹介そのものを控えるようになりやすいからです。

人事側では採用方針が整理されているつもりでも、その背景や判断基準が現場社員にまで落ちていないケースは少なくありません。人物像・スキル要件・カルチャー要件、さらに募集背景や期待役割が不明確だと、社員は「誰に声をかけるべきか」を判断できず、結果として紹介数が伸びにくくなります。

仮に社員からの紹介が生まれても、基準の共通認識が弱い状態では、選考の途中でミスマッチが顕在化しやすく、紹介者の心理的負担が増えることにもつながるでしょう。

この状態が続くと、「紹介しても結局通らない」「紹介しづらい」という学習が社内に広がり、紹介行動そのものが停滞しやすくなります。

リファラル採用は社員の理解と納得を前提とするため、採用目的・募集背景・求める人物像を具体的に言語化し、社員が判断できる状態をつくることが欠かせません。制度の細部を整える前に、現場が同じ基準で紹介判断できるレベルまで情報を共有できているかを優先的に見直すことが重要です。

不採用時に人間関係が気まずくなる

リファラル採用で紹介が増えにくい背景には、「紹介したのに不採用になったら気まずい」という不安が大きく影響します。友人や元同僚など関係性が近い相手ほど、選考結果がその後の人間関係に与える影響を想像しやすく、紹介行動の心理的ハードルが高まりやすいからです。

そのため、少しでもミスマッチの可能性があると感じると、社員は「声をかけないほうが安全だ」と判断して紹介を控えることがあります。さらに、候補者が面接を受けた後に不採用となった場合、「紹介した自分が説明しなければならない」と受け止め、精神的負担を感じる人も少なくありません。

こうした状態が続くと、制度はあっても紹介が出ない状況に陥りやすくなります。

本来、不採用は紹介者の責任ではなく、採否は企業が通常の選考基準にもとづいて判断するものです。

ただし、この前提が社内で共有されていないと、「紹介=保証」のような誤解が生まれ、紹介者が過度に責任を感じて行動を控える要因になります。したがって、会社側は紹介はあくまで候補者の入口であり、採否は会社が判断するというスタンスを明確に示すことが重要なのです。

加えて、不採用時の伝え方やフォロー方針を事前に定め、紹介者が不安にならない運用に整える必要があります。例えば、連絡は原則として人事が行うこと、紹介者には状況を共有する場合でも個人情報や選考評価に配慮し、伝えられる範囲で説明することなどを明文化すると、紹介者の心理的負担を下げやすくなるでしょう。

公平性に欠けていると社内で不満が出る

リファラル採用がうまくいかない要因の一つに、「えこひいき」や「コネ採用」と誤解され、社内に不満や不信感が生まれるケースがあります。例えば、紹介経由で選考に進んだ候補者を見て、「採用基準が甘いのではないか」「なぜあの人だけ特別扱いなのか」と感じる社員が出てくる場面です。

特に、選考基準やプロセスが見えにくい場合、「裏で話が決まっているのではないか」という疑念が生まれやすくなります。こうした空気が社内に広がると、紹介者自身も周囲の視線を気にして紹介行動を控えるようになり、結果として制度への信頼が下がって紹介が出にくくなる悪循環につながるでしょう。

このリスクを抑えるには、リファラル採用であっても通常採用と同じ評価基準・選考フローで判断することを明確にし、その運用を一貫して徹底することが重要です。

あわせて、紹介はあくまで応募経路の一つであり、採否は企業が公正に判断するという前提を社内に説明しておくと、誤解を防ぎやすくなります。公平性を担保した運用を継続することが、制度を長く機能させ、紹介が出続ける状態をつくるための土台になるでしょう。

リファラル採用が難しいと言われる5つの理由

リファラル採用は、条件が整えば採用活動の質や効率を高めやすい一方で、導入しても思うように機能せず「難しい」と感じる企業が少なくありません。ここでは、難易度を上げている要因を整理し、なぜつまずきやすいのかを構造的に理解するために、代表的な理由を5つ解説します。

それでは、これら5つの理由を順に見ていきましょう。

社員エンゲージメントに依存する採用手法だから

リファラル採用が難しいと言われる理由の一つは、社員が「この会社を人に勧めたい」と感じられる状態を前提とするため、社員エンゲージメントに成果が大きく左右されやすい点です。

自社への共感や納得感が十分でない場合、知人に声をかけようという発想が生まれにくく、結果として紹介の数や活性度が伸びにくくなります。

ただし、紹介が出ない状況を「社員の意欲が低いから」と単純に片付けるのは適切ではありません。エンゲージメントは個人の性格だけで決まるものではなく、職場環境やマネジメント、情報共有のあり方など、組織側の要因の影響も受けます。

例えば、会社の方向性や採用の背景が現場に十分伝わっていなかったり、紹介後の対応が不透明だったりすると、社員は勧めたくても自信を持てず、紹介行動を控えやすくなるでしょう。

そのため、リファラル採用の成果を高めるには、社員に紹介を求める前に、社員が納得感を持って自社の魅力や働き方を説明できる状態をつくることが重要です。あわせて、募集背景・人物像・選考フローなどの情報を整理して共有し、社員が安心して紹介できる環境を整えることが、紹介の発生と継続を左右するポイントになります。

短期的に成果が出る採用手法ではないから

リファラル採用は、求人広告や人材紹介のように開始直後から応募が集まりやすい手法ではなく、一定の準備と浸透期間を要するため「難しい」と感じられやすい側面があるのです。紹介は社員の任意行動であり、制度を告知しただけで自動的に候補者が増えるわけではないため、成果が出るまでに段階を踏む必要があります。

具体的には、まず社員に制度の目的やルールを周知し、どのような人物を紹介してほしいのか、選考はどのように進むのかといった情報を理解してもらうことが欠かせません。

加えて、社員が「この会社なら知人に勧めてもよい」と思える納得感や信頼感を持つことも前提となるため、ここでも一定の時間がかかります。さらに、紹介は社員の人脈や相手側の転職意向、声をかけるタイミングに左右されやすく、同じ制度でも紹介が発生するまでの期間にはばらつきが出ます。

このように、リファラル採用は「周知・理解」から「信頼形成」、そして「紹介行動」へと複数のプロセスを経て成果につながるため、中長期で取り組む前提を持つことが重要です。短期的な成果だけを求めると、十分に改善余地がある段階で運用を止めてしまい、制度が定着しない原因になりやすい点には注意が必要といえるでしょう。

採用したい人物像・基準が曖昧になりやすいから

リファラル採用が難しいと言われる理由の一つは、採用したい人物像や評価基準が曖昧なまま運用されやすい点にあります。基準がはっきりしないと、社員は「経験者を優先すべきか」「ポテンシャル層でもよいのか」など判断に迷い、声をかける相手を具体的に絞り込めません。

その結果、紹介の検討そのものが止まり、候補者になり得る人を知っていても行動に移せない状態が生まれます。特にリファラル採用では、紹介者が自分の人間関係の中で声をかけるため、紹介後にミスマッチが起きたときの心理的負担を強く意識しやすく、基準が曖昧なほど慎重になりがちです。

また、人事側では方針を固めているつもりでも、現場社員に十分伝わっていないケースは少なくありません。この認識ギャップが大きいほど、社員は「紹介しても結局合わないと言われるのでは」と不安になり、紹介が発生しにくくなります。

人物像・スキル要件・カルチャー要件が不明確なままだと、紹介数が伸びないだけでなく、採用後の期待値のズレや早期離職につながるリスクも高まるでしょう。

そのため、紹介の質と量を安定させるには、求める人物像と評価基準を具体化し、社員が紹介判断できる水準まで共有することが欠かせません。あわせて、募集背景や期待役割もセットで伝えることで、「誰に、なぜ声をかけるのか」が明確になり、紹介行動が起こりやすくなります

紹介・不採用に対する心理的ハードルが高いから

リファラル採用が難しいと言われる背景には、紹介や不採用に対する心理的ハードルの高さがあります。社員は「不採用になったら今後気まずい」「紹介した自分が責任を負うのではないか」と感じやすく、紹介に慎重になりやすいからです。

紹介は、業務上の採用活動でありながら、社員のプライベートな人間関係と直結します。

そのため、求人広告や人材紹介のように企業が候補者を集める手法と比べて、社員個人が感じる負担が大きくなりやすく、結果として制度の活用が進みにくくなるのです。例えば、友人や元同僚に声をかけた以上、選考結果にかかわらず「自分が説明役にならなければならない」と思い込み、行動を控えてしまうケースもあります。

ただし、本来、不採用は紹介者の評価ではなく、採否は企業が通常の選考基準にもとづいて判断するもので、この前提が社内で十分に共有されていないと、「紹介=保証」のような誤解が生まれ、社員が過度な責任感を抱いて紹介を控える要因になります。

結果として「制度はあるのに紹介が出ない」状態に陥りやすくなるのです。

このリスクを下げるには、紹介はあくまで候補者との接点をつくる行為であり、採否は会社が判断するというスタンスを明確にすることが重要。あわせて、不採用時の連絡やフォローの方針を事前に定め、紹介者が矢面に立たなくてよい運用にすることで、紹介者の心理的負担を下げ、紹介行動が起こりやすい環境をつくれるでしょう。

制度設計・運用・改善に手間がかかるから

リファラル採用が難しいと言われる理由の一つは、制度を作るだけで終わらず、運用と改善まで含めてやるべきことが多い点にあります。ルールやインセンティブを決めた段階では土台が整ったに過ぎず、そこから社員の行動が自然に生まれるとは限りません。

実務では、社員へ継続的に周知し、募集背景や求める人物像、紹介方法や選考フローといった情報を定期的に更新・発信する必要があります。加えて、紹介がどの程度発生しているか、どの段階で止まっているかを把握し、進捗を適切に共有しながら課題を確認する工程も欠かせません。

さらに、紹介数や面談化率、採用率などの指標を一定の粒度で追い、データをもとに運用を見直すことで、制度の再現性と安定性が高まります。

このように、リファラル採用は設計・周知・運用・測定・改善がセットになりやすく、特に人事リソースが限られている企業ほど、日常業務に押されて途中で止まりやすい傾向があります。一方で、発信の型を決めたり、現場マネージャーに役割を分担したり、窓口や手順をシンプルに整えたりすれば、運用負荷を抑えながら継続することも可能。

そのため、制度を導入する際は、運用の担当範囲と発信・進捗管理の仕組みまで含めて設計することが重要です。あわせて、測定指標を決めて改善サイクルを回せる状態を最初から組み込むことで、形骸化を防ぎ、継続的に機能する制度へとつながります。

リファラル採用を成功させる6つのポイント

失敗に終わるケースも見られるリファラル採用ですが、要点を押さえて設計し、運用を継続できれば成果につなげることは十分可能といえるでしょう。特に重要なのは、制度そのものを整えることだけで満足せず、社員が安心して紹介できる状態をつくり、運用を回し続けることです。

リファラル採用を成功させるために押さえたい要素は、主に次の6つです。詳しく見ていきましょう。

採用目的・人物像・採用基準を明確にする

リファラル採用を成功させる第一歩は、「何のために採用を行い、どのような人材を迎えたいのか」を言語化し、社員が同じ理解で動けるように共有することです。採用目的が曖昧なままだと、社員は人を探す判断軸を持てず、紹介したい気持ちがあっても「誰に声をかけるべきか」を決められません。

例えば、事業拡大に伴う増員なのか、組織課題を補うための補強なのかなど、採用の背景を明確にすると、紹介の方向性が定まりやすくなります。あわせて、求める人物像はスキルや経験だけでなく、価値観や働き方、カルチャーとの相性も含めて設計することが重要です。

ここが不十分だと、「合いそうな人はいるが、本当にマッチするか確信が持てない」という迷いが生まれ、紹介行動が止まりやすくなります。

また、人物像と同時に採用基準や評価の観点を具体化し、どの点を重視するのかを社内で共通認識にしておくことも欠かせません。基準が共有されていれば、紹介後に「求めている人と違う」と言われる不安が減り、社員は安心して行動に移せます。結果として、紹介の質と量が安定しやすくなるでしょう。

そのため、リファラル採用では、採用目的・募集背景・人物像・評価基準をセットで具体化し、社員が紹介判断できる状態をつくることが重要です。最終的に、社員が自信を持って声をかけられる状態を実現できれば、紹介が継続的に生まれやすくなり、制度が安定して機能する土台になります。

社員が紹介しやすい情報開示と仕組みを整える

社員が紹介しやすい状態をつくるには、必要な情報を整理して開示し、迷わず動ける仕組みを整えることが欠かせません。情報が不足していると、社員は「何を伝えればよいのか」「紹介して問題ないのか」と判断に迷い、結果として声かけそのものが止まりやすくなるためです。

共有すべき情報は、募集背景・仕事内容・求める人物像といった基本情報だけではありません。

選考フローや連絡の流れ、紹介後に人事がどこまで対応するのか、紹介報酬(インセンティブ)の有無や支給条件なども含めて、社員が説明できる状態に整える必要があります。あわせて、「紹介は採用の保証ではなく、採否は通常の選考基準で判断する」ことや、不採用時のフォロー方針などを示しておくと、紹介者の心理的負担を下げやすくなるでしょう。

また、一度の告知で終わらせず、社内ポータルやチャットなどを活用して定期的に情報を更新・発信することも重要。募集状況や紹介の進捗を見える化できると、「制度が動いている」という実感が生まれ、社員が紹介を検討しやすくなるでしょう。

ただし、進捗共有の際は個人情報や選考評価に配慮し、公開範囲を適切に設計する必要があります。

さらに、紹介方法が複雑だと行動が止まりやすいため、フォームを整備して入力項目を最小限にしたり、問い合わせ窓口を一本化したりするなど、導線をシンプルにすることが効果的。

社員任せにするのではなく、必要な情報がいつでも確認でき、紹介手続きが迷わず進められる仕組みを整えることが、紹介の発生と継続を左右します。結果として、社員の行動負荷を下げる運用設計が、リファラル採用を成功させる重要な要因になります。

社内でリファラル採用を「文化」として浸透させる

リファラル採用は単発の施策として実施するよりも、継続的な取り組みとして社内に根付かせたほうが成果につながりやすい手法です。一度告知して制度を導入しただけでは社員の意識に定着しにくく、時間の経過とともに関心が薄れて紹介行動が起きにくくなるため、日常業務の流れの中に自然に組み込まれる状態を目指す必要があります。

そのためには、経営層やマネージャーがリファラル採用の意義を言葉で説明し、行動でも関与を示すことが重要です。上司が前向きに関与している姿勢が見えると、社員は「紹介しても問題ない」という安心感を得やすくなり、紹介を検討する心理的ハードルが下がります。

加えて、紹介が採用につながった事例や、紹介をきっかけに良いマッチングが生まれた経験を社内で共有すると、制度の活用イメージが具体化しやすくなるでしょう。

ただし、事例共有を行う際は、候補者の個人情報や選考評価に配慮し、公開範囲や表現を適切に設計することが欠かせません。個別の詳細ではなく、「どのような職種で」「どのようなプロセスを経て」「どのような学びがあったか」といった形で共有すると、再現性も高まりやすくなります。

こうした取り組みを継続することで、リファラル採用が「思い出したときにやる施策」ではなく、日常的に意識される仕組みとして定着していきます。さらに、職場環境の改善やコミュニケーション活性化などのエンゲージメント向上施策と連動させることで、社員が自社を安心して勧められる土台が強化され、紹介が継続的に生まれやすくなるでしょう。

適切なインセンティブ(紹介報酬)を設計する

インセンティブを適切に設計することは、リファラル採用を機能させるうえで重要な要素の一つ。インセンティブは社員の行動を後押しする効果がある一方で、設計を誤ると「報酬目的の紹介が増える」「社内で不公平感が生まれる」など、逆効果につながる可能性もあるためです。

特に金銭的な紹介報酬は、「紹介してもよい」と感じるきっかけをつくる点で一定の効果が期待可能。

ただし、報酬そのものが主目的になると、紹介の質が下がったり、紹介が“数合わせ”になったりするリスクは否定できません。そこで、金銭だけに依存せず、非金銭的なインセンティブも組み合わせると、制度の趣旨が伝わりやすくなります。

非金銭的なインセンティブの例としては、表彰や感謝のメッセージ、経営層からの謝意の表明などが挙げられます。なお「評価への反映」を採用する場合は、紹介しない社員が不利益を受ける印象を与えないよう、扱い方や基準を慎重に設計する必要があり、こうした要素は、社員が採用活動に貢献している実感を持ちやすくし、継続的な紹介行動につながりやすくなるでしょう。

また、報酬の支給タイミングも重要な設計ポイントです。

紹介時に支給するのか、入社時や定着確認後に支給するのかで、社員の受け止め方や制度の狙いが変わるため、企業の採用方針や不正防止の観点も踏まえて検討することが求められます。加えて、対象者の範囲や支給条件が不透明だと不満につながりやすいため、社内に対して明確に説明できる状態にしておくことが欠かせません。

そのうえで、インセンティブはあくまで行動を促す補助であり、報酬だけで紹介を動かす施策ではないことを社内で共有すると、制度への納得感が高まりやすくなります。最終的には、公平性に配慮したルール設計と、紹介しやすい情報・仕組みを組み合わせて運用することが、リファラル採用を安定して機能させるポイントになります。

紹介者・候補者へのフォロー体制を構築する

紹介者と候補者の双方を丁寧にフォローする体制を整えることは、リファラル採用を継続的に機能させるうえで欠かせないポイントです。紹介後の連絡が滞ると、紹介者は「本当に選考が進んでいるのか」と不安を感じやすくなり、その不安が次の紹介行動を止める要因になり得ます。

こうした状況を防ぐためには、選考の進捗を適切なタイミングで共有し、紹介者が状況を把握できる状態をつくることが重要。あわせて、不採用になった場合も放置せず、紹介者が納得しやすい形で結果を伝えることが求められます。

ただし、選考理由や評価内容は個人情報や選考情報に該当し得るため、本人の同意や開示範囲に配慮しつつ、伝えられる範囲で判断の方向性や背景を共有する設計が現実的です。

また、リファラル採用では「不採用は紹介者の責任ではない」という前提を、言葉だけでなく対応の一貫性で示す必要があり、紹介者が矢面に立たずに済むよう、連絡の主体は原則として人事が担う、紹介者への共有は必要最低限にするなど、運用ルールを整えておくと心理的負担を下げやすくなります。

さらに、候補者にとっての体験価値、いわゆる候補者体験(採用CX)も重要です。

説明が不足していたり対応が雑だったりすると、候補者の印象が悪化するだけでなく、紹介した社員にも「次は紹介しづらい」という感情が残り、紹介行動が継続しにくくなり、結果として、フォロー体制の弱さが制度への不信感や紹介数の減少につながる可能性があります。

そのため、紹介者が不安にならない進捗共有と、不採用時も含めた一貫した対応方針を用意することが重要。加えて、候補者に対しても丁寧で分かりやすいコミュニケーションを積み重ねることで、紹介者・候補者双方の納得感が高まり、リファラル採用が継続的に成果を出しやすくなります。

成果を定量的に測定し、改善を続ける

リファラル採用は、成果を定量的に把握し、改善を継続することで初めて安定しやすくなる採用手法です。感覚だけで運用していると、紹介が出ない原因が「制度の問題なのか」「情報共有なのか」「選考プロセスなのか」を切り分けられず、適切な打ち手を選びにくくなります。

そのため、重要な指標を定期的に追い、紹介がどの段階で止まっているのかを可視化することが欠かせません。主には、紹介数に加えて、紹介された候補者が面談につながる割合(面談化率)、最終的に採用に至る割合(採用率)、入社後の定着率などを確認すると、制度の強みと課題が見えやすくなります。

必要に応じて、選考辞退率や、紹介から応募(エントリー)までの転換率、紹介者数(紹介に参加している社員数)なども補助指標として加えると、改善の精度が高まるでしょう。

一方で、効果測定をしないまま「うまくいかない」と判断して制度を止めてしまうのは危険です。

数字を確認せずに中断すると、本当は情報共有の不足やフォロー体制の弱さ、選考スピードの遅れといった改善可能な要因に気づけず、再設計の機会を失ってしまいます。データをもとに見直しを行えば、募集情報の伝え方に課題があるのか、選考フローにボトルネックがあるのか、候補者体験(採用CX)のどこで離脱が起きているのかを具体的に特定しやすくなるのです。

そのうえで重要なのは、短期の結果だけで評価せず、検証と改善を前提に運用する姿勢を持つことです。指標をもとに課題を特定し、打ち手を更新し続けることで、紹介が生まれやすい状態を再現しやすくなります。結果として、PDCAを回す採用施策として継続運用することが、リファラル採用を成功に近づける現実的なアプローチになります。

リファラル採用が向いている企業とは?

リファラル採用は、すべての企業で同じように効果が出る手法ではなく、組織の状態や採用方針によって向き・不向きが分かれます。ここでは、成果につながりやすい企業に共通する特徴を整理し、リファラル採用を導入・強化する際の前提条件を確認できるように解説します。

代表的な特徴は次の4つです。それでは、これら4つの特徴を順に見ていきましょう。

社員エンゲージメントが一定以上ある企業

リファラル採用で成果が出やすいのは、社員エンゲージメントが一定以上ある企業です。社員エンゲージメントとは、社員が会社に対して抱く信頼や共感、働き続けたいと思える意欲の度合いを指します。

リファラル採用は、社員が「この会社なら知人に勧めても大丈夫」と思える心理を前提とするため、不満や不信感が強い職場では紹介行動が生まれにくくなります。紹介は人間関係を伴う分、社員が責任を感じやすい点も影響するのです。

ただし、非常に高いエンゲージメントは必須ではありません。

会社の方向性や働き方に納得でき、安心して紹介できる水準があれば十分です。あわせて、募集背景や人物像、選考フローが整理されていることが、紹介を後押しする土台になります。

中長期視点で採用に取り組める企業

リファラル採用が向いているのは、中長期視点で採用に取り組める企業です。

リファラル採用は「仕込み型」の手法であり、導入直後に成果が出るとは限らず、社員への周知や理解促進、紹介しやすい空気づくりには一定の時間がかかります。

また、社員が「この会社なら勧められる」と感じるまでには信頼形成が必要なため、即効性を求めすぎると形骸化しやすくなります。中長期での人材確保や組織づくりを重視し、改善を前提に運用できる企業ほど相性が良いでしょう。なお、短期で採用が必要な場合は、リファラル採用に過度な期待を寄せず、求人広告や人材紹介と併用するのが現実的。

カルチャーフィットを重視したい企業

スキルだけでなくカルチャーフィットを重視したい企業にとって、リファラル採用は相性の良い採用手法です。社員は日々の業務を通じて自社の価値観や働き方を理解しているため、「この文化に合いそうな人」を具体的にイメージしながら紹介しやすい立場にあります。

転職者採用では、スキル面に問題がなくても価値観のズレから早期離職につながることがあるため、面接だけでは見えにくい相性を補完できる点はリファラル採用の強み。紹介者が候補者の人柄や仕事観を把握しているケースも多く、入社後に職場へなじみやすい人材につながりやすくなります。

一方で、紹介が同質的な人材に偏ると多様性が損なわれる可能性があります。そのため、カルチャーフィットを重視しつつ、母集団の幅を確保する採用手法も併用することが重要。あわせて、評価基準を明確にし、紹介経由でも通常選考と同じ基準で判断する姿勢を徹底すると、ミスマッチと偏りのリスクを抑えやすくなります。

社内コミュニケーションが比較的活発な企業

社内コミュニケーションが比較的活発な企業では、リファラル採用が機能しやすくなります。

部署間や人事と現場の情報共有が日常的に行われていると、募集背景や求める人物像が自然に社員へ伝わり、「この人に声をかけてみよう」という発想が生まれやすくなるためです。

一方で、人事と現場が分断されている組織では採用情報が届きにくく、紹介が停滞しがち。日頃のコミュニケーション量が少ないと、紹介について相談すること自体の心理的ハードルも上がり、疑問や不安が解消されないまま行動が止まってしまいます。

そのため、普段から気軽に相談できる関係性があり、採用に関する情報がタイムリーに共有されている企業ほど、社員が紹介判断に必要な情報を持ちやすく、紹介行動が起こりやすい状態になります。コミュニケーションの積み重ねは、結果として採用力の底上げと制度の継続運用にもつながるのです。

リファラル採用に関するよくある質問

リファラル採用について、実務でよく寄せられる質問をまとめました。

少人数の会社でもリファラル採用は機能しますか?

はい、少人数の会社でもリファラル採用は機能します

リファラル採用において、社員数が少ないこと自体は致命的な制約ではなく、むしろ少人数組織は関係性が近いため、採用目的や求める人物像を共有しやすく、「今どんな人を探しているか」が社内に伝わりやすいという強みがあります。

一方で、紹介の母数は社員数に比例しやすいため、短期間で多数の紹介を期待しすぎるとギャップが生まれます。そのため、制度を過度に複雑化せず、募集背景・人物像・紹介方法をシンプルに整理したうえで、声をかけやすい環境づくりから始めることが現実的です。

リファラル採用はどれくらいの期間で成果が出始めますか?

結論として、リファラル採用は即効性のある手法ではなく、成果が出始めるまでに数か月単位の時間を見込むのが現実的です。目安として数か月〜半年程度で動きが出るケースもありますが、職種の難易度や社内浸透の状況によって幅があります。

時間がかかりやすい理由は、制度を整えるだけで紹介が増えるわけではなく、社員への周知と理解促進、紹介しやすい空気づくり、そして社員が「この会社なら勧められる」と感じる納得感の形成が必要になるためです。加えて、紹介は相手側の転職意向やタイミングにも左右されるため、成果の出方にはばらつきが生じます。

成果が出る前の期間は、募集背景・人物像・選考フローの情報共有を整え、紹介者と候補者のフォロー体制を見直しながら運用を改善することが重要。短期間で結果が出ないことだけで失敗と判断せず、中長期の前提で検証と改善を続ける姿勢が成果につながるでしょう。

社員から紹介が出ない場合、最初に見直すべき点は何ですか?

結論として、社員から紹介が出ない場合は、制度そのものよりも情報共有と伝え方を最初に見直すべきです。社員が「誰を、なぜ採用したいのか」を具体的に理解できていなければ、紹介したい気持ちがあっても判断できず、行動に移りません。

まず確認したいのは、募集背景・求める人物像・評価基準・選考フローが、社員が説明できるレベルで整理されているかという点です。これらが曖昧だと、社員は「声をかけてよい相手か分からない」「紹介してミスマッチだったら気まずい」と感じ、知り合いへの声かけ自体をためらいやすくなります。

あわせて、紹介は採用の保証ではなく、採否は通常の選考基準で判断されることや、不採用時のフォロー方針が共有されているかも重要です。

紹介が出ない理由を社員のやる気不足と決めつけるのではなく、設計・運用側の前提条件が整っているかを点検し、まずは情報の整理と発信を優先したうえで、紹介導線やインセンティブなどの仕組みを整える流れが効果的です。

リファラル採用を浸透させて採用成果を向上させよう

この記事では、リファラル採用が「制度を作れば自然に紹介が増える手法ではない」ことを前提に、失敗しやすい要因と成功のポイントを整理しました。成果は社員エンゲージメントや情報共有の質、運用の継続性に左右され、紹介が出ない原因を社員の意欲だけに求めると形骸化しやすくなります。

成功させるには、採用目的・人物像・採用基準を明確に共有し、紹介しやすい情報と導線、紹介者・候補者へのフォロー体制を整えることが重要です。さらに指標を定量的に追い、改善を続けることで制度は安定します。

まずは小さく回し、改善を重ねながら採用成果を最大化していきましょう。

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執筆者

金田大和

株式会社b&q 執行役員

横浜国立大学卒。プロップテック企業にて、リテンションマーケティング事業や人事コンサルティング事業の立ち上げ、事業責任者として推進。その後、代表高稲とb&qを共同創業し、現在は執行役員として、多くの企業にHRを通じて本質的な価値を届けるべく、コンサルティング事業を含む複数のHR事業を管掌。これまでのキャリアを通じて合計500社以上の人事と対話し採用/組織改善を図る。

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