公開日:2026.10.01
人員計画とは?要員計画との違い、必要人数の算出方法・作り方・注意点を解説
人手不足で現場が疲弊しているが、採用を増やすと人件費が膨らんでしまう……。
経営目標に沿った人員計画を、要員計画や採用計画とどう分けて考えればよいか分からない……。
こうした課題には、経営計画に沿って人員を算出し、採用・異動・育成・BPOを組み合わせることが重要です。
本記事では、人員計画・要員計画・採用計画の違いと、それぞれを策定する目的を解説します。
さらに、経営目標の達成・人員の過不足防止・人件費の最適化につながる3つのメリットを紹介します。
人事・採用担当者はもちろん、責任者・経営層の方も、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の要点まとめ
人員計画とは、経営計画に沿って必要な人数・スキル・配置を決める計画です。
採用だけでなく、異動や育成も含めて考えます。
人員計画の要点は、以下のとおりです。
- 経営計画から必要な人数やスキルを逆算します。
- 要員計画や採用計画とは範囲が異なりますが、定義は企業ごとに異なります。
- 人材不足や過剰配置、人件費の増加を防ぎやすくなります。
- 必要人数は、トップダウン方式とボトムアップ方式で算出します。
- 現在人員との差を見て、採用・異動・育成で補います。
- 人員不足は、外部人材や業務効率化でも対応できます。
- 人数だけでなく、必要なスキルや採用難易度も確認します。
- 採用や退職、事業計画の変化に合わせて見直します。
人員計画は、経営計画に沿って必要な人材を確保するための基盤です。
人員計画とは?
人員計画とは、経営計画や事業計画の達成に向けて、必要な人材の人数・スキル・配置を定める計画です。
採用人数だけでなく、異動や育成まで含めて考えます。
たとえば新規事業では、必要な職種・スキル・人数を整理し、採用・異動・育成で確保します。
人員計画は、経営計画や事業計画と連動させることが重要です。
売上目標や事業規模から必要な人材を逆算することで、必要な時期に人材を確保しやすくなります。
人員計画を策定する目的
人員計画を策定する目的は、経営目標の達成に必要な人材を計画的に確保・配置することです。
人数だけでなく、必要なスキルも明確にします。
将来必要な人材と現在の人員構成を比べることで、人数やスキルの不足を把握できます。
不足がある場合は、採用・異動・育成のどの方法で補うかを決めます。
必要な時期から逆算して人材を確保できる点が、人員計画の役割です。
企業に人員計画が必要な理由
企業に人員計画が必要な理由は、人材の不足や過剰配置を防ぎ、事業計画の実現につなげるためです。
必要な人数は、新規事業や事業拡大、退職・休職などによって変化します。
見通しが不十分だと、人手不足や余剰人員が生じやすくなります。
人材の採用や育成には時間がかかります。
将来の事業計画から必要な人数とスキルを予測し、早めに準備することが重要です。
人員計画・要員計画・採用計画の違い
人員計画・要員計画・採用計画は、対象とする範囲が異なります。
なお、人員計画と要員計画の定義は企業によって異なり、明確に区別しない場合もあります。
本記事では、要員計画を「事業計画から必要な人数やスキルを決める計画」とします。
人員計画は、それをもとに採用・異動・育成などの確保方法まで具体化する計画です。
採用計画は、社外から採用する人数や時期、職種、採用手法を決める計画です。
要員計画で必要な人材を整理し、人員計画で確保方法を決め、そのうち採用する人材を採用計画へ落とし込みます。
人員計画を立てるメリット
人員計画を立てると、経営計画に沿って必要な人材を配置しやすくなります。
将来の人員不足や過剰配置を見越した対応にもつながります。
人材配置、人員の過不足、人件費や採用・育成方針の3つの観点から、メリットを整理します。
経営計画に沿った人材配置を実現できる
人員計画を立てると、経営計画に沿って必要な部署へ人材を配置しやすくなります。
事業目標から必要な人数やスキルを逆算できるためです。
新規事業を拡大する場合は、事業規模や売上目標をもとに必要な人材を整理します。
既存事業を縮小する場合は、余剰人員の配置転換も検討できます。
事業の優先順位に合わせて人材を配分することで、限られた人員を有効に活用しやすくなります。
人材不足や過剰配置を防止できる
人員計画を立てると、将来の人材不足や過剰配置を防ぎやすくなります。
現在の人数と必要人数を比べることで、過不足を早めに把握できるためです。
不足が見込まれる場合は、必要な時期から逆算して採用や異動を進められます。
余剰人員がある部署では、配置転換も選択肢になります。
人員の過不足を事前に把握することで、業務負荷の増加や余分な人件費を抑えやすくなります。
人件費や採用・育成方針を最適化できる
人員計画を立てると、将来の人件費を見積もりながら、採用・異動・育成の方針を決めやすくなります。
不足する人材は、すべて採用で補う必要はありません。
社内に適任者がいれば異動し、中長期で補えるスキルは育成で対応できます。
必要人数とスキルに応じて確保方法を分けることで、不要な採用を抑え、人件費の最適化にもつながります。
人員計画に必要な人数を算出する方法
人員計画の必要人数は、経営計画や予算から逆算する方法と、現場の業務量から積み上げる方法で算出できます。
ここでは、トップダウン方式とボトムアップ方式の考え方や算出方法を整理します。
トップダウン方式で算出する
トップダウン方式は、経営計画や人件費予算から、確保できる人数の目安を逆算する方法です。
売上計画や利益目標をもとに、人件費の上限を決めます。
たとえば、人件費予算が3億円で、1人あたりの平均人件費が600万円なら、人数の目安は50人です。
人数の目安 = 人件費予算 ÷ 1人あたりの平均人件費
予算を基準にするため、人件費を管理しやすい点がメリットです。
ただし、予算だけでは現場の業務量を十分に反映できない場合があります。
算出した人数は、ボトムアップ方式で求めた必要人数とも比較し、予算と現場の両面から調整します。
ボトムアップ方式で算出する
ボトムアップ方式は、各部署の業務量や必要工数から、必要人数を積み上げる方法です。
現場の実態を反映しやすい特徴があります。
部署ごとに業務量と必要時間を整理し、1人あたりの実働時間で割って人数を求めます。
必要人数 = 業務に必要な総工数 ÷ 1人あたりの実働時間
たとえば、月3,200時間の業務に対して1人あたり160時間働ける場合、必要人数は20人です。
ただし、申告人数をそのまま合計すると過剰になる場合があります。
業務の削減や自動化も確認し、トップダウン方式の予算と照らして調整します。
人員計画の作り方|策定から見直しまでの手順
人員計画は、経営計画と現在の人員状況をもとに、将来必要な人数やスキルを整理して作成します。
ここでは、人員ギャップの把握から採用・異動・育成の決定、計画作成後の見直しまでを順に整理します。
1.経営計画と現在の人員状況を確認する
人員計画を作る際は、経営計画と現在の人員状況を最初に整理します。
将来必要な人材を考えるには、事業の方向性と現状の両方を把握する必要があるためです。
経営計画では、売上目標や新規事業、既存事業の拡大・縮小などを確認します。
あわせて、部署別の人数や職種、役職、保有スキルを整理します。
事業計画と現在の人員を照らし合わせることで、将来必要となる人数やスキルを算出する基準が明確になります。
2.将来必要な人員数・スキルを算出する
次に、経営計画や事業計画から将来必要な人数とスキルを算出します。
現在の人数ではなく、今後の事業内容から逆算することがポイントです。
必要人数は、経営目標や人件費予算から考える方法と、各部署の業務量から積み上げる方法を組み合わせます。
あわせて、必要な職種や経験も整理します。
必要な時期・部署・人材・人数を具体化すると、人員ギャップを把握しやすくなります。
3.現在との人員ギャップを明確にする
将来必要な人材を算出したら、現在の人員と比較して不足や余剰を明確にします。
採用・異動・育成が必要な対象を絞るためです。
部署や職種ごとに現在人数と必要人数を比べます。
あわせて、専門知識や資格、経験などのスキルも確認します。
人数とスキルの両面でギャップを把握すると、次に取るべき施策を判断しやすくなります。
4.採用・異動・育成などの施策を決める
人員ギャップを把握したら、不足する人材を採用・異動・育成のどれで補うか決めます。
すべてを採用で補う必要はありません。
社内に適任者がいれば異動を検討し、中長期で必要なスキルは育成で補います。
社内で確保できない人材は外部採用が適しています。
必要な時期と求めるスキルを基準に施策を選ぶことで、人材確保の方法を具体化できます。
5.人員計画を作成して定期的に見直す
最後に、検討した内容を人員計画にまとめ、実績と比較しながら定期的に見直します。
事業や人員の状況は変化するためです。
計画表には、部署別の現在人数・必要人数・不足人数に加え、採用や異動、育成の予定も記載します。
採用数や退職数、事業計画の変化を反映して更新することで、現状に合った人員計画を維持できます。
具体例でわかる人員計画の作成シミュレーション
人員計画は、必要人数を出すだけでなく、採用・異動・育成まで含めて具体化します。
ここでは、必要人数と不足人数の算出から施策の振り分け、完成した人員計画表までを具体例で整理します。
必要人員数と不足人数を算出する
まず、部署ごとに現在人数と必要人数を比べ、不足や余剰を算出します。
ここでは、従業員50人のA社を例に考えます。
A社が1年後の事業規模から必要人数を算出した結果は、以下のとおりです。
| 部署 | 現在人数 | 1年後の必要人数 | 過不足 |
|---|---|---|---|
| 営業部 | 15人 | 20人 | 5人不足 |
| 開発部 | 20人 | 24人 | 4人不足 |
| 管理部 | 15人 | 14人 | 1人余剰 |
| 合計 | 50人 | 58人 | 8人不足 |
営業部と開発部では計9人が不足しますが、管理部には1人の余剰があります。
全社では8人の純増が必要です。
部署ごとの過不足を整理することで、異動で調整できる人数と、新たに確保すべき人数を明確にできます。
採用・異動・育成を踏まえて計画を作成する
不足人数を把握したら、異動で調整できる人数と、新たに採用が必要な人数を分けて考えます。
育成は人数ではなく、スキル不足を補う施策です。
A社では、管理部の余剰1人を営業部へ異動させます。
これにより、営業部の不足は5人から4人に減ります。
| 部署 | 当初の不足人数 | 異動 | 採用 |
|---|---|---|---|
| 営業部 | 5人 | 1人 | 4人 |
| 開発部 | 4人 | 0人 | 4人 |
| 合計 | 9人 | 1人 | 8人 |
全社では58人が必要なため、現在の50人から8人の純増が必要です。
したがって、このケースでは8人を新たに採用します。
育成は、既存社員に不足するスキルを身につけてもらう施策として別に計画します。
人数とスキルを分けて考えることで、必要な採用数を正確に算出できます。
完成した人員計画表を確認する
最後に、現在人数・必要人数・不足人数と、人材確保の方法を一覧化します。
人数とスキルの施策を分けて整理することがポイントです。
A社の人員計画表は、以下のようにまとめられます。
| 部署 | 現在人数 | 必要人数 | 不足人数 | 異動 | 育成対象 | 採用 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 営業部 | 15人 | 20人 | 5人 | +1人 | 1人 | 4人 |
| 開発部 | 20人 | 24人 | 4人 | 0人 | 2人 | 4人 |
| 管理部 | 15人 | 14人 | 1人余剰 | -1人 | 0人 | 0人 |
| 合計 | 50人 | 58人 | 8人不足 | 0人 | 3人 | 8人 |
A社では、管理部から営業部へ1人を異動し、全社で不足する8人を採用します。
育成対象の3人は、必要なスキルを補うための施策です。
採用・異動の時期や必要な職種・スキルも記載すると、行動へ落とし込みやすくなります。
人員不足を解消する施策
人員不足は、採用だけでなく、社内異動や育成、外部人材の活用などでも補えます。
ここでは、社内外の人材活用に加え、業務効率化によって必要な工数を減らす方法も整理します。
採用・社内異動・人材育成で補う
人員不足は、採用・社内異動・人材育成を状況に応じて組み合わせて補います。
必要な時期や求めるスキルによって、適した方法は異なります。
早期に人員を増やす必要があり、社内に適任者がいない場合は採用が適しています。
社内に経験者がいれば、異動で補える場合もあります。
中長期で必要なスキルは、研修やOJTによる育成も有効です。
必要な時期とスキルを基準に施策を選ぶことがポイントです。
外部人材の活用や業務効率化で補う
人員不足は、派遣や業務委託などの外部人材と、業務効率化でも補えます。
採用だけに頼らず、原因に合った方法を選ぶことが大切です。
一時的な人手不足には派遣、専門業務には業務委託が向いています。
恒常的な不足は、業務の自動化や廃止による工数削減も検討します。
人員を増やす前に、削減できる業務がないか確認することで、必要以上の増員を防ぎやすくなります。
人員計画を策定・運用する際の注意点
人員計画は、必要人数を決めるだけでは十分ではありません。
採用難易度や退職、必要なスキルまで考慮して設計する必要があります。
ここでは、人数の決め方や人員変動への備え、スキル面の確認、計画と実績の見直しについて整理します。
現場の希望や人件費だけで人数を決めない
人員計画では、現場の希望や人件費のどちらか一方だけで人数を決めないことが重要です。
業務量と経営上の制約を両方確認します。
増員要望がある場合は、業務量や必要工数を確認します。
あわせて、人件費予算や事業計画と照らし、増員の妥当性を判断します。
増員以外に、業務改善や他部署からの異動で補えるかも検討すると、必要以上の人員増加を防ぎやすくなります。
採用難易度・退職・休職を考慮する
人員計画では、必要人数だけでなく、実際に確保できる人数も考慮します。
職種によって採用難易度や採用期間が異なるためです。
専門人材は採用に時間がかかる場合があります。
必要な時期から逆算し、早めに募集を始めることが必要です。
退職や休職による人員減少も見込んで計画することで、想定外の人手不足を防ぎやすくなります。
人数だけでなく必要なスキルも考慮する
人員計画では、人数だけでなく、必要なスキルや経験も確認します。
人数が足りていても、専門性が不足していれば適切な配置とはいえません。
部署や職種ごとに必要な知識・資格・経験を整理し、現在の社員が持つスキルと比較します。
不足するスキルは、採用・育成・社内異動で補うことで、業務に必要な人材を配置しやすくなります。
計画と実績のズレを定期的に見直す
人員計画は、計画と実績を比較して定期的に見直すことが必要です。
採用や退職、事業計画の変化によって、必要人数は変わります。
採用数や退職数、部署ごとの人員配置を計画と比べ、差が生じた原因を確認します。
ズレが大きい場合は、採用人数や異動時期を修正することで、現在の事業状況に合った計画を維持できます。
人員計画に関するよくある質問
人員計画を運用する際は、作成する担当者や計画期間、見直し頻度を決めておく必要があります。
ここでは、誰が作成するのか、何年先まで計画するのか、どの程度の頻度で見直すのかを整理します。
人員計画は誰が作成する?
人員計画は、人事部門を中心に、経営層や各部門と連携して作成します。
人事だけで完結させず、経営と現場の情報を反映することが必要です。
経営層は事業方針や人件費予算を示し、各部門は業務量や人員の過不足、必要なスキルを共有します。
人事部門がこれらを整理し、全社の人員構成や採用状況を踏まえて計画へまとめます。
人員計画は何年先まで作成する?
人員計画の期間は企業によって異なりますが、中期的な事業計画に合わせて作成するのが基本です。
3年間の中期経営計画がある場合は、3年先の必要人数を見通し、各年度の採用や異動へ落とし込みます。
中期の見通しと単年度の計画を組み合わせることで、採用や育成に必要な時間も反映しやすくなります。
人員計画はどのくらいの頻度で見直す?
人員計画は、少なくとも年度ごとに見直し、大きな変化があれば随時修正します。
見直す際は、採用数や退職・休職者数、人員配置、人件費などを計画と比較します。
四半期ごとに進捗を確認する方法も有効です。
ズレが大きい場合は、採用人数や配置を早めに修正します。
経営計画と連動した人員計画を策定しよう
人員計画は、経営計画の達成に必要な人数・スキル・配置を定める計画です。
採用だけでなく、異動や育成まで含めて設計します。
必要人数は、トップダウン方式とボトムアップ方式を組み合わせて算出します。
そのうえで、現在の人員との差を確認し、採用・異動・育成・外部人材の活用などから確保方法を決めます。
人数だけでなく、必要なスキルも確認することが大切です。
人員計画は一度作って終わりではありません。
採用や退職、事業計画の変化を踏まえて定期的に見直し、経営計画と連動させて更新していきましょう。