コラム
採用課題改善

エンジニアの採用コストの相場は?コストを抑えるポイントや採用手法を解説

エンジニアの採用コストの相場は?コストを抑えるポイントや採用手法を解説

「エンジニア一人を採用するのに、一体いくらかかるんだ……。」

「エージェントの紹介料が高騰しすぎて、予算を使い果たしてしまった……。」

――「採用コストの肥大化」は、エンジニア争奪の中で、多くの企業が直面している切実な課題です。

本記事では、エンジニア採用のコスト相場を徹底比較。見落としがちな内部コストから、採用手法ごとの費用感、さらには質を維持したままコストを削減する改善策までを体系的に解説します。

採用コストの構造を正しく把握し、自社に最適なチャネルを選択することで、限られた予算を最大限に活かした「投資対効果の高い採用」が実現可能になります。人事担当者はもちろん、戦略判断を担う経営層の方も、ぜひ最後までご覧ください。

採用コストとは?

採用コストとは、エンジニアを1名採用するために、募集から内定承諾までに発生した費用の総額を指します。入社後の研修費まで含めるかは企業で異なるため、定義を先に揃えることが重要です。

内訳は大きく、求人広告・紹介手数料・採用ツール費などの支出と、選考対応に要した稼働の金額換算に分かれます。ここでは外部コスト(支出)と内部コスト(工数)として整理します。

外部コストは請求書で把握しやすい一方、内部コストは「稼働時間×時間単価(人件費)」で見積もる必要があります。採用担当や面接官の稼働を含めないと、実態より低く見える点に注意が必要でしょう。

見落とされやすいのは、書類選考や面接、日程調整などの日々の社内工数の積み重ねです。小さな負担でも回数が増えると総量は膨らみ、採用単価の上昇につながります。

費用と工数をチャネル別・工程別に分解し、構造的に可視化すれば、無駄な投資や改善余地が明確になります。結果として、費用対効果の高い採用運用に近づくはずです。

採用コストの平均や計算方法、改善の進め方は別記事で詳しく解説しています。

採用単価の計算方法や改善の着眼点は、こちらの記事で解説しています。
一人当たりの採用コストの平均は?計算方法と改善ポイントを解説

エンジニア採用の相場

なぜエンジニア採用の単価が跳ね上がるのか。仕組みを押さえるだけで打ち手が変わります。

エンジニア採用は、外部費用に加えて選考の社内工数も膨らみやすい領域です。
人材紹介など年収連動の手法では、条件次第で1人あたり100万円を超えることもあります。

背景にあるのは、IT人材の供給不足とスキル要件の細分化、即戦力ニーズの集中。
競争が激しくなるほど、スカウト配信量や広告運用が増え、母集団形成コストも上がりがちです。
だからこそ、自社の要件に合うチャネルを選び、費用構造ごとに予算配分しないといけません。

ここでは、代表的な費用の目安とコストが動くポイントを整理していきます。

新卒採用の場合

新卒採用の場合、採用単価はナビ媒体の利用、イベント出展、インターンシップの運営などによって大きく変動しますが、目安はおよそ90万円(数十万円〜100万円前後)です。条件によって上下します。

インターンを行う場合、学生への報酬・会場費などの外部費用に加え、メンター対応やレビュー、受け入れ調整といった内部コスト(現場工数)が積み上がりやすい点にも目配りが必要です。

負担が増えやすいのは、応募者対応、面談調整、評価会議など“都度発生する運用”の連続です。さらに登壇準備や資料作成、評価基準のすり合わせが加わると、回数に比例して総工数は膨らんでいきます。

新卒採用は育成を前提に設計されることが多い一方、費用範囲を曖昧にすると手法間の比較ができません。本記事では採用活動費と育成費を切り分け、研修など入社後コストは参考扱いとします。

採用初期の単価だけで判断せず、承諾率・定着率・立ち上がり期間まで含めて費用対効果を確認しましょう。KPIを月次で見直し、数字が良い施策に投資を寄せるほど、判断の再現性が高まるはずです。

中途採用の場合

中途採用の場合、エンジニアの採用単価は手法や採用難易度で幅があります。目安としては1人あたり100万円前後〜100万円台前半の水準といわれており、ハイクラスほど上振れしやすい傾向です。

人材紹介を使う場合、成功報酬は年収の30〜35%が一般的なレンジとされます。年収が上がるほど手数料も連動して増えるため、採用単価が跳ね上がりやすい構造でしょう。

スカウト媒体の利用料や採用広報の制作費など、外部支出だけで完結しません。候補者対応や条件調整、社内稟議といった時間もコストであり、見落とすと総額が歪みます。

特に盲点になりやすいのが、面接調整や技術課題のレビューなどに要する現場エンジニアの稼働負担です。採用が長期化するほど工数が積み上がり、開発への影響も出やすくなります。

採用チャネルによって課金形態も運用負荷も異なるため、単価だけで決めるのは危険です。採用要件と体制に合わせて手法を選び、必要に応じて組み合わせる判断が成果に直結します。

採用手法別の平均単価

採用手法ごとに課金の仕組みと発生コストは大きく異なります。外部費用だけでなく社内工数も含め、同じ前提で比較できるよう費用構造を揃えて把握することが重要です。

判断材料は「1人あたりの金額」だけに限りません。採用スピード、成功率、運用に必要な体制、応募母集団の質まで含めて評価すると、手法選定の精度が上がります。

外部費用が安く見えても、応募対応や候補者管理で工数が増えれば総コストは下がりません。運用負荷を見積もり、費用と工数をセットで設計する視点が欠かせないでしょう。

下表は、代表的な採用手法の費用目安と料金形態を整理したものです。数値は算出範囲や契約条件で変動するため、比較の起点として活用してください。

※下表は、“1件あたり平均採用コスト”であり、社内工数(内部コスト)は別途発生。

採用手法費用目安料金形態
スカウトサービス約 91.4万円月額固定型
成功報酬型
人材紹介約 85.1万円成功報酬型
求人広告約 28.5万円掲載課金型
成功報酬型
クリック課金型
求人情報誌・チラシ約 11.3万円掲載課金型
リファラル採用約 4.4万円紹介報酬
自社採用サイト約 2.8万円自社運用

※上表の金額は、“1件あたり平均採用コスト”であり、社内工数(内部コスト)は別途発生します。

参考:採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査

人材紹介は候補者推薦を受けられ短期で決まりやすい一方、年収連動の成功報酬で単価が上がりやすい手法です。依存が続くとコストが固定化する懸念もあります。

求人広告は母集団形成に強いものの、訴求やターゲット設計が弱いと応募が伸びず費用対効果が悪化します。掲載後の改善運用まで含めた計画が求められるでしょう。

スカウトやリファラルは外部費用を抑えやすい反面、候補者選定や文面作成、対応品質の担保など社内運用が前提です。体制とKPIを整え、無理のない組み合わせにしましょう。

エンジニアの採用コストが高騰する理由

エンジニア採用のコスト高騰は、「人手不足」だけでは片づけられません。

需給の偏り、スキル要件の細分化、採用手法の複雑化などが重なり、総コストを押し上げます。
まずは、どの要因が自社の単価上昇につながっているのかを切り分けることが重要。

ここからは、採用コストが高くなりやすい代表的な理由を整理します。

エンジニア人材の需給ギャップの拡大

採用競争が激しくなる根本には、需要に対して供給が追いつかない構造があります。希少な人材を巡る競争が強まり、採用のリードタイムも伸びやすい。結果として採用単価が上がりやすくなります。

DX推進、内製化、SaaS活用、セキュリティ強化などで需要は増える一方、実務経験を積むには時間がかかります。職種の細分化も進み、転職市場では経験者に需要が集中しがちでしょう。結果、供給の伸びが追いつきにくいのが実情です。

経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、2030年の不足が最大約79万人に拡大する可能性が示されています。これは市場成長の前提に置いた推計で、幅がある参考値と捉えるのが安全です。

需給ギャップが広がると、紹介手数料や提示年収が上がりやすく、採用単価の上昇に直結します。加えてスカウト送信量や広告投資を増やさざるを得ず、外部コストも膨らみがちです。条件交渉の難度も上がります。

適切な人材が見つかるまでが長引くほど、書類選考、面接、日程調整などの社内工数が積み上がります。採用担当だけでなく現場エンジニアの稼働も増え、内部コストが見えにくく膨張する点に注意が必要です。

市場環境の変化は一社で止められません。だからこそ、要件設計とチャネル配分、選考プロセス短縮で、外部費用と内部工数の両面からコスト上昇を抑える設計が求められるでしょう。優先順位をつけて改善を回すことが現実解です。

参考:IT人材需給に関する調査

エンジニアに求められるスキル・経験の高度化

採用単価が上がる要因の一つは、技術要件の高度化・細分化です。求める条件が狭いほど該当者が減り、採用難易度は上がりやすくなります。結果として、採用期間の長期化や追加投資につながるでしょう。

AI、データ分析、クラウド、セキュリティ、SREなどへの対応が求められる場面が増えました。一方で、実務経験のある人材は限られます。経験者に需要が集中しやすく、競争が起きやすい領域といえます。

スキルが細分化するほどターゲット母集団は縮小します。スカウト数や媒体費を増やしても応募が集まりにくく、費用が先に膨らむケースも少なくありません。母集団形成の効率が落ちやすい構造です。

候補者の技術力を見極めるには、現場エンジニアの協力が欠かせません。技術面接、課題のレビュー、評価会議などが増えると、面接官稼働という内部コストが積み上がります。見えにくい負担ほど管理が必要でしょう。

要件を詰め込みすぎると、採用難易度を不必要に上げてしまいます。Must/Wantを切り分け、代替可能なスキルを定義するなど、市場の実態に合わせた柔軟な要件設計が重要です。狙うべき層も再検討したいところです。

採用チャネルの多様化によるコスト増加

採用チャネルが増えるほど運用は複雑化し、総コストが上がりやすくなります。外部費用だけでなく、管理と運用にかかる工数が増えるためです。結果として、採用単価が想定以上に膨らむこともあります。

人材紹介や求人広告に加え、ダイレクトリクルーティング、SNS、イベントなど手法は多様化しています。選択肢が増えた一方で、運用の難度も上がりました。チャネル追加は「成果の上積み」だけを保証しません。

複数チャネルを並行する場合、原稿作成、スカウト文面、候補者対応の工数が増えます。管理画面や運用ルールもバラつき、担当者の負担は積み上がりがちです。見えにくい内部コストが膨張する構図でしょう。

設計が曖昧なまま手法を増やすと、同じ候補者への重複アプローチや選考基準のブレが起きます。結果、候補者体験の悪化や辞退増にもつながりかねません。投資が分散し、改善も回りにくくなります。

KPI管理がない場当たり運用では、成果の出ない媒体への投資を続けるリスクが高まります。チャネル別に指標を揃え、継続・停止の判断基準を持つことが重要でしょう。優先順位の明確化がコスト抑制に直結します。

採用媒体(チャネル)については、こちらの記事もご参照ください。
採用媒体(求人サイト)おすすめ25選を比較!企業側が見るべき選定基準も解説

採用競争の激化による条件面・報酬面の上昇

採用競争が激化すると、報酬や働き方など提示条件に影響が出ます。候補者の選択肢が増えるほど、企業側の条件提示はシビアになりがちです。結果として、採用コストは外部費用だけでは語れません。

優秀なエンジニアほど複数社の選考を並行し、条件比較と意思決定のスピードを重視します。選考が長引けば辞退につながるため、企業はスピード改善を迫られます。選考体験の質が競争力になる局面でしょう。

獲得のために年収レンジを引き上げたり、サインオンなどのオファー条件を強化したりする動きも見られます。加えて、採用広報・ブランディングへの投資が必要になるケースも増えています。条件だけで差別化できないためです。

スピード対応には、面接枠の確保や意思決定プロセスの短縮など、専用体制の整備が欠かせません。ここで増えるのが面接官稼働や調整工数といった内部負担です。採用活動の固定費化にも注意が必要でしょう。

外部コストを削るだけでは限界があります。年収レンジや総人件費の上昇も前提に、要件の再定義や選考設計、魅力訴求の見直しまで含めて対策を検討する必要があります。コストと競争力のバランスが重要です。

採用ブランディングについては、こちらの記事もご参照ください。
採用ブランディングとは?進め方から有効な方法(採用手法)までを徹底解説

採用活動の属人化・非効率化

採用単価を押し上げる要因として見落とされやすいのが、採用活動の属人化と非効率です。仕組み化されていない運用は、工数と機会損失を生みやすくなります。結果として、コストが静かに膨らむ構造が生まれます。

属人化とは、担当者や現場の経験・勘に依存し、組織として再現性のない状態で採用が進むことです。判断基準や手順が共有されないため、引き継ぎが難しく、品質も安定しません。改善が属人的になり、学習が蓄積されにくい点も課題でしょう。

選考基準が曖昧だと面接回数が増え、日程調整も長引きます。スピードが落ちれば候補者の辞退リスクが高まり、採用成功数が減って単価が上がりやすくなります。現場負荷も増え、内部コストが見えにくく膨張しがちです。

判断が感覚的になると、費用対効果の低いチャネルへ投資を続ける恐れがあります。加えて、情報共有の断絶や対応のばらつきが起きやすく、候補者体験の悪化にもつながります。「やり方が人によって違う」状態は危険信号です。

PDCAが回らない体制では、採用の遅れが開発計画に影響し、機会損失を招くリスクも高まります。採用は人事だけの課題ではなく、事業の速度に直結する要素です。だからこそ、属人化は放置できません。

改善には、プロセス全体の可視化とKPIによる管理が必要です。評価基準・フロー・役割分担を明文化し、数値でボトルネックを特定できる状態をつくると、再現性のある改善が進みます。

エンジニアの採用コストを抑えるポイント

採用コストを下げる鍵は、出費を削ることではありません。
ムダと非効率を減らし、投資配分を最適化する発想が必要です。

そのためには、現状の分解とデータの可視化が出発点になります。
課題が見えれば、打つべき手は絞り込めるはずです。

ここでは、採用単価を押し上げる要因を整理し、コスト最適化につながる具体策を順に解説します。

採用コストの削減については、こちらの記事もご参照ください。
採用コスト削減の7つの方法!コスト増大の原因や削減ポイントを徹底解説

採用コストが高くなっている要因を可視化する

採用コストを抑える第一歩は、「どこで・どれだけ」費用と工数が発生しているかの分解です。総額だけを見ても、真のボトルネックは特定できません。まずは可視化で現状を把握しましょう。

請求書の合計は外部支出しか示しません。実際には、応募対応や面接調整などの社内稼働が積み上がり、総コストを押し上げます。外部費用と内部工数を切り分けて見ないと、打ち手を誤る恐れがあります。

外部コストは紹介手数料、広告費、スカウト媒体費、ツール費などが対象です。内部コストは面接官稼働、書類選考、日程調整、候補者対応などを「時間×単価」で数値化します。支出と工数を同じ土俵で把握するのがポイントです。

次に、採用ファネルごとに数値を揃えます。チャネル別の応募数、有効応募率、書類通過率、面接通過率、内定率、承諾率などを見れば、詰まりが可視化されます。採用ファネルは「募集→応募→選考→内定→入社」の流れです。

データに基づきボトルネックを特定できれば、成果に結びつかない投資を減らせます。予算配分と運用工数の最適化が進み、費用対効果の高い採用設計に近づくでしょう。

採用要件・ターゲットを見直す

採用単価が上がる典型要因は、要件が市場実態より過剰で母集団が極端に減ることです。候補者が集まらなければ、スカウト量や紹介依存が増え、結果としてコストが膨らみやすくなります。

まずは必須条件と希望条件を切り分け、求めるレベルを再定義します。年数だけで判断せず、担当業務で必要なスキルを具体化することが重要でしょう。Must/Wantの整理ができると、母集団形成の精度が上がります。

特定言語の「○年以上」やフルスタック必須などは、ターゲットを狭めやすい条件です。代替可能なスキルや学習可能な領域を明確にし、条件の優先順位をつけると、スカウト効率の改善につながります。

ターゲットの見直しも有効です。若手のポテンシャル採用や、近接領域からの転用を検討すれば、候補者層を広げられます。勤務地・リモート条件、業界経験の扱いも含め、刺さる層を再設計したいところです。

市場環境に即した要件定義ができれば、無駄なスカウトや面接を減らせます。結果として選考工数が下がり、効率的な人材確保につながるでしょう。

人材紹介依存からの脱却を検討する

人材紹介は有効な手段ですが、依存度が高いほど採用単価が上がりやすくなります。紹介中心の構造を見直し、チャネルを分散させることが中長期のコスト最適化につながるでしょう。

紹介会社は候補者推薦を受けられ、採用の確度を高めやすい点が強みです。一方で成功報酬は年収連動で、30%前後となる契約も一般的です。年収が上がるほど費用も連動し、単価が高止まりしやすい点に注意が必要です。

依存しすぎると、自社に候補者データや応募導線が蓄積されません。結果として、母集団形成のノウハウが育たず、採用市場の変化に弱い体質になりがちです。採用力の内製化が進まないことがリスクになります。

現実的な打ち手は、紹介の役割を限定することです。希少ポジションや急募のみ紹介を使い、それ以外はダイレクトリクルーティングやリファラル、自社サイト流入へ寄せる設計が有効でしょう。使い分けで費用と確度を両立できます。

自社で直接アプローチする体制が整えば、外部支払いを抑えやすくなります。候補者プールが資産として残るため、次回採用のスピードとコストにも効いてくるはずです。

自社採用ページ・採用広報を強化する

自社サイト経由の応募が増えるほど、外部媒体やエージェントへの依存は下がります。結果として支払い型コストを抑えやすくなり、採用のコスト構造は健全化しやすいでしょう。

導線を整えて応募率(CVR)を上げられれば、同じ流入数でも応募数が増えます。分母が増えることで採用単価が下がりやすくなるのが基本構造です。まずは求人ページの情報設計を見直したいところです。

テックブログやSNSで、開発環境、技術スタック、働き方、評価の考え方などを発信します。候補者が判断できる情報を透明性高く出すことが重要です。「どんな環境で何を任されるか」が伝わると応募の質も上がります。

継続的な発信は、外部サービスでは伝えきれない魅力を蓄積できます。転職潜在層との接点を保ち、採用開始時に母集団を立ち上げやすくなる点が強みです。短期効果だけで評価しない視点が必要でしょう。

情報の充実はミスマッチ防止にも効きます。期待値のズレが減れば辞退や早期離職の抑制につながり、総コストの改善が期待できます。採用広報はコスト削減の土台として位置づけるのが現実的です。

リファラル・SNS採用を活用する

リファラル採用やSNS発信は、外部費用を抑えつつ候補者と接点を持てる手段です。ただし「極めて低コスト」とは限らず、運用工数やインセンティブ設計を含めて総コストで捉える必要があります。

リファラルは紹介手数料が発生しない一方、紹介報酬や制度運用の工数がかかります。それでも社員経由で情報の解像度が上がり、マッチ度が高まりやすい点は強みでしょう。定着率も高まる可能性があります。

制度を形骸化させないには、紹介フローを簡単にし、紹介しやすい素材を用意します。加えて、紹介者へのインセンティブや評価の公平性も設計が必要です。「紹介しやすさ」と「継続性」が成果を左右します。

SNSは短期の採用成果だけを狙うと失速しがちです。技術発信やコミュニティ参加を通じて認知と共感を積み上げ、転職潜在層との接点を増やす位置づけが現実的でしょう。継続投稿の体制づくりが鍵になります。

現場エンジニアの協力が得られれば、情報発信の質が上がり、母集団形成が安定します。外部媒体に依存しすぎない採用基盤を作れる点がメリットです。社内リソースをどう確保するかが成否を分けます。

SNS採用については、こちらの記事もご参照ください。
SNS採用とは?明日から実践できる採用戦略や成功のコツを徹底解説

内定辞退・早期離職を防ぐ仕組みを整える

内定辞退や早期離職は、これまでに投じた広告費や選考工数の回収を難しくします。採用成功数が減るほど1人あたりの単価は上がり、追加採用でコストが重なる点がリスクでしょう。

辞退防止には、選考スピードの改善が優先です。加えてカジュアル面談で魅力を具体化し、役割や評価、働き方を早期にすり合わせます。不安を放置せず、意思決定を支えるフォローが必要です。

入社後の離職を防ぐには、期待値のズレを早期に解消します。メンター制度や定期的な1on1、オンボーディングの設計で支援体制を整えることが重要です。現場任せにしない運用が欠かせません。

採用のゴールは入社ではなく、定着と活躍に置くべきです。候補者体験を最適化し、ミスマッチを減らすほど損失は小さくなります。選考段階での情報開示と相互理解が鍵になります。

フォロー体制が整えば、早期離職による再採用の追加投資を抑えられます。結果として、実質的な採用コストの低下につながるでしょう。採用と定着を一体で設計する発想が重要です。

内定承諾については、こちらの記事もご参照ください。
内定承諾率を上げる8つの方法を紹介!承諾率の平均値や主な辞退理由を解説

採用KPIを設定し、費用対効果を検証する

採用を効率化するには、KPIを定めて数値で改善を回すことが重要です。感覚に頼ると打ち手がぶれ、同じ失敗を繰り返しがちです。まずは測れる状態をつくり、PDCAを継続しましょう。

モニタリングすべき指標は、採用単価、チャネル別CPA、内定率、承諾率、辞退率などです。ファネルのどこで詰まっているかを把握できれば、改善ポイントが明確になります。指標は少数に絞ると運用が回ります。

数値は職種やスキルレベル別に分けて管理します。混在させると平均値が意味を失い、判断を誤りやすいからです。職種・レイヤー別のKPI設計ができると、施策の効果検証が精緻になります。

運用は月次のレビューが基本です。ボトルネックを特定し、仮説を立て、施策を実行して検証します。改善のサイクルが回れば、再現性のある採用プロセスが育ちます。担当者が変わっても崩れにくくなるでしょう。

データに基づく意思決定ができれば、成果の出にくい投資を止められます。結果として、効果の高いチャネルへ集中投資が可能になります。費用対効果を継続的に上げる土台として、KPI運用は不可欠です。

採用ROIについては、こちらの記事もご参照ください。
採用ROIとは?計算方法や活用方法・ROIを高めるためのポイントを解説

エンジニア採用におすすめの採用手法

エンジニア採用は手法が多く、選び方次第で採用単価が大きく変わります。

大切なのは、各費用構造と運用負荷を理解し、自社の要件や体制に合うチャネルを組み立てること。

ここからは、代表的な手法の特徴とコスト面のポイントを整理します。

採用代行(RPO)

RPO(採用代行)は、採用業務の一部または全部を外部に委託し、社内の負荷を軽減する手法です。採用体制を補強しやすく、担当者不足の解消にもつながります。運用の設計次第で効果が変わる点に注意が必要です。

委託範囲は、スカウト配信、応募対応、日程調整、進捗管理、レポート作成などが代表例です。業務を切り出すことで、採用担当は要件設計や面接品質など重要領域に集中できます。現場の巻き込み方も整理しやすくなるでしょう。

特に選考スピードが課題の企業では、即効性が出やすいケースがあります。候補者対応の遅れが原因で辞退が増えている場合、改善余地が大きいはずです。スピード改善は承諾率にも影響しやすい領域といえます。

費用体系は月額固定、従量、成果連動など様々で、採用人数によって1人あたりの費用は変動します。単価だけで評価せず、削減できた工数と成果を含めて総コストで判断する視点が欠かせません。

RPOは汎用型からエンジニア採用特化型まで選択肢があります。得意領域、対応範囲、レポーティング品質、運用改善の提案力など、比較軸を明確にして選びたいところです。契約前にKPIと役割分担を握ると失敗が減ります。

最適なパートナーは企業規模や課題で変わります。自社のボトルネックに合う委託範囲を定め、段階的に導入すると効果検証もしやすいでしょう。次の記事では、企業規模別におすすめのRPOサービスを紹介しています。

【エンジニア採用特化】のRPOについて、こちらで紹介しています。
エンジニア採用におすすめのRPO(採用代行)10選!IT・製造業別に徹底比較

RPOについては、こちらの記事もご参照ください。
RPO(採用代行)とは?サービス内容や導入に向いている企業の特徴を解説

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業がデータベース等から候補者を探し、直接スカウトする能動的な採用手法です。仲介を挟まないため、採用の主導権を持ちやすい点が特徴でしょう。成果は運用設計に大きく左右されます。

成功報酬に依存しにくく、候補者との接点を自社に蓄積できるのが強みです。採用が一過性で終わらず、次回以降の採用にも活かせます。候補者プールが資産になる点は中長期のメリットといえます。

スカウト送信から面談誘導、選考への接続まで対応範囲は広めです。転職顕在層だけでなく、意欲が高くない潜在層にもアプローチできます。要件が厳しいポジションほど、攻めの採用として効果が出やすい局面もあります。

費用モデルは月額固定型や成功報酬型、併用型などがあり、媒体や契約で異なります。自社で運用をコントロールできる反面、KPIと運用ルールが曖昧だとコストだけが増えやすい点に注意が必要です。

最大の論点は工数です。候補者選定、文面作成、返信対応、日程調整までを回すには時間がかかります。専任担当者や現場協力が不足すると成果が伸びません。外部費用だけでなく内部工数を含めて判断したいところです。

採用単価の最適化を狙う企業や、自社の魅力を主体的に伝えたい組織に向きます。運用体制を整え、改善サイクルを回せるかが成否を分けるでしょう。

おすすめのダイレクトリクルーティングを紹介しています。
ダイレクトリクルーティングのおすすめサービス一覧26選!費用やメリットを解説

ダイレクトリクルーティングについては、こちらの記事もご参照ください。
【エンジニア採用】ダイレクトリクルーティングのおすすめ8選を徹底比較

リファラル採用

リファラル採用は、社員の知人・友人を紹介してもらう採用手法です。紹介会社への成功報酬が不要なため、外部費用を抑えやすく、エンジニア採用でも低コストになりやすい傾向があります。成果は制度設計に左右されます。

信頼関係にもとづく紹介のため、カルチャーや働き方の実態が伝わりやすい点が強みです。入社後の定着率が高まる可能性もあります。ただし効果は組織や運用次第で、過度な期待は禁物でしょう。

一般的な流れは、社内告知→紹介→カジュアル面談→選考→内定の順です。外部への手数料は発生しない一方、紹介者対応や選考調整などの運用工数は必要になります。仕組みがないと、紹介が単発で終わりがちです。

紹介報酬は支給しない企業もあれば、数万円〜数十万円程度を設けるケースもあります。費用対効果を高めるには、報酬だけでなく「紹介しやすさ」を整えることが重要です。紹介フローの簡潔さが成果に直結します。

向いているのは、社員が自社を推薦できる環境があり、紹介用の素材が整っている企業です。求人票、紹介文、候補者が知りたい情報のまとめがあると動きやすくなります。現場の巻き込み方も設計したいところです。

制度設計と社内浸透を継続すれば、採用力の底上げにつながります。自社の採用基盤を強くする施策として位置づけ、KPIを置いて改善を回すと効果が安定するでしょう。

リファラル採用については、こちらの記事もご参照ください。
リファラル採用とは?報酬制度やメリット・デメリットを徹底解説

人材紹介(エージェント)

人材紹介(エージェント)は、紹介会社が保有する登録者から要件に合う人材の推薦を受ける手法です。採用決定時に費用が発生する成功報酬型が一般的で、採用の確度を高めやすい点が特徴でしょう。

採用が決まるまで基本的に費用が発生しないため、初期コストは抑えやすい傾向です。加えて、候補者のスクリーニングや一次調整を任せられます。社内の採用体制が薄い場合、スピード面で助けになるケースもあります。

対応範囲は、要件のすり合わせ、候補者推薦、日程調整、内定後の条件交渉まで幅広い領域です。候補者対応の負荷を外出しできる一方で、現場面接や意思決定の遅れは自社側で解消する必要があります。役割分担の明確化が重要です。

費用は年収の一定割合(30%前後)で設定される契約が多く、年収が上がるほど支払いも増えます。年収連動で単価が上がりやすい構造のため、使いどころを絞る運用が効果的でしょう。急募や希少職種に限定する考え方も有効です。

ノウハウが不足している成長企業や、特定スキルの即戦力を短期で確保したい場合に向きます。複数エージェントの併用では、要件ブレや重複推薦を防ぐ設計が欠かせません。情報共有のルールも整えたいところです。

運用を最適化すれば、限られたリソースでも採用成功の確度は上げられます。紹介依存を前提にせず、他チャネルと組み合わせることで、単価とスピードのバランスを取りやすくなるでしょう。

人材紹介については、こちらの記事もご参照ください。
人材紹介サービスおすすめ24選を比較!費用・手数料など一覧で紹介

求人広告

求人広告は、求人サイト等に情報を掲載し、幅広い層に募集をかける手法です。母集団形成に向き、短期間で露出を増やしやすい点が特徴でしょう。成果は媒体選定と訴求設計に左右されます。

課金モデルは掲載課金型やクリック課金型などが代表例です。予算を投下すれば認知を広げられる一方、応募数や応募の質が伴わなければ費用対効果は下がります。想定KPIを置いた運用が欠かせません。

業務範囲は求人票作成、掲載設定、応募対応、スクリーニングまで多層的です。エンジニア採用では、職種特性に合う媒体を選べるかが成果を左右します。媒体特性とターゲットの一致が重要でしょう。

設計が曖昧だと、意図しない応募が増えて選考工数を圧迫します。求めるスキルや役割、働き方、評価の考え方を具体化し、ミスマッチを減らす必要があります。訴求の具体性が応募の質に直結します。

大量採用を予定している組織や、幅広い層に社風や事業を認知してもらいたい企業に向きます。一方で、希少スキルの即戦力採用では、他手法との併用が現実的なケースもあるでしょう。

運用の鍵は改善サイクルです。クリック率、応募率、通過率などを見て原稿とターゲットを調整します。データに基づく改善運用を続けることで、費用対効果を高めやすくなります。

求人広告については、こちらの記事もご参照ください。
求人媒体(求人広告)おすすめランキング15選を比較!費用を比較表で紹介

エンジニア採用コストに関するよくある質問

エンジニア採用のコストは、構造が複雑で見えにくいものです。
そのため、判断に迷うポイントがいくつも出てきます。

ここでは、人事担当者からよく寄せられる質問に絞って回答します。
自社の採用状況と照らし合わせ、改善の糸口を見つけてください。

採用コストの見直しは、何から始めればよいですか?

採用コストの見直しは、まず外部費用と社内工数を分解し、最大のボトルネックを可視化することから始めましょう。総額の把握だけでは原因が特定できず、改善策を導き出すことが難しくなるためです。

次に、応募数や通過率を整理し、課題が集中している工程を特定。承諾率が低いなら提示条件、通過率が低いならターゲットの再定義というように、改善すべき優先順位が事実ベースで明確になります。

分析なしに施策を増やすと、費用と工数だけが膨らむリスクがあります。影響の大きな箇所に絞って改善し、数値で効果を検証するサイクルを回すことが、コスト最適化の最短ルートとなります。

採用にかかるコストには、どのような内訳がありますか?

採用コストは、外部への支払い(外部コスト)と、社内の人件費(内部コスト)の合計で算出します。両方を合算して定義しないと、実態よりコストが安く見えるため正確な判断を誤る恐れがあります。

外部コストには、紹介手数料や広告掲載費、媒体利用料などが含まれます。請求書で管理しやすく、チャネルごとに費目を整理することで「どの媒体が効率的か」を容易に比較することが可能。

内部コストは、面接や日程調整、評価会議などに費やした「稼働時間×人件費」で算出するのが一般的です。社内の支出ルールに従って区分を統一し、漏れなく計上しましょう。

採用単価はコスト総額を採用人数で割って算出しますが、辞退が増えるほど単価は上昇する点に注意が必要。実態に沿って外部・内部を正確に仕分けることが、効果的なコスト管理への第一歩となります。

採用の質を落とさずにコストを下げることは可能ですか?

質を落とさずコストを下げるには、支出の削減ではなく、ミスマッチや選考の長期化を減らすことに注力しましょう。プロセスの最適化こそが、質を保ちながら採用単価を下げる本質的な解決策です。

まずは要件を最適化してターゲットを再設計し、評価基準の統一によって選考リードタイムを短縮します。不要なこだわりを排除して母集団を広げつつ、選考スピードを上げることで、無駄な工数を大幅に削減できます。

次に、広報の解像度を上げて承諾率を高め、オンボーディングの整備により早期離職を防止しましょう。情報のズレをなくして期待値を揃えれば、採用後の離職に伴う再採用コストの発生も効果的に抑えられます。

無駄が減るほど採用の質は安定し、結果として一人当たりの採用単価も自然と下がります。効率的な採用基盤を整えることが、質の担保と高い費用対効果を両立させるための最短ルートといえるでしょう。

エンジニア採用コストの改善に取り組もう

採用コストを最適化するには、現状の課題を正確に捉え、構造的に改善する視点が欠かせません。単発の施策では効果が続かず、再現性も担保できないためです。まずは「どこが詰まっているか」を見える化しましょう。

外部コストだけでなく、面接や調整などの社内工数、選考プロセス、情報設計といった内部リソースにも目を向けます。ここを放置すると、見かけの支出を抑えても総コストは下がりません。外部費用と内部工数の両面管理が鍵になります。

人材紹介に依存しきらず、リファラルやダイレクトリクルーティング、自社サイトなどを併用し、採用ポートフォリオを最適化します。役割を分担して使えば、単価と確度のバランスが取りやすくなるでしょう。チャネルは増やすより設計が重要です。

要件定義、広報設計、辞退防止策を磨くほど、ミスマッチや辞退、早期離職が減ります。結果として無駄な選考工数が減り、採用単価の改善につながります。採用の質を上げる施策がコスト削減にも効くという発想が重要です。

本記事で紹介した施策を一つずつ検討し、自社の課題に合う順に実践してください。数値で効果を検証しながら投資判断の精度を上げることが、持続可能な採用成功の土台となるはずです。

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執筆者

金田大和

株式会社b&q 執行役員

横浜国立大学卒。プロップテック企業にて、リテンションマーケティング事業や人事コンサルティング事業の立ち上げ、事業責任者として推進。その後、代表高稲とb&qを共同創業し、現在は執行役員として、多くの企業にHRを通じて本質的な価値を届けるべく、コンサルティング事業を含む複数のHR事業を管掌。これまでのキャリアを通じて合計500社以上の人事と対話し採用/組織改善を図る。

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