公開日:2026.06.15
通年採用が難しいとされる理由とは?導入手順と成功のポイントを解説
「通年採用を始めたいけれど、採用担当者の負担が増えそう……」「従来の一括採用と何が違うの?」と悩んでいませんか。
通年採用は、多様な人材と出会える一方、長期的な採用活動やコスト管理などの課題もあります。
本記事では、通年採用が難しいとされる理由や導入のメリット、具体的な手順、成功のポイントまでわかりやすく解説します。
目次
通年採用とは?
通年採用とは、企業が特定の時期に限定せず、年間を通じて人材を募集・選考する採用手法です。
新卒だけでなく、既卒者や第二新卒、留学生なども対象にできます。
企業の採用計画に応じて選考でき、入社時期を柔軟に調整できる点も特徴です。
ここでは、通年採用の定義や実施企業の割合、ほかの採用手法との違いについて解説します。
通年採用を実施している企業の割合
株式会社インディードリクルートパートナーズの調査(就職白書2026)によると、2027年卒採用において通年採用を導入する企業は28.3%でした。
3割弱が導入している計算です。
採用ルールの見直しや人材獲得競争を背景に、一括採用を軸にしながら、採用時期や採用手法を多様化する企業も見られます。
参考:『就職白書2026』|株式会社インディードリクルートパートナーズ
新卒の一括採用との違い
通年採用と新卒一括採用では、採用時期や対象者が異なります。
主な違いは以下のとおりです。
| 通年採用 | 新卒一括採用 | |
| 募集時期 | 年間を通じて募集 | 決まった時期に募集 |
| 主な対象 | 新卒・既卒・留学生など全般 | 卒業予定の新卒学生 |
| 選考時期 | 企業ごとに柔軟に設定 | 6月以降に集中しやすい |
| 入社時期 | 夏や秋なども選択可能 | 翌年4月が一般的 |
| 採用目的 | 必要な人材を随時確保 | 新卒者をまとめて確保 |
新卒一括採用は、同じ時期に多くの学生を選考する方法です。
一方、通年採用では、対象者の範囲を広げられます。
企業の人員計画に合わせて、採用時期や入社時期を調整できる点も特徴です。
中途採用との違い
通年採用について検討する際、混同しやすいのが中途採用との違いです。この2つの言葉は、分類する際の切り口が異なります。
中途採用と通年採用の定義
- 中途採用: 誰を採用するか(就業経験者や既卒者など)という対象の分類
- 通年採用: いつ採用するか(年間を通じて随時)という時期の分類
中途採用では、新卒一括採用のように年度単位で一斉に募集・選考する形式よりも、欠員補充や事業拡大に応じて必要なタイミングで募集するケースが一般的でした。
そのため、従来は中途採用について、あえて「通年採用」と呼ばず、単に「中途採用」や「キャリア採用」と表現されることが多くありました。
近年、中途採用の文脈で通年採用が使われる理由
近年は、中途採用の現場でも「通年採用」や「オープンポジション採用」を掲げる企業が見られます。
その背景にあるのは、企業側における採用スタンスの能動化です。
従来の中途採用では、欠員補充や事業拡大に応じて、募集職種やポジションを明確にしたうえで採用活動を行うケースが多く見られました。
既存の求人票に完全に合致しない場合でも、候補者の経験や志向を踏まえて、マッチする可能性のあるポジションを検討する姿勢を示すために使われることがあります。

多くの企業が通年採用へ移行・注目する背景
多くの企業が通年採用へ移行する背景には、採用環境の変化があります。
主な要因は、以下の3点です。
通年採用の導入が増えている理由
- 若手人材の減少
少子高齢化が進み、新卒一括採用だけでは必要人数を確保できない企業が増えています。 - 人材層の多様化
留学生や海外大学出身者は、卒業時期が国内学生と異なります。通年採用なら、幅広い層へ継続的に接点を持てます。 - 採用ルールの見直し
経団連の採用選考に関する指針が廃止され、現在は政府主導で就職・採用活動日程の考え方が示されています。 一方で、実態としては採用活動の早期化・分散化が進み、企業ごとに採用接点を持つ時期が多様化しています。
こうした変化を受け、企業規模や職種に応じて、採用時期や採用手法を見直す動きが広がっています。

通年採用が難しいとされる5つの理由
通年採用は、多様な人材との接点を広げられる一方、継続的な運用が必要です。
ここでは、通年採用が難しいとされる5つの理由を解説します。
採用活動の長期化による人事の業務負担増大
通年採用では、採用業務が年間を通じて続くため、人事担当者の負担が増大します。
応募受付や書類選考、面接調整、スカウト送信が継続して発生するからです。
複数職種を同時に募集すると、候補者ごとの進捗管理も複雑になります。
総務や労務を兼任する中小企業では、採用戦略を検討する時間まで圧迫されかねません。
対応が遅れれば、候補者の志望度低下や辞退につながる可能性もあります。
そのため、担当者の増員や業務分担、採用管理システムの活用が欠かせません。
求人広告の長期掲載による採用コストの増加
通年採用では募集期間が長くなるため、採用コストが増加します。
主に発生する費用は、以下のとおりです。
通年採用で発生する費用
- 求人広告費:求人媒体の掲載料が継続して発生する
- 採用活動費:説明会の会場費や担当者の人件費が増える
- 教育費:入社時期の分散により研修回数が増加する
- 人件費:採用担当者の増員が必要になる場合がある
たとえば、入社時期を春と秋などに分散させる企業では、説明会や研修を複数回行います。
媒体別の応募数や採用単価を確認し、費用対効果を管理することが重要です。
内定時期の分散によるフォロー工数の増加
内定時期が分散すると、採用担当者のフォロー工数が増加します。
内定者ごとに、入社までの期間や必要な支援が異なるためです。
定期面談や社内イベントの案内、質問への回答などが個別に発生します。
春入社と秋入社が混在する場合は、連絡時期の管理も欠かせません。
対応の遅れや不足は、内定者の不安を招き、辞退につながる可能性があります。
フォロー内容を標準化し、採用管理システムで進捗を共有することが重要です。
担当者や実施時期も事前に定め、継続して支援できる体制を整える必要があります。
採用基準のブレによるミスマッチの発生
採用基準が統一されていないと、企業と候補者のミスマッチが生じます。
通年採用では、募集期間の途中で現場の要望が変わる場合もあるためです。
たとえば、営業職に求める経験年数やスキルの認識が、人事と配属現場で異なるケースがあります。
評価の軸が曖昧なまま選考すると、面接官ごとに判断が分かれます。
その結果、入社後の業務や社風が合わず、早期離職につながる可能性も否定できません。
求める人材像と評価項目を言語化し、関係者で共有することが重要です。
定期的に基準を見直す仕組みも欠かせません。
早期内定を出す競合との人材獲得競争の激化
通年採用では、早期に内定を出す競合との人材獲得競争が激しくなります。
優秀な候補者ほど、複数社から声がかかるためです。
面接回数を抑え、短期間で内定を提示する企業も少なくありません。
自社の連絡や判断が遅れれば、選考辞退を招くでしょう。
早期内定後は、入社までの待機期間が長くなる場合もあります。
その間に接点が途切れると、志望度の低下につながりかねません。
選考工程を整理し、意思決定を迅速化することが重要です。
内定後も定期面談や情報提供を続けましょう。

企業が通年採用を導入するメリット
通年採用には、募集時期を限定しないからこそ得られるメリットがあります。
ここでは、企業が通年採用を導入する主なメリットを解説します。
留学帰国生や既卒者など多様な優秀層へのアプローチ
通年採用を導入すると、一括採用では接点を持てない人材にもアプローチできます。
募集時期を限定しないため、留学帰国生や既卒者も対象に含められるからです。
たとえば、秋卒業の海外大学生や、研究に専念していた大学院生にも応募機会を提供できます。
部活動を続ける体育会系学生との出会いも期待できるでしょう。
採用対象を広げることは、多様な経験や専門性を持つ人材の確保につながります。
自社に合う候補者を見つけるためにも、募集時期と対象者を柔軟に設定しましょう。
内定辞退発生時の柔軟なリカバリー
通年採用では年間を通じて募集を続けられるため、内定辞退が出ても採用計画を立て直せます。
新卒一括採用では、選考期間を過ぎると追加募集が難しくなります。
候補者が減り、採用予定数を満たせない場合もあるでしょう。
一方、通年採用なら辞退発生後に選考を再開できます。
欠員を長く残さず、事業への影響も抑えられる点が利点です。
ただし、候補者情報を継続して管理する体制は欠かせません。
辞退を想定した採用枠と選考フローを整えておきましょう。
事業計画や突発的な欠員に応じた柔軟な採用
通年採用を導入すると、事業計画や欠員に応じて必要な人材を確保できます。
募集時期を限定しないため、組織の変化へ柔軟に対応できるからです。
急な退職で営業職に欠員が出た場合も、採用活動を継続できる点が強みです。
一括採用の期限に合わせて、判断を急ぐ必要もありません。
採用期間に余裕を持てば、経験や適性を丁寧に確認できるでしょう。
事業計画と採用計画を連動させ、必要な人材を適切な時期に迎えましょう。

新卒と中途で異なる難しさと戦略の違い
通年採用は、新卒と中途で対象者の経験や転職意欲が異なるため、同じ戦略では十分な成果を得られません。
ここでは、それぞれの課題と有効な対策を解説します。
新卒採用における課題と対策
新卒の通年採用では、学生との早期接触と継続的なフォローが重要です。
主な課題と対策は以下のとおりです。
| 課題 | 対策 |
| 就活時期が学生ごとに異なる | 年間を通じて説明会や選考枠を設ける |
| 授業や試験と選考日が重なる | オンライン面接や複数日程を用意する |
| 早期に他社と接点を持たれる | 大学3年生向けのインターンを実施する |
| 内定から入社までの期間が長い | 個別面談や社員交流会を定期開催する |
学生の状況に配慮しながら接点を保つことが、内定辞退の防止につながります。
中途採用における課題と対策
中途の通年採用では、迅速な選考と柔軟な条件提示が重要です。
主な課題と対策は以下のとおりです。
| 課題 | 対策 |
| 他社の選考が先に進む | 書類選考の期限と面接回数を定める |
| 現場面接官との調整に時間がかかる | 面接枠を事前に確保する |
| 条件提示までの判断が遅れる | 年収や勤務形態の調整範囲を決める |
| 人事と現場の認識がずれる | 評価基準や選考状況を共有する |
優秀な転職希望者は、複数社の選考を同時に進めています。
選考期間を短縮し、候補者に合った条件を早期に提示できる体制を整えましょう。

通年採用の導入に適した・適していない企業の特徴
通年採用は、すべての企業に適した採用方法ではありません。
継続的な採用ニーズがあり、候補者対応を担う体制を整えた企業ほど成果につながります。
ここでは、通年採用に向く企業の特徴を解説します。
通年採用に適した企業の特徴
通年採用で成果につながるのは、多様な人材を受け入れる企業です。
年齢や国籍、学歴だけで判断せず、経験や専門性を評価する体制が求められます。
たとえば、IT企業ではポートフォリオや課題選考を通じて、実務能力を確認します。
フレックスタイム制やリモートワークなど、柔軟な制度も有効です。
候補者の入社時期や働き方に対応できれば、採用対象を広げられるでしょう。
さらに、人事と現場で採用基準を共有し、継続して選考できる体制も欠かせません。
従来手法に適した企業の特徴
採用担当者や予算が限られる企業には、従来の採用手法が適しています。
通年採用では、応募対応や面接調整が年間を通じて発生するためです。
人事担当者が総務や労務を兼任する中小企業では、業務負担が大きくなるでしょう。
毎年の採用人数が決まっている場合は、新卒一括採用が効率的です。
欠員補充が中心なら、必要な時期に中途採用を行う方法もあります。
通年採用にこだわる必要はありません。
自社の体制や採用目的を整理し、予算と人員を有効に使える手法を選びましょう。

通年採用を軌道に乗せるための導入ステップ
通年採用を軌道に乗せるには、採用活動を始める前の体制づくりが重要です。
ここでは、導入時に押さえたい4つのステップを順番に解説します。
経営戦略に紐づいた要員計画と採用計画の策定
通年採用では、経営戦略に基づく要員計画が出発点です。
必要な人材が曖昧なままでは、採用活動の軸が定まりません。
まず、部署ごとの業務量や従業員構成を確認します。
次に「いつまでに、どの職種を、何人採るか」を決めましょう。
たとえば、新規事業の開始に合わせて、9月までに営業職を3人採用する計画です。
現場責任者の意見も反映すると、実態に即した内容になります。
事業環境の変化に備え、定期的な見直しも欠かせません。
ターゲットとなる求める人材像の明確化
続いて、求める人材像を具体的に定めましょう。
基準が曖昧なままでは、面接官ごとに評価が分かれます。
まず、必要な経験やスキルを整理しましょう。
社風との相性や仕事への姿勢も評価項目に含めます。
たとえば営業職なら、法人営業の経験だけでなく、顧客課題を捉える力も判断基準です。
現在活躍する社員の行動や価値観を分析する方法も有効でしょう。
明確にした人物像は、採用担当者と現場で共有します。
共通の基準を持つことで、入社後のミスマッチを防げます。
自社に最適な採用手法の選定
通年採用では、求める人材や予算に合う採用手法を選ぶことが重要です。
主な手法と特徴は、以下のとおりです。
| 採用手法 | 特徴 |
| 求人サイト | 幅広い候補者へ情報を届けられる |
| ダイレクトリクルーティング | 専門人材へ企業から直接アプローチできる |
| SNS採用 | 企業文化や働く環境を継続して発信できる |
| リファラル採用 | 社員の紹介を通じて候補者と接点を持てる |
複数の手法を使う場合は、応募数や採用単価を確認しましょう。
選考フローと評価基準も統一し、成果に応じて施策を見直すことが大切です。

内定辞退を防ぐフォロー体制の構築
内定辞退を防ぐには、内定通知から入社まで一貫して候補者を支える体制が重要です。
選考後の連絡が遅れると志望度が低下するため、内定通知は当日~1週間以内を目安に出しましょう。
通知後は個別面談や社員交流会を設け、業務内容や配属先について丁寧に伝えます。
疑問や不安を早めに把握できれば、入社後の認識違いも抑えられるでしょう。
担当者と連絡頻度を定め、採用管理システムで状況を共有する仕組みも欠かせません。
また、面談や相談対応の研修を実施し、フォローの質を高める必要があります。

通年採用を成功させるポイント
通年採用を成功させるには、年間を通じて候補者と接点を持てる仕組みが必要です。
ここでは、成果を高める3つのポイントを解説します。
ターゲット層に届く採用広報を強化する
通年採用で成果を高めるには、ターゲット層へ継続的に情報を届ける採用広報が重要です。
募集時期が分散するため、求人情報の掲載だけでは自社の魅力が埋もれる場合があります。
| 発信媒体 | 主な発信内容 |
| 採用サイト | 仕事内容・社員の声・キャリアパス |
| SNS | 職場の雰囲気・社内制度・日常の様子 |
| 技術ブログ | 開発環境・使用技術・技術文化 |
| 採用イベント | 社員との交流・事業内容・働き方 |
求める人材の関心に合わせて、媒体と内容を選びましょう。
閲覧数や応募数を定期的に確認し、発信内容を改善することも大切です。
採用管理システムやAIツールによる業務効率化
通年採用の業務負担を抑えるには、採用管理システムやAIツールの活用が重要です。
採用管理システムを導入すれば、応募者情報や選考状況を一元化できます。
チャットボットによる質問対応や、オンライン面接も有効でしょう。
さらに、応募時期や流入経路を分析すると、成果の高い施策が明確になります。
ただし、ツールの導入自体を目的にしてはいけません。
自社の課題と運用体制を整理し、必要な機能を選びましょう。
選考スピード向上による候補者体験(CX)の改善
候補者体験(CX)とは、応募から選考終了までに候補者が企業から受ける印象や経験の総称です。
CXを高めるには、迅速な選考と丁寧なコミュニケーションが欠かせません。
日程調整や結果通知が遅れると、不信感や辞退を招く可能性があります。
一方、面接官が誠実に対応し、進捗を適切に共有すれば、企業への志望度も高まるでしょう。
各選考の期限を定め、不採用者にも速やかに結果と感謝を伝えることが大切です。
こうした一貫した対応は、企業の採用ブランド向上にもつながります。

通年採用の難しさは戦略的な体制構築で解決しましょう
通年採用は、多様な人材との接点を増やし、欠員や事業計画の変化にも対応できる採用手法です。
一方で、採用活動の長期化により、人事の負担やコストが増える課題もあります。
導入時は、経営戦略に沿った採用計画を立て、求める人材像や選考基準を明確にしましょう。
採用管理システムの活用や候補者への丁寧なフォローも重要です。
自社に合う体制を整え、継続的に改善しながら通年採用を成功へ導きましょう。