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採用戦略

AIエンジニアの採用が難しい理由は?成功させるポイント・採用戦略を解説

AIエンジニアの採用が難しい理由は?成功させるポイント・採用戦略を解説

「AIエンジニアの求人を出しても、驚くほど応募が来ない……。」

「即戦力クラスは年収が跳ね上がっており、自社の条件では太刀打ちできない……。」

――そんな「AI人材争奪」の過熱により、従来の採用ではもはや太刀打ちできないと感じている企業は少なくありません。

本記事では、AIエンジニア採用が「超高難度」とされる構造的な背景から、優秀な層を惹きつけるために欠かせない具体的なポイント、さらには自社のフェーズに合わせた現実的な採用戦略までを体系的に解説します。

最新の市場ニーズに即したアプローチを習得することで、スペックの高い人材に選ばれる企業へと進化し、事業成長の要となる「AI組織の構築」を加速させることが期待可能です。

採用難に直面している人事担当者はもちろん、DX推進をリードする経営層や技術責任者の方も、ぜひ最後までご覧ください。

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AIエンジニアの採用が難しい理由

AIエンジニアは、機械学習などを活用し、プロダクトにAIを組み込む人材です。
DXやデータ活用の広がりで需要は伸びる一方、経験者の供給は追いついていません。

その結果、求人を出しても母集団が集まりにくく、採用が長期化しがちです。
なぜここまで難しくなるのか。背景には、いくつかの構造的な要因が存在します。

ここでは、需給のギャップから評価の難しさまで、採用難の理由を5つに分けて解説します。

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AIエンジニアの需要増加と人材不足

DX推進や業務自動化、データ活用の広がりでAI人材のニーズは拡大しています。生成AIの普及も追い風となり、業界を問わず導入検討が加速する企業が増加中です。既存業務の高度化から新規サービスまで用途は幅広い状況。

製造では需要予測や不良検知、営業では顧客データ分析など、業務課題に直結する用途が増えました。在庫最適化やレコメンドも広がり、扱うデータは画像・時系列・テキストなど多様。PoCだけで終わらず運用まで担える人材が重宝されます。

こうした動きはIT企業に限らず、中小企業や地方企業にも波及しています。専任を置けず兼務で進む現場も多く、PoCから運用定着まで伴走できる人材が求められる傾向です。採用が追いつかず、外部委託と併用する企業も少なくありません。

しかし、大学・大学院で学んだ層や実務経験者は限られ、供給が追いつきにくい構造が続きます。統計・数学・開発に加え業務理解も必要で、短期育成は簡単ではありません。研究寄りと実装寄りで経験が分かれる点も供給を細らせます。

結果として需給ギャップが採用競争を押し上げ、報酬だけでなく働き方や裁量など条件面も上振れしがちです。中小企業は年収勝負になりにくいため、役割設計と成長機会の提示が重要になるでしょう。

即戦力AI人材が市場に出にくい

2つ目の理由は、即戦力AIエンジニアが転職市場で顕在化しにくい点にあります。求人を出しても経験者に出会えない背景には、この構造が関係します。

AI導入やモデル開発を主導した中核人材は、事業の重要ポジションに配置されやすい傾向です。報酬や裁量、開発環境が優先され、現職での満足度が高まりやすくなります。

そのため、転職を検討しても公開求人に応募するとは限りません。知人紹介やリファラル、指名スカウトなど、クローズドな接点で情報収集するケースも見られます。

この状況で求人広告だけに依存すると、そもそも候補者の検討リストに入りにくいのが実情です。人材紹介だけでも母集団が限られ、競争が激しくなることも少なくありません。

結果として「経験者から応募が来ない」と感じやすくなります。即戦力を狙うほど、待ちの採用だけでは届きにくいという前提で設計する必要があるでしょう。

高度かつ多岐にわたるスキル要件

3つ目の理由は、AIエンジニアに求められるスキル領域が広く、要件が高くなりやすい点です。機械学習だけでなく、開発や運用、業務理解まで横断的に関わる場面が増えています。

たとえばPythonでの実装力に加え、統計・機械学習の基礎理解、データ前処理や特徴量設計、評価設計が必要になります。本番で扱うなら、再現性や性能だけでなく、監視や改善、セキュリティも無視できません。

一方で企業側は「すべてできる人」を理想像として掲げがちです。しかし実際には、研究寄り(モデル設計・検証に強い)と実装寄り(システム組み込みや運用に強い)など、得意領域が分かれることが一般的でしょう。

要件を盛り込みすぎると、該当する候補者は一気に減ります。結果として母集団が極端に狭まり、選考が長期化しやすい構造が生まれます。まずは必須条件を絞り、役割に応じて分担する設計が現実的です。

年収・待遇面での競争激化

4つ目の理由は、AI人材需要の伸びに対して各社が好条件を提示し、年収だけでなく環境面でも競争が激化している点にあります。採用市場では現在、複数社比較が一段と当たり前になりつつあります。

AIエンジニアは高年収になりやすい職種ですが、役割(研究・実装・MLOps)や業界でレンジは大きく変わります。(都市部や一部企業では)数年経験でも800万円前後の提示が出るケースもある一方、常にそうとは限りません。

大手・外資・成長スタートアップは、報酬に加えてリモート可否、福利厚生、研究開発投資、最新の技術環境まで含めて提示しがちです。結果として中小企業は、年収一本勝負では不利になりやすい構図。

近年は待遇を「総合評価」で見る傾向が強く、裁量、意思決定の速さ、データや計算資源、プロジェクトの影響度も判断材料になります。だからこそ中小企業は、報酬以外の魅力を具体化して示したいところです。

技術理解不足による評価の難しさ

5つ目の理由は、企業側の技術理解が不足すると、AIエンジニアを適切に見極めにくい点です。評価が曖昧になるほど、採用判断は慎重になりやすい傾向があります。

AI領域は専門性が高く、機械学習やモデル評価、運用まで論点が多岐にわたります。人事担当者だけで深い技術内容まで把握するのは現実的に難しいケースも少なくありません。

その結果、候補者の説明の妥当性を判断できない、必要な確認項目が抜ける、踏み込んだ質問ができないといった問題が起こり得ます。面接官間で評価が割れ、合否の根拠が弱くなることもあります。

評価に自信が持てない状態が続くと、「確実に分かる人だけ」を求めて要件が過度に上がりがちです。母集団が縮小し、選考が長引いて離脱が増えるなど、悪循環に陥るリスクもあります。

この状況を避けるには、現場エンジニアが評価に関与し、基準を共通化する体制が有効です。人事と現場の共同設計により、見極め精度と候補者の納得感を高められるでしょう。

AIエンジニア採用がうまくいかない企業の特徴

AIエンジニア採用が停滞する企業には、いくつか共通点があります。
原因は人材不足だけではありません。設計や運用のズレが難易度を押し上げます。

例えば、要件が曖昧なまま募集を始めたり、市場感と乖離した条件で動いたりするケース。
また、選考が長引くほど他社に先を越されやすく、機会損失につながります。

ここでは、採用がうまく回らない企業に見られがちな特徴を整理します。

採用要件があいまい

採用要件が曖昧なままでは、AIエンジニア採用は難航しやすくなります。何を任せたいのかが不明確だと、候補者も判断材料を持てません。

たとえば研究開発寄りを求めるのか、業務実装や運用を担う人材が必要なのかが定まっていないケース。役割が混ざるほど、必要スキルの定義もぶれやすくなります。

また「即戦力を希望」としながら「育成前提」とも書かれている求人も見られます。方針が両立しないわけではありませんが、条件や評価軸を分けないと誤解を招きがちです。

要件が曖昧だと面接官ごとに評価基準が変わり、合否の根拠が揺れます。結果として選考が長引き、候補者の離脱や機会損失につながることもあります。

さらに募集段階で人物像が伝わらないため、「自分が対象か分からない」と見送られやすい点も課題です。要件整理は採用活動の出発点として、最初に押さえておきたいところ。

現場とすり合わせ、役割・期待成果・必須条件を言語化しておくことが重要です。まずは判断基準を統一する設計から始めましょう。

市場相場とずれた採用条件

市場感と乖離した採用条件では、AIエンジニアの応募や検討を得にくくなります。母集団形成が難しい職種ほど、条件のズレが致命傷になりがちです。

年収水準や求めるスキルの相場を把握しないまま募集すると、候補者から「最初から合わない」と判断されやすくなります。結果として応募が集まらず、採用期間も長期化する可能性が高まります。

特に経験者は、現職の待遇や将来性を踏まえて複数社を比較します。相場より見劣りする条件だと、そもそも選択肢に入らないことも珍しくありません。

まずは同職種・同等レベルのレンジを把握し、自社の条件を冷静に棚卸しすることが重要です。年収だけでなく、働き方、裁量、技術環境、扱えるデータなども含めた「総合条件」で比較されます。

採用を成功させるには、相場に沿った条件調整と、自社ならではの魅力の言語化が欠かせません。比較される前提で設計することが、応募獲得の起点になります。

選考プロセスが長い

AIエンジニアに限らず、採用活動ではスピードが重要な競争力になります。候補者は複数社を並行して検討することが多く、意思決定の遅れは機会損失につながります。

選考プロセスが長い企業は、日程調整や社内稟議で後手に回りがちです。面接回数が多い、面接間隔が空く、合否判断が遅いといった要素が重なるほど不利になります。

せっかく応募があっても、検討中に他社が先に内定を出す可能性があります。特に経験者ほど選択肢が多く、一定期間を超えると辞退が発生しやすい点には注意が必要です。

スピードは採用競争力の一部であり、設計次第で改善できます。評価体制と合否基準を事前に整えることで、面接後の判断を早められます。

面接回数の最適化や、関係者のスケジュール確保も有効です。最終的には、迅速に判断できる運用が採用成功率を押し上げるでしょう。

選考プロセスについては、こちらの記事もご参照ください。
採用プロセスの改善方法とは?見直すべきサインや改善のメリットも紹介

自社の魅力を伝えられていない

自社の魅力が十分に伝わっていないことも、採用が伸びない大きな要因です。条件面を整えても、候補者が働くイメージを持てなければ応募につながりません。

事業内容やAI活用の狙いが抽象的だと、「何を作り、何を変えるのか」が見えにくくなります。本来知りたい情報が不足し、検討材料が揃わないまま離脱されるケースもあります。

また「会社がすごい」という実績紹介だけでは、エンジニア視点のメリットが伝わりません。重要なのは、入社後にどんな課題に向き合い、どんな成長機会が得られるかという具体像です。

たとえば扱うデータの種類・規模、挑戦できる技術領域、開発プロセスや運用体制などが有効です。キャリアの広がりや評価の考え方も示すと、納得感が高まります。

特に裁量の範囲と成長環境は、待遇と同じくらい比較されるポイントです。情報発信が弱いと、魅力があっても伝わらず、応募機会を逃してしまうでしょう。

採用手法が限定的

採用手法を限定している企業ほど、AIエンジニア採用は苦戦しやすくなります。母集団が限られる職種では、入口を一つに絞るほど接点が不足しがちです。

たとえば求人広告や人材紹介だけに依存すると、露出先が固定されます。特に経験者は、公開求人を常に探すとは限らず、情報収集の経路が分散している点に注意が必要です。

そこで、ダイレクトリクルーティングやスカウト、リファラル、アルムナイ、SNS発信などを組み合わせたいところです。手法ごとに届く層が異なるため、接点を複線化する発想が効果を持ちます。

いつ、どこで候補者とつながるかは読み切れません。だからこそ、コミュニティ参加や技術発信など、日常的な「種まき」も重要になります。

接点が増えれば母集団は広がり、応募や面談の機会も作りやすくなります。未着手の手法がある場合、小さく試して改善するところから始めるとよいでしょう。

AIエンジニア採用を成功させるポイント

AIエンジニア採用は、求人を出せば集まる領域ではありません。
成果を左右するのは、募集前の準備と設計です。

人物像が曖昧だったり、選考基準が整っていなかったりすると、応募が来ても決め切れません。
逆に、狙う人材を定めて要件を整理すれば、母集団形成と見極めの精度が上がります。

ここでは、採用成功率を高めるために押さえたい実践ポイントを整理します。

AIエンジニア像を明確にする

AIエンジニア採用を成功させるには、最初に「どんな役割を担う人材か」を明確にすることが欠かせません。人物像の定義が採用設計の起点になります。

AIエンジニアは一括りにされがちですが、研究開発寄りと業務実装寄りでは役割が大きく異なります。PoC中心か、本番システムへの組み込み・運用まで担うかで必要経験も変わるためです。

人物像や求めるスキルが曖昧だと、求人内容は抽象的になります。候補者は「自分が対象か分からない」と判断し、応募を見送る可能性が高まります。

仮に応募が集まっても、面接官の評価軸が揃わず判断が割れがちです。合否基準がぶれると、選考の長期化やミスマッチにもつながります。

募集前に現場の声をヒアリングし、役割・期待成果・必須条件を言語化しておきましょう。「何を任せ、何を任せないか」まで決めることが、採用の精度を上げます。

必須スキルと歓迎スキルを分ける

AIエンジニア採用では、必須スキルと歓迎スキルを分けて整理することが重要です。要件を棚卸ししないまま募集すると、母集団が極端に細くなります。

AI領域は必要スキルの幅が広く、Python、機械学習、統計、データ分析、業務理解などが代表例です。さらに役割によっては、システム実装や運用(監視・改善)も求められます。

これらをすべて必須にすると、応募者は大きく減ります。実務で活躍する人材も得意領域が分かれていることが多く、「全部できる人」を前提にすると現実とのギャップが生まれがちです。

そこで、業務上どうしても必要な条件だけを必須に置き、その他は歓迎に回す設計が有効です。応募ハードルが下がり、スカウトや紹介でも候補者に当たりやすくなります。

採用後に伸ばせるスキルまで必須にする必要はありません。まずは面談・面接の機会を確保し、役割に合う強みを見極める運用へ整えていくとよいでしょう。

即戦力か育成前提かを決める

AIエンジニア採用では、即戦力で採るのか、育成前提で採るのかを先に決める必要があります。方針が曖昧だと、要件・年収・選考基準がぶれてしまいます。

即戦力採用は、入社後の立ち上がりが早く、短期で成果につながりやすい選択です。その一方で年収水準は上がりやすく、候補者数も限られるため競争が厳しくなります。

育成前提なら、未経験者や若手まで対象を広げられます。母集団が増えることでスカウトや応募の入口を作りやすくなり、採用計画を組み立てやすい面もあります。

ただし、育成には時間と教育体制が不可欠です。メンターの確保、学習計画、実務アサインの設計が弱いと、戦力化が遅れたり離脱につながったりします。

自社の事業スピード、求める成果の期限、育成リソースを踏まえて判断しましょう。「いつまでに何を任せたいか」を起点に、即戦力と育成の最適配分を設計するのが現実的です。

現場エンジニアを採用に巻き込む

人事だけでAIエンジニアの実力を評価するには限界があります。専門性が高く、実務で通用するかは書類情報だけでは見えにくいからです。

そこで、採用プロジェクトに現場エンジニアを巻き込み、技術評価の役割を分担しましょう。実務レベルの確認ができるようになり、見極めの精度が上がります。

現場が関与すると、面接で技術的な会話が成立します。候補者は「入社後の働き方」を具体的に想像でき、企業への信頼や納得感も高まりやすい傾向です。

採用は人事任せではなく、現場と共同で進めるべき取り組みです。評価基準を現場と統一することで判断のブレが減り、選考スピードも改善しやすくなります。

協力体制が整えば、入社後のミスマッチも減らせます。結果として、定着と活躍まで見据えた採用につながるでしょう。

選考スピードと柔軟性を高める

AIエンジニアは複数社を並行して検討することが多く、選考の遅れは不利につながります。優秀層ほど比較対象が多く、短期間で意思決定が進みがちです。

選考スピードが遅い企業は、面接間隔が空いたり社内判断が滞ったりして機会を逃しやすくなります。その間に他社で内定が出れば、辞退や条件交渉の難化が起こり得ます。

特に終盤は役員・代表の調整が必要になり、人事が板挟みになりがちです。それでもスケジュール優先度を上げ、最短で動ける運用を整える必要があります。

対策としては、面接回数の最適化、評価項目の事前合意、合否判断の締切設定が有効です。オンライン面接や時間帯の選択肢を増やすなど、柔軟性も競争力になります。

「2週間で必ず終える」といった期間の断定は難しいものの、早期に結論を出せる体制は重要です。結果として、スピード=本気度として受け取られ、候補者の離脱を防ぎやすくなるでしょう。

技術以外の適性も評価する

技術力が高くても、入社後に定着しないケースは起こり得ます。期待役割や働き方の認識がずれると、早期離職やパフォーマンス低下につながりかねません。

背景には、コミュニケーションの齟齬や事業理解の不足がある場合があります。技術が強みでも、目的や制約を共有できないと、成果が組織に接続しにくくなります。

AIエンジニアは一人で完結する仕事に見えがちですが、実際は他部門との連携が多い職種です。要件整理、データ提供、運用判断など、関係者調整が成果に直結します。

そのため選考では、基本的な対話力に加え、課題の捉え方や説明の仕方も確認したいところです。受け入れ側も、オンボーディングや相談しやすい雰囲気づくりが欠かせません。

また、成長意欲や価値観、仕事の優先順位も重要な判断材料です。技術だけでなく適性を含めて評価することで、入社後の活躍まで見据えた採用に近づくでしょう。

AIエンジニア採用の効果的な戦略

AIエンジニア採用は、ひとつの手法だけで勝ち切れるほど単純ではありません。
市場の競争状況や、自社の事業フェーズによって最適解は変わります。

即戦力を急ぐ局面もあれば、育成に投資して土台を作る選択が有効な場合もあります。
対象を国内に限定せず、副業・業務委託など雇用形態を柔軟にする発想も欠かせません。

ここでは、採用難を乗り越えるための現実的な戦略を整理します。

即戦力採用と育成採用を使い分ける

AIエンジニア採用は、即戦力だけに絞らず育成前提も組み合わせる視点が有効です。市場の供給が限られるほど、即戦力一本では採用コストと難易度が上がりやすくなります。

ただし最適解は、自社の事業フェーズによって変わります。新規事業の立ち上げや短期で成果が必要な局面では、即戦力の比重を高める判断が現実的でしょう。

一方で事業が安定しているフェーズなら、育成採用を取り入れる余地があります。対象が広がり、スカウトや応募の入口を作りやすくなる点もメリットです。

重要なのは、どちらか一方に固定しないことです。役割と期限を整理したうえで、必要なポジションは即戦力、将来の戦力は育成と分けて設計します。

結果として、事業フェーズに応じた使い分けが可能になります。即戦力と育成を併用する戦略により、採用の間口を広げられるでしょう。

新卒・未経験人材を育成する

新卒や未経験層を採用して育成することは、採用難に対する中長期の打ち手になります。即戦力採用だけに依存しない体制づくりとして有効です。

未経験層は母集団が比較的広く、採用の入口を作りやすい点がメリットです。スキルが伸びる余地も大きく、将来の中核人材候補として育てやすい側面があります。

一方で、定着や立ち上がりは設計次第です。「未経験だから定着する」とは限らず、受け入れ体制が弱いと早期離職や戦力化の遅れが起こり得ます。

育成には時間とコストが必要になります。OJTの担当者、学習計画、評価基準が曖昧だと、本人も現場も迷いやすくなります。

そこで、基礎学習→小さなタスク→段階的な業務拡大というステップを用意しましょう。育成計画と支援体制の整備が、成功の前提条件になります。

即効性は高くありませんが、継続できれば採用の安定化につながります。将来の供給源を社内に持つという意味で、有力な選択肢でしょう。

外国籍AIエンジニアを活用する

国内人材に限定すると母集団が狭まり、採用難易度が上がりやすくなります。外国籍人材や海外在住の候補も視野に入れると有効です。

AI・機械学習はグローバルに人材が育っており、研究開発から実装・運用まで経験する人もいます。ただしスキル水準は国や個人で幅があります。

懸念になりやすいのは言語と文化です。ただ、共通言語の設定とドキュメント整備、会議運用のルール化でギャップは縮められるでしょう。

また採用後に困らないよう、ビザ・労務手続きの設計やオンボーディング、評価基準の明文化が欠かせません。準備がないとミスマッチが増えます。

受け入れ側も時差やレビュー体制を整え、相談できる窓口を用意すると定着しやすくなります。国籍・居住地の選択肢を広げることで、母集団が広がる可能性が高まるでしょう。

副業・フリーランスを活用する

正社員採用だけにこだわらず、副業・フリーランス人材を活用するのも有効です。採用難の局面では、必要なスキルを必要な期間だけ確保する発想が効きます。

エンジニア領域では、業務委託や副業で柔軟に働く人材も増えています。フルタイム転職の前に、まず外部として関わりたい層も一定数存在します。

活用方法は、業務の一部を切り出して依頼する形が基本です。PoC、データ整備、モデル検証、MLOps基盤づくりなど、成果物が明確な領域ほど相性がよいでしょう。

短期間でもアウトプットを出しやすく、社内に知見を移転できる点も利点です。一方で、契約範囲、情報管理、レビュー体制を曖昧にすると品質やリスク面で問題が出ます。

カルチャーや働き方が合えば、将来的に正社員化へつなげることも可能です。業務設計と受け入れ体制を整え、多様な働き方を受け入れる土台を作るとよいでしょう。

採用ブランディングを強化する

高い年収を提示すれば必ず採用できる、とは限りません。報酬は重要ですが、AIエンジニアは仕事内容や裁量、技術環境も含めて総合的に判断します。

入社後にどんな課題に挑戦できるか、どのフェーズから関われるかは大きな比較軸です。単に「言われたことを実装するだけ」の役割だと、魅力が伝わりにくくなります。

そこで、風通しの良さや裁量の範囲、学習・成長機会を具体化しましょう。扱うデータの規模、意思決定の速さ、評価の考え方も示せると納得感が上がります。

発信手段としては、求人票だけでなく技術ブログ、登壇、OSS活動、受賞実績の共有などが有効です。ただし誇張は避け、実態に即した内容にする必要があります。

採用ブランディングが効くと、応募の質と量が安定しやすくなります。結果として、採用力を中長期で底上げでき、事業成長の土台にもつながるでしょう。

採用ブランディングについては、こちらの記事もご参照ください。
採用ブランディングとは?進め方から有効な方法(採用手法)までを徹底解説

AIエンジニア採用に有効な採用手法

AIエンジニア採用は、やり方次第で成果が大きく変わります。

母集団形成の難易度が高いため、手法選定そのものが戦略になります。
待ちの募集だけでは、経験者と接点を作りにくいケースも少なくありません。

そこでここでは、代表的な採用手法を整理し、それぞれの位置づけを押さえます。

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【企業向け】組み込みエンジニアの採用手法は?おすすめの採用媒体を紹介

採用代行(RPO)

採用代行(RPO)は、採用業務の一部または全体を外部へ委託する手法です。委託範囲は会社や契約内容によって異なり、設計次第で支援の深さが変わります。

AIエンジニア採用では、求人設計やスカウト文面の作成だけでも負担が大きくなりがちです。候補者要件の整理や媒体運用、日程調整などが重なると、担当者が回らないケースも出ます。

RPOを活用すると、要件整理、母集団形成、選考管理などを必要な範囲で外部化できます。採用実務のボトルネックを減らし、スピードと量を担保しやすくなる点が利点です。

AI領域に知見のある事業者なら、市場感を踏まえた助言を受けられる場合があります。要件が過度に厳しい、条件が相場とずれているといった課題を、客観的に点検できるでしょう。

社内だけでは気づきにくいズレを早期に修正できれば、採用の長期化を防ぎやすくなります。一方で、成果は運用設計に左右されるため、KPIや役割分担の明確化が欠かせません。

専任の採用担当を置けない場合には、コストを踏まえて検討する価値があります。不足する機能を補う手段として、現実的な選択肢になるでしょう。

採用代行(RPO)については、こちらの記事もご参照ください。
RPO(採用代行)比較20選!おすすめサービスの費用や特徴を解説します

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業が主体的に候補者へアプローチする採用手法です。求人を出して待つのではなく、スカウトを通じて接点を作ります。

即戦力のAIエンジニアは、公開求人に応募する形で市場に出てこない場合もあります。転職を急いでいなくても情報収集している層に届く点で、この手法は相性がよいでしょう。

効果を左右するのは、送る内容の質です。一斉配信ではなく、経歴や成果物を踏まえて「なぜあなたに声をかけたのか」を具体的に伝える必要があります。

期待する役割、任せたい業務、技術的な論点(扱うデータや環境)まで示せると、検討材料が増えます。候補者側の不安が減り、返信率も上がりやすくなります。

一方で工数はかかるため、対象設計と運用ルールが不可欠です。個別性のあるスカウト設計により、面談化率を高める手法として機能するでしょう。

ダイレクトリクルーティングについては、こちらの記事もご参照ください。
ダイレクトリクルーティングのおすすめサービス一覧26選!費用やメリットを解説

人材紹介(エージェント)

人材紹介は、エージェントが企業と候補者の間に入り、採用を支援する手法です。求人票だけでは届きにくい層へ、個別に提案できる点が特徴になります。

即戦力のAIエンジニア採用でも活用される場面は多くあります。登録者や面談済みの候補者から、要件に合う人材を探して推薦してくれるためです。

自社で母集団形成が難しい場合、一定のスピード感を出しやすいのも利点です。日程調整や条件交渉を支援してもらえるケースもあり、実務負担の軽減につながります。

一方で、要件共有が曖昧だとミスマッチが起こりやすくなります。「AI経験あり」だけでは、研究寄りか実装寄りか、運用経験の有無などが判別できません。

そこで、事業課題、任せたい業務、必須条件と歓迎条件、評価ポイントまで具体化して伝えましょう。要件の言語化と共有精度が、紹介品質を左右します。

他手法と併用し、入口を複線化する設計が現実的です。採用チャネルの一つとして組み込むと、安定した候補者獲得につながるでしょう。

人材紹介(エージェント)については、こちらの記事もご参照ください。
人材紹介サービスおすすめ24選を比較!費用・手数料など一覧で紹介

外国籍AI人材紹介

外国籍AI人材紹介は、国内市場に依存せず、海外人材も含めて採用を進める手法です。母集団を広げられるため、国内だけでの採用が難しい場合に有効となります。

海外には機械学習やデータ分析に強い人材が一定数存在します。ただし「豊富」と一括りにせず、国・地域や個人でスキル水準に幅がある点は前提にしておきましょう。

専門エージェントを活用すると、候補者探索や選考支援に加え、ビザ手続きや生活面のサポートまで提供する事業者もあります。支援範囲は会社ごとに異なるため、契約前に確認が必要です。

一方で、言語・文化の違いに不安を持つ企業は少なくありません。そこで、業務で使う言語の方針、ドキュメント標準、会議運用などを整え、英語でのやり取りが可能な状態を目指します。

翻訳ツールは補助になりますが、業務では仕様理解や合意形成が重要です。コミュニケーション設計と受け入れ体制を先に整えることで、採用後のミスマッチを減らせるでしょう。

多様な人材を受け入れる姿勢は、採用の選択肢を広げるだけでなく組織の学習にもつながります。現実的な準備を前提に、段階的に取り組むのが得策です。

AIエンジニアを戦略的に採用しよう

AIエンジニア採用が難しい背景には、需要の拡大に対して供給が追いつかない構造と、条件競争の激化があります。結果として、母集団が細くなりやすい点が課題です。

さらに、採用要件の曖昧さや選考設計のズレがあると、応募が来ても決め切れません。評価基準がぶれるほど、選考は長期化し、離脱も増えがちになります。

重要なのは、市場を正しく捉えたうえで採用方針を設計することです。人物像の明確化と要件整理ができれば、母集団形成と見極めの精度が上がります。

あわせて、ダイレクトリクルーティングや外部活用など、手法を複線化する発想も必要です。報酬だけでなく、裁量や技術環境を含む魅力設計も欠かせません。

短期の即戦力確保だけに偏ると、採用計画が不安定になります。育成採用や業務委託を組み合わせ、中長期で供給源を作る視点も持ちたいところです。

自社のフェーズとリソースに合う方法を選び、運用を継続的に改善すること。そこにこそ、採用成功の再現性が生まれるでしょう。

プロフィール画像

執筆者

金田大和

株式会社b&q 執行役員

横浜国立大学卒。プロップテック企業にて、リテンションマーケティング事業や人事コンサルティング事業の立ち上げ、事業責任者として推進。その後、代表高稲とb&qを共同創業し、現在は執行役員として、多くの企業にHRを通じて本質的な価値を届けるべく、コンサルティング事業を含む複数のHR事業を管掌。これまでのキャリアを通じて合計500社以上の人事と対話し採用/組織改善を図る。

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