公開日:2026.01.22
インフラエンジニアの採用が難しい理由とは?失敗原因と成功に導く戦略・手法を解説
インフラエンジニアの採用は難しく、多くの企業が人材確保に課題を抱えています。
求人を出しても、必要なスキルを持つ人材から応募が集まらない……。
候補者の技術力を見極めるのが難しい……。
――このような悩みを抱える採用担当者も多いのではないでしょうか。
この背景には、IT人材不足やエンジニアの獲得競争、クラウドなど技術の高度化があります。
採用を成功させるには、求める人材を明確にし、求人内容や選考方法、採用手法を見直すことが大切です。
本記事では、インフラエンジニアの仕事内容や必要なスキル、採用が難しい理由と失敗原因を解説します。
あわせて、採用を成功させるポイントや戦略、効果的な採用手法・チャネルも紹介します。
人事・採用担当者はもちろん、責任者・経営層の方も、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の要点まとめ
インフラエンジニアは、サーバーやネットワーク、クラウドなどIT基盤を支える職種です。
設計・構築から運用・保守まで担います。
インフラエンジニア採用の要点は、以下のとおりです。
- 採用難の背景には、IT人材不足や技術の高度化、採用競争があります。
- 採用要件は、必須スキルと歓迎スキルを分けて設定することが重要です。
- 求人票では、技術環境や働き方、キャリア、評価制度まで具体的に伝えます。
- 技術力は、経験年数だけでなく担当範囲や課題解決の過程まで確認します。
- 選考では現場エンジニアも関わり、評価基準をそろえることがポイントです。
- 経験者採用が難しい場合は、新卒育成や外部人材の活用も選択肢です。
- 求人広告だけでなく、人材紹介やスカウト、リファラル採用、RPOも活用できます。
自社の課題に合わせて、採用要件・求人・選考・採用手法を見直すことが重要です。
インフラエンジニアとは?
インフラエンジニアとは、サーバーやネットワーク、クラウドなど、ITシステムの基盤を支えるエンジニアです。
システムやWebサービスを安定して稼働させるため、ITインフラの設計・構築から運用・保守まで幅広く担います。
近年はクラウド利用や自動化の普及により、担当領域も変化しています。
従来のインフラ知識に加え、クラウド環境への対応力も求められる職種といえます。
以下では、具体的な業務内容や必要なスキル、技術環境の変化を詳しく見ていきます。
インフラエンジニアの主な業務内容と必要なスキルセット
インフラエンジニアの主な業務は、IT基盤の設計・構築・運用・保守です。
担当範囲は企業やポジションによって異なります。
設計では構成や性能、可用性などを決め、構築ではサーバーやネットワーク、クラウド環境を整備します。
稼働後は監視や障害対応、設定変更などを担います。
主に求められる技術領域は、以下のとおりです。
| 技術領域 | 主な知識・スキル |
|---|---|
| サーバー | Linux・Windows、物理・仮想サーバーの設定・管理 |
| ネットワーク | LAN・WAN・VPN、ルーティングなどの設計・管理 |
| クラウド | AWS・Azure・Google Cloudなどの構築・運用 |
| セキュリティ | アクセス制御、脆弱性対策、ログ管理など |
| 自動化 | シェルスクリプトやIaCによる構築・運用の効率化 |
すべての領域を一人に求めるとは限りません。
採用時は、任せる業務に必要な技術領域を切り分けて評価することが、適切な人材要件の設定につながります。
クラウド・AI普及による市場環境の変化と最新トレンド
クラウドやAIの普及により、インフラエンジニアに求められる役割は広がっています。
従来の運用・保守に加え、クラウド構築や自動化への対応も必要です。
総務省の令和7年通信利用動向調査によると、2025年にクラウドサービスを利用した企業の割合は83.5%でした。
オンプレミスからクラウドへの移行が進んでいることが分かります。
こうした環境では、次のような技術や考え方が活用されています。
- IaC:インフラの構成や設定をコードで管理する手法
- SRE:サービスの信頼性向上を目指す考え方
- AI活用:監視データの分析や異常・障害の検知を支援する仕組み
そのため、従来のインフラ知識に加え、クラウドや自動化へ対応できるスキルの重要性が高まっています。
技術環境の変化に適応できる人材ほど、担える領域も広がるといえます。
インフラエンジニアの採用が難しい理由|市場・外的要因
インフラエンジニアの採用難には、人材不足や技術変化、採用競争など複数の要因があります。
ここでは、市場環境や働き方の変化といった外的要因から、採用が難しい背景を整理します。
まず全体像を把握し、自社の採用条件や手法を見直す判断材料にしていきましょう。
IT人材不足の深刻化と有効求人倍率の高止まり
インフラエンジニアの採用が難しい背景には、IT人材の需要に対して供給が限られている状況があります。
経済産業省の調査では、2030年のIT人材の需給ギャップを約16万~79万人と試算しています。
需要の伸びによって不足規模が異なる点には注意が必要です。
厚生労働省のjob tagでは、「運用・管理(IT)」の有効求人倍率は令和7年度で2.2倍です。
また、レバテックのサービス内データでは、2024年12月時点の「セキュリティ」の転職求人倍率が54.0倍でした。
ただし、各調査では対象や算出方法が異なります。
専門性の高いIT人材ほど採用競争が起こりやすい市場環境を踏まえ、
候補者との接点を増やす必要があるといえます。
技術の高度化・複雑化に伴うターゲット人材の限定化
求める技術レベルが高くなるほど、採用対象となるインフラエンジニアは限られやすくなります。
クラウドやセキュリティ、自動化など、インフラ領域で求められる知識が広がっているためです。
複数の高度な経験をすべて必須にすると、候補者の母集団はさらに狭まります。
例えば、次の条件をすべて必須にすると対象者は限定的です。
- AWSの設計・構築経験
- ネットワークの実務経験
- セキュリティ対応の経験
- TerraformなどIaCの利用経験
- Linuxサーバーの管理経験
採用要件は、入社直後に必要なスキルと入社後に習得できるスキルを分けることがポイントです。
必須条件を絞ることで、必要な水準を保ちながら採用対象を広げやすくなります。
転職希望者の多くがすぐに転職活動へ移らない
求人を出しても応募が集まりにくい背景には、
転職意向があっても実際に転職活動へ移る人が限られることがあります。
リクルートワークス研究所の調査では、2020年の転職希望者のうち、1年後に転職していた人は12.7%でした。
約87%は転職しておらず、転職活動をしていた人も約15%にとどまります。
この調査はインフラエンジニアに限定したものではありませんが、
転職希望者と転職活動者には大きな差があります。
求人サイトだけでは、まだ応募行動に移っていない層へ届きにくいと考えられます。
そのため、転職潜在層も含めて候補者との接点をつくることが採用機会を広げるポイントです。
スカウトや人材紹介など、企業側から働きかける手法も選択肢になります。
競合企業間におけるエンジニア獲得競争の激化
インフラエンジニアの採用競争は、IT企業だけでなく幅広い業種へ広がっています。
DXやクラウド活用が進み、製造・金融・小売・物流などの事業会社でもIT人材を採用する動きが見られます。
加えて、SIerやコンサルティングファームなども競合になり得ます。
主な採用競合は、以下のとおりです。
| 競合カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| IT専業企業 | SIer・Web系企業・クラウドベンダー |
| 事業会社 | 製造・金融・小売・物流など |
| コンサルティングファーム | IT系・総合系コンサルなど |
候補者は給与だけでなく、技術環境や働き方、担当業務なども含めて求人を比較します。
自社がどの企業と競合しているかを把握することが、採用条件や訴求内容を見直す起点になります。
フリーランスやリモートワークなど働き方の多様化
フリーランスやリモートワークの普及により、インフラエンジニアが選べる働き方は広がっています。
エン株式会社の調査では、2025年12月のフリーランスエンジニア案件の月額平均単価は78.3万円でした。
リモート案件は42.4%を占めています。
このデータはフリーランス市場の動向ですが、勤務場所や契約形態に複数の選択肢があることを示しています。
条件を限定しすぎると、候補者との接点が狭まる可能性があります。
そのため、業務内容に応じてリモート勤務や業務委託も検討することが、
人材確保の選択肢を広げる一つの方法です。
インフラエンジニアの採用がうまくいかない企業の特徴|内的要因
インフラエンジニアを採用できない原因は、市場環境だけでなく、自社の採用活動にある場合もあります。
ここでは、採用要件や求人票、選考体制など、企業側の内的要因に分けて整理します。
まず課題の全体像を把握し、自社で見直すべき採用工程を明確にしていきましょう。
採用ターゲットや自社で求める役割が明確になっていない
採用ターゲットや任せる役割が曖昧だと、求人内容と選考基準にズレが生じやすくなります。
「インフラエンジニアを採用したい」だけでは、人事と現場で求める人物像が一致しにくいためです。
評価のばらつきや入社後のミスマッチにもつながります。
採用前には、少なくとも次の項目を整理しておくとよいでしょう。
- 採用する目的
- 入社後に任せる業務
- 求める経験やスキル
- 担当範囲や責任
- 入社後に期待する役割
例えば、運用・保守とクラウド移行では必要な経験が異なります。
役割を具体化して人事と現場の認識をそろえることが、適切な採用要件の設定につながります。
インフラエンジニアの採用市場や相場感への理解不足
採用市場や給与相場への理解が不足すると、応募不足や選考辞退につながりやすくなります。
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、
「その他の情報処理・通信技術者」の年収は、月額給与と年間賞与から換算すると約610万円です。
ただし、この職種区分はインフラエンジニアだけを対象としたものではありません。
自社の給与だけでなく、近い職種や競合求人の条件もあわせて確認する必要があります。
給与の変更が難しい場合は、リモート勤務やフレックスなども訴求材料になります。
市場相場と自社条件の差を把握することが、募集条件を見直す起点となります。
求人票で自社の魅力や技術的アドバンテージを訴求できていない
業務内容や必須スキルだけを並べた求人票では、自社で働く魅力が候補者に伝わりにくくなります。
インフラエンジニアは、仕事内容に加えて技術環境やチーム体制、入社後の成長機会なども確認するためです。
求人票では、次のような情報まで具体化すると比較されやすくなります。
- 利用しているクラウドやツール、技術スタック
- チームの人数や役割分担
- 現在のプロジェクトや技術課題
- キャリアパスや評価制度
- 技術選定や改善提案に関われる範囲
採用担当者だけで作成せず、現場エンジニアから実際の環境や仕事の魅力を引き出すことが、
求人票の訴求力を高めるポイントです。
候補者の技術スキルを見極める明確な選考基準がない
選考基準が曖昧だと、面接官ごとに評価が分かれ、技術力を正しく見極めにくくなります。
インフラエンジニアは、同じ経験年数でも担当領域や役割によってスキル差が大きいためです。
年数だけで判断せず、実際に担った業務まで確認する必要があります。
評価項目と確認方法は、あらかじめ次のように整理しておくと判断しやすくなります。
| 評価項目 | 確認・評価方法 |
|---|---|
| AWSの設計経験 | 担当範囲や構成、設計時の判断内容を確認 |
| 障害対応 | 発生事象、原因特定、復旧までの役割を確認 |
| ネットワーク | 構築・運用した環境や担当範囲を確認 |
| 課題解決力 | トラブル時の判断や改善プロセスを確認 |
必要に応じて技術面接やスキルチェックも活用し、
「何をどの水準で評価するか」を統一することが、選考精度の向上につながります。
面接官のIT知識不足と評価体制の不備
面接官のIT知識が不足していると、候補者の技術力を適切に評価できない可能性があります。
インフラ領域は専門性が高く、同じ技術経験でも担当範囲や難易度が異なるためです。
用語だけで判断すると、実力を過小・過大評価しかねません。
技術評価が難しい場合は、面接官ごとに役割を分けると判断しやすくなります。
| 面接担当 | 主に確認する内容 |
|---|---|
| 人事担当者 | 志向、転職理由、働き方との相性 |
| 現場エンジニア | 技術スキル、担当範囲、課題解決力 |
| 部門責任者 | 入社後の役割、期待値、組織との適合性 |
面接官ごとの評価範囲を明確にし、専門的な判断は現場メンバーが担う体制にすると、
評価の精度を高めやすくなります。
選考プロセスが長すぎて候補者の途中辞退を招いている
選考期間が長いと、他社の選考が先に進み、候補者の途中辞退につながる可能性があります。
厚生労働省のjob tagでは、「システムエンジニア(基盤システム)」に
関連する職業分類の有効求人倍率は、令和7年度で2.24倍です。
また、株式会社ベイジの調査では、ITエンジニアの71.75%がエントリーから1か月以内に内定を得ていました。
選考を長引かせないため、次の工程を見直すと効果的です。
| 見直す項目 | 改善例 |
|---|---|
| 面接回数 | 必要以上に多い場合は減らす |
| 日程調整 | 面接枠を事前に確保する |
| 結果連絡 | 書類・面接結果を早めに伝える |
| 社内承認 | 決裁ルートを整理する |
応募から内定までの滞留箇所を把握し、必要な選考を保ちながら期間を短縮することが、
候補者の離脱防止につながります。
雇用形態として正社員採用のみに固執している
正社員採用だけに絞ると、必要なスキルを持つ人材との接点を狭める可能性があります。
インフラ領域では、特定の技術や期間だけ専門人材が必要になるケースもあります。
採用が長期化すると、必要な体制を整えられないまま業務が進むこともあるでしょう。
外部人材は、目的に応じて次のように使い分けられます。
| 活用方法 | 向いているケース |
|---|---|
| 業務委託 | 特定業務や期間だけ支援が必要な場合 |
| フリーランス | クラウド移行など専門性の高い業務を任せたい場合 |
| 副業人材 | 限られた時間で知識や経験を補いたい場合 |
業務内容や必要な期間に応じて人材の確保方法を選ぶことが、採用の選択肢を広げるポイントです。
インフラエンジニアが転職先を選ぶ際に重視するポイント
インフラエンジニアの採用では、候補者が何を重視して転職先を選ぶのかを把握する必要があります。
ここでは、技術環境や働き方、キャリア、年収といった主な判断軸から整理します。
まず候補者視点の全体像をつかみ、自社の求人や訴求内容を見直す材料にしていきましょう。
技術的な裁量権の大きさと最新の技術スタック
インフラエンジニアは、扱える技術や現場での裁量範囲を転職先選びの判断材料にすることがあります。
技術環境や担当範囲は、その後に得られる経験へ影響するためです。
特に、クラウド移行や自動化などへ関われるかは、求人ごとの差が出やすいポイントです。
求人票や面接では、次の情報まで具体的に示すと働く環境をイメージしてもらいやすくなります。
| 伝える内容 | 具体例 |
|---|---|
| 技術環境 | AWS、Terraform、Kubernetesなど |
| 裁量範囲 | 技術選定や設計方針の検討に関われる |
| 学習環境 | 資格取得支援、勉強会、検証環境など |
| プロジェクト | クラウド移行、自動化、基盤刷新など |
技術名を並べるだけでなく、その技術を使って何を任せるのか、
どこまで判断できるのかを伝えることが、自社の魅力を具体化するポイントです。
リモートワーク可否や残業時間などの柔軟な勤務スタイル
リモートワークの可否や勤務時間の柔軟さは、エンジニアが転職先を選ぶ際の判断材料の一つです。
LAPRASの調査では、理想の働き方としてフルリモートが25.2%、ハイブリッドワークが53.6%でした。
柔軟な勤務スタイルを望む人が多いことが分かります。
求人票では、次のように勤務条件を具体化すると伝わりやすくなります。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| リモート勤務 | 週3回リモート可、月1回出社など |
| 勤務時間 | フレックスタイム制、コアタイムなど |
| 残業 | 月平均残業時間 |
| オンコール | 対応の有無、頻度、代休制度など |
「応相談」ではなく実際の条件を示すことで、候補者が入社後の働き方を判断しやすくなります。
将来のキャリアパスの明確さと正当な評価制度
将来のキャリアを描ける環境は、インフラエンジニアが転職先を選ぶ際の判断材料になります。
エンジニアの志向は一様ではなく、技術を深めたい人もいれば、組織を率いる立場を目指す人もいるためです。
キャリアパスは、例えば次のように複数の方向性を示せます。
| キャリア | ポジション例 |
|---|---|
| スペシャリスト | シニアエンジニア → テックリード → アーキテクト |
| マネジメント | チームリーダー → エンジニアリングマネージャー → 部門責任者・VPoEなど |
あわせて、評価項目や昇給・昇格の仕組みも伝えることが大切です。
キャリアの選択肢と評価基準を具体化することで、入社後の成長をイメージしてもらいやすくなります。
提示される年収・報酬水準の妥当性
年収や報酬水準の妥当性は、エンジニアが転職先を判断する重要な要素の一つです。
株式会社ベイジの調査では、転職理由として「給与が低い」が41.68%で最多でした。
新しい職場への期待でも、収入の改善が上位に挙がっています。
候補者には、提示額だけでなく、次の内容まで伝えると納得感を高めやすくなります。
| 伝える内容 | 具体例 |
|---|---|
| 提示年収の根拠 | スキルや経験、担当業務をもとに説明 |
| 昇給の仕組み | 評価時期や昇給基準を共有 |
| 賞与・手当 | 支給条件や業績との関係を明示 |
市場相場を踏まえた金額と評価の仕組みをセットで示すことが、待遇面の納得感につながります。
インフラエンジニア採用を成功へ導く5つのポイント
インフラエンジニア採用では、要件設定や求人内容、選考体制など複数の工程を整える必要があります。
ここでは、採用成功につなげるために押さえたい5つのポイントに分けて整理します。
まず全体像を把握し、自社で優先して改善すべき採用工程を見つけていきましょう。
採用目的を明確にし必須スキルと歓迎スキルを明確に区別する
採用要件は、入社時点で必要なスキルと、入社後でも習得できるスキルに分けることが大切です。
条件を増やしすぎると、対象となる候補者が狭まりやすくなります。
まず採用目的と入社後に任せる業務から、必要性を判断します。
| 区分 | 判断基準 | 例 |
|---|---|---|
| 必須条件 | 入社直後から業務に必要 | Linuxの運用経験、AWSの設計・構築経験 |
| 歓迎条件 | 入社後の習得でも対応可能 | TerraformなどIaCの経験、AWS資格 |
例えばクラウド移行を任せるなら、AWSの設計・構築経験を必須とし、IaC経験は歓迎条件とする方法があります。
「あると望ましい」だけの条件まで必須にしないことが、求める水準を保ちながら採用対象を広げるポイントです。
エンジニア視点に立った魅力的な求人要項・労働条件を設定する
求人票では、仕事内容だけでなく、技術環境や働き方まで具体的に伝えることが重要です。
同じAWSを扱う仕事でも、クラウド移行なのか既存環境の運用なのかで業務は異なります。
オンコールや障害対応の頻度も、候補者の判断材料になります。
求人票には、少なくとも次の情報を盛り込むとよいでしょう。
- クラウドサービスやツール、技術スタック
- チームの人数や役割分担
- 進行中のプロジェクトや技術課題
- オンコールや障害対応の有無・頻度
- キャリアパスや評価制度
現場エンジニアにも内容を確認してもらうことで、入社後の環境を具体的にイメージできる求人票につながります。
現場のエンジニアを評価や面接などの採用プロセスに巻き込む
現場エンジニアを選考に加えると、候補者の技術経験を業務に照らして評価しやすくなります。
「AWSの設計経験あり」だけでは、担当規模や役割までは分かりません。
現場メンバーが掘り下げることで、求める水準とのズレを確認できます。
選考では、役割を次のように分ける方法があります。
| 選考 | 主な担当 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 書類選考 | 人事・現場 | AWS、Linux、ネットワークなどの経験 |
| 一次面接 | 人事 | 転職理由、志向、働き方との相性 |
| 技術面接 | 現場エンジニア | 設計・構築経験、障害対応、担当範囲 |
| 最終面接 | 部門責任者 | 入社後の役割、条件、入社意思 |
人事と現場で評価範囲を分けることが、技術面と人物面の両方を確認しやすい選考体制につながります。
面接官の評価スキル向上と明確な選考フェーズの設計
面接では、評価項目と判断基準を事前にそろえることが重要です。
経験年数だけでは、担当した業務の難易度や本人の役割まで判断できません。
クラウド設計や障害対応などは、具体的な経験を掘り下げて確認します。
主な評価項目は、次のように整理できます。
| 評価項目 | 確認方法 |
|---|---|
| クラウド経験 | AWSなどで担当した設計・構築範囲を確認 |
| 障害対応力 | 原因特定から復旧までの対応内容を確認 |
| 自動化経験 | Terraformなどを使った改善経験を確認 |
| 運用経験 | 監視・保守・オンコールの担当範囲を確認 |
評価シートや質問項目を面接官間で共有することで、選考フェーズごとの役割が明確になり、
評価のばらつきも抑えやすくなります。
選考スピードを極力早めて候補者の離脱を防ぐ
選考スピードを高めることは、候補者の途中離脱を防ぐうえで重要なポイントです。
株式会社ベイジの調査では、ITエンジニアの71.75%がエントリーから1か月以内に内定を得ています。
選考が長引けば、他社が先に内定を出す可能性も高まります。
特に技術面接では、現場エンジニアとの日程調整がボトルネックになりやすいため、
事前に面接枠を確保しておくと効果的です。
| 見直す項目 | 改善例 |
|---|---|
| 技術面接 | 現場エンジニアの面接枠を事前に確保 |
| 日程調整 | 複数の候補日時を用意 |
| 面接方法 | オンライン面接を活用 |
| 結果連絡 | 面接後の評価を早めに共有 |
| 社内承認 | 内定までの決裁ルートを整理 |
選考工程ごとの待ち時間を減らし、判断を滞らせない体制をつくることが、
候補者との接点を採用につなげるポイントです。
インフラエンジニア採用を加速させる効果的な戦略
インフラエンジニアを確保する方法は、中途採用だけに限られません。
ここでは、育成や外部人材、技術発信など複数の採用戦略に分けて整理します。
まず選択肢の全体像を把握し、自社の課題に合う戦略を見極めていきましょう。
即戦力人材を獲得するための中途採用戦略
即戦力人材を採用するには、求人掲載だけでなく企業側から候補者へ働きかけることが必要です。
経験者は採用競争が起こりやすく、求人への応募を待つだけでは接点を持てないケースもあります。
中途採用では、スカウトや人材紹介などを活用し、求める経験を持つ人材との接点を増やします。
あわせて、技術環境や担当業務、入社後の役割まで伝えることが大切です。
接点づくりと具体的な魅力訴求を組み合わせることが、即戦力採用のポイントといえます。
新卒採用と自社での育成プログラムの組み合わせ
経験者の採用だけで必要人数を確保しにくい場合は、新卒採用と社内育成を組み合わせる方法があります。
入社時点ですべての技術を求めず、基礎知識や学習意欲を見極めたうえで、
段階的にスキルを身につけてもらう考え方です。
育成内容は、次のように整理できます。
| 育成内容 | 具体例 |
|---|---|
| 基礎研修 | Linux、ネットワーク、クラウドの基礎 |
| 実務研修 | OJTや先輩エンジニアとのペア作業 |
| 資格取得支援 | AWSやLinuCなどの学習・受験支援 |
| メンター制度 | 技術面や業務上の相談機会を設ける |
即戦力採用と育成枠を併用することで、経験者だけに依存せず、中長期で人材を確保しやすい体制につながります。
フリーランスや業務委託など外部リソースの積極活用
特定の技術や期間だけ人材が必要な場合は、フリーランスや業務委託を活用する方法があります。
クラウド移行やセキュリティ強化などでは、高度な専門性が必要でも、長期雇用までは必要ないケースもあります。
正社員と外部人材は、次のように役割を分けられます。
| 人材 | 向いている役割 |
|---|---|
| 正社員 | 長期的な設計・運用、社内ノウハウの蓄積 |
| フリーランス・業務委託 | クラウド移行やセキュリティなど特定領域の支援 |
業務内容や必要な期間に応じて人材の確保方法を使い分けることで、必要な専門性を補いやすくなります。
テックブログやSNSを活用した採用ブランディングと技術発信
テックブログやSNSで技術情報を発信すると、
転職活動中ではないエンジニアにも自社を知ってもらう接点をつくれます。
求人票だけでは、技術環境や現場の課題まで伝わりにくいためです。
クラウド移行や自動化などの取り組みを発信すると、実際の仕事をイメージしてもらいやすくなります。
発信内容は、次のように整理できます。
| 発信方法 | 内容例 |
|---|---|
| テックブログ | クラウド移行、自動化、障害対応などの事例 |
| SNS | 勉強会、資格取得、技術イベントへの参加 |
| イベント登壇 | インフラ構築や運用改善の事例紹介 |
採用開始前から継続的に技術発信を行うことが、転職潜在層との接点づくりや採用ブランディングにつながります。
自社の課題やターゲットに合わせた複数手法の併用
インフラエンジニア採用では、ターゲットに応じて複数の採用手法を組み合わせることが効果的です。
採用手法ごとに接点を持ちやすい人材が異なるため、1つのチャネルだけでは候補者層が偏ることがあります。
主な手法と向いているターゲットは、以下のとおりです。
| 採用手法 | 向いているターゲット |
|---|---|
| 求人サイト | 積極的に転職活動をしている人材 |
| ダイレクトリクルーティング | 特定の経験を持つ人材、転職潜在層 |
| 人材紹介 | 即戦力となる経験者 |
| リファラル採用 | 社員とのつながりがある人材 |
| テックブログ・SNS | 技術に関心がある転職潜在層 |
応募数や選考通過率、採用数を比較することで、自社に合うチャネルの組み合わせを見つけやすくなります。
インフラエンジニア採用におすすめの手法・チャネル比較
インフラエンジニアの採用では、手法ごとに届きやすい人材や運用負荷が異なります。
ここでは、主要な採用チャネルの特徴と活用しやすい場面を比較して整理します。
まず各手法の違いを把握し、自社の採用課題に合う方法を選ぶ材料にしていきましょう。
ダイレクトリクルーティングでの直接アプローチ
ダイレクトリクルーティングは、自社が求める経験を持つ人材へ直接アプローチできる採用手法です。
求人への応募を待つだけでは接点を持ちにくい転職潜在層にも働きかけられるため、
採用ターゲットが明確な企業と相性があります。
特に、次のような企業に向いています。
- AWSやネットワークなど、求める経験が明確な企業
- 求人広告だけでは応募が集まりにくい企業
- 転職潜在層にも採用対象を広げたい企業
- 候補者ごとに自社の魅力を直接伝えたい企業
一方で、候補者の選定やスカウト送付には一定の工数がかかります。
採用したい人材像が明確で、企業側から積極的に接点をつくりたい場合に適した手法といえます。
人材紹介(エージェント)の活用
人材紹介は、採用要件に合う候補者をエージェント経由で紹介してもらえる手法です。
候補者の経験や転職意向を把握したうえで紹介されるため、
自社だけでは接点を持ちにくい人材にもアプローチできます。
特に、次のような企業に向いています。
- 即戦力となる経験者を採用したい企業
- 採用担当者だけでは候補者を探しきれない企業
- AWSやネットワークなど、求める経験が明確な企業
- 候補者探しや初期スクリーニングの工数を減らしたい企業
一方、採用要件が曖昧だと紹介の精度が下がる場合があります。
担当業務や必須スキル、選考基準まで具体的に共有できる企業ほど活用しやすい手法といえます。
リファラル採用による社員紹介の推進
リファラル採用は、社員の知人や元同僚などを紹介してもらう採用手法です。
通常の求人では接点を持ちにくい人材へアプローチでき、
社員から職場環境や仕事内容を伝えてもらえる点が特徴です。
特に、次のような企業に向いています。
- 社内にインフラエンジニアとの人脈を持つ社員がいる企業
- 求人広告やスカウト以外の採用経路を増やしたい企業
- 自社の働き方やカルチャーを候補者へ伝えやすい企業
- 採用コストを抑えながら経験者との接点を広げたい企業
一方で、求める人物像が曖昧だと紹介につながりにくくなります。
募集ポジションや必要な経験を社内で共有できる企業ほど活用しやすい手法といえます。
求人広告の掲載と母集団形成
求人広告は、転職活動中のインフラエンジニアから幅広く応募を集めたい企業に向いている手法です。
IT・エンジニア向けの求人媒体を使えば、一般的な媒体よりも対象人材へ情報を届けやすくなります。
特に、次のような企業に向いています。
- 複数名のインフラエンジニアを採用したい企業
- 転職意欲の高い層から広く応募を集めたい企業
- 技術環境や働き方など、自社の魅力を求人票で訴求できる企業
- 一定期間、継続して母集団を形成したい企業
一方で、掲載するだけでは応募につながらない場合もあります。
仕事内容や技術環境、募集条件を具体的に伝えられる企業ほど活用しやすい手法といえます。
採用代行(RPO)による業務効率化
採用代行(RPO)は、採用業務の一部を外部へ委託し、社内の負担を減らせる手法です。
スカウト送付や候補者対応、日程調整などを任せることで、人事や現場が面接や採用判断に集中しやすくなります。
特に、次のような企業に向いています。
- 採用担当者の業務量が多い企業
- スカウトや候補者対応に十分な時間を割けない企業
- 現場エンジニアとの日程調整に工数がかかっている企業
- 複数の採用チャネルを並行して運用している企業
一方で、委託範囲は事前に整理する必要があります。
社内に残す業務と外部へ任せる業務を明確にできる企業ほど活用しやすい手法といえます。
インフラエンジニア採用に関するよくある質問
インフラエンジニア採用では、面接や育成、採用基準などで判断に迷う場面があります。
ここでは、採用担当者が抱きやすい疑問をQ&A形式で整理します。
よくある判断ポイントを押さえ、自社の採用方針を見直す参考にしてください。
非エンジニアの面接官が技術スキルを見極めるコツは?
非エンジニアの面接官は、技術名だけでなく、候補者が何を考え、どう対応したかを確認することが大切です。
「なぜその技術を選んだのか」「どこまで担当したのか」
「トラブル時にどう対応したのか」まで聞くと、経験の深さを把握しやすくなります。
技術面の判断が難しい場合は、現場エンジニアと評価基準を事前にそろえておくことがポイントです。
未経験者をエンジニアとして採用・育成するのは現実的か?
育成体制を整えられるのであれば、未経験者の採用も十分に選択肢になります。
選考では、現在の技術力だけでなく、学習意欲や論理的思考力も確認します。
入社後は基礎研修とOJTを組み合わせ、段階的に業務を任せる方法が有効です。
ただし、現場任せにせず、育成担当者や研修内容を事前に決めておくことが欠かせません。
応募が来ない場合に採用基準を下げるべきか?
応募が集まらないからといって、すぐに採用基準を下げる必要はありません。
まずは、必須条件が厳しすぎないか、給与や働き方が市場と合っているか、
求人票で魅力を伝えられているかを確認します。
そのうえで、必須条件と歓迎条件を見直し、採用対象を広げられないか検討することが先です。
インフラエンジニア採用の課題を整理し自社の採用活動を改善しよう
インフラエンジニアの採用が難しい背景には、人材不足や技術の高度化、採用競争の激化などがあります。
採用を成功させるには、採用目的や必要なスキルを明確にし、求人内容や選考体制を整えることが欠かせません。
また、ダイレクトリクルーティングや人材紹介、リファラル採用、RPOなど、
複数の手法を使い分けることで候補者との接点を広げられます。
自社の課題に合う採用手法を選び、継続的に改善することが、インフラエンジニアの安定した採用につながります。