公開日:2026.10.01
採用人数の決め方|平均・目安や算出方法、新卒・中途の考え方を解説
前年踏襲で採用人数を決めているが、本当に妥当なのか分からない……。
現場の希望通りに募集枠を設定した結果、予算超過や育成不足が起きている……。
こうした課題には、事業計画と育成キャパシティを踏まえて採用人数を決めることが重要です。
本記事では、企業規模別・新卒中途別の採用人数の目安と、他社平均を鵜呑みにできない理由を解説します。
さらに、事業計画から逆算し、代替手段を差し引いて決める5つのステップを紹介します。
人事・採用担当者はもちろん、責任者・経営層の方も、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の要点まとめ
適正な採用人数とは、事業計画に必要な人員を過不足なく確保するための人数です。
前年実績や他社平均だけで決めるものではありません。
採用人数の要点は、以下のとおりです。
- 採用人数の平均は企業規模で異なり、参考値として使います。
- 必要人数は、事業計画と将来の在籍見込みから算出します。
- 異動や育成、業務委託で補える分は採用人数から差し引きます。
- 採用予算や難易度を踏まえ、実際に採用できる人数を確認します。
- 新卒と中途の割合は、育成体制や必要スキルを基準に決めます。
- 退職見込みや内定辞退率も採用計画に反映します。
- 採用人数は、現場が育成できる範囲で設定します。
- 最終的な人数は、経営・人事・現場で共有して決定します。
採用人数は、事業計画・人員状況・予算・育成体制を踏まえて決めることが重要です。
適正な採用人数とは?
適正な採用人数とは、事業計画の達成に必要な人員を、過不足なく確保するための採用人数です。
前年実績や他社平均だけで決めるものではありません。
採用人数が多すぎると、人件費や育成負荷が増えます。
少なすぎる場合は、人手不足による業務負荷や事業機会の損失につながる可能性があります。
事業成長に必要な増員数に、退職による減員見込みを加え、異動や育成で補える人数も考慮します。
事業計画と人員動向の両方から算出することが重要です。
採用人数の平均・目安
採用人数の平均や目安は、企業規模や採用区分によって大きく異なります。
他社の水準は、自社の採用計画を考える際の参考情報として活用できます。
ここでは、従業員規模別の傾向に加え、新卒・中途それぞれの採用人数を整理します。
あわせて、平均値をそのまま自社へ当てはめる際の注意点も解説します。
従業員規模別に見る採用人数の目安
企業規模が大きいほど、1社あたりの採用人数も増える傾向があります。
ただし、適正人数ではなく、他社の採用水準を知るための参考値として見る必要があります。
「就職白書2026」と「リクルートワークス研究所」の調査では、従業員規模別の平均採用人数は以下の通りです。
| 従業員規模 | 新卒採用人数 | 中途採用人数 |
|---|---|---|
| 300人未満 | 約6.7人 | 約4.6人 |
| 300〜999人 | 約18.4人 | 約13.9人 |
| 1,000〜4,999人 | 約50.6人 | 約47.7人 |
| 5,000人以上 | 約122.9人 | 約209.5人 |
新卒は2027年卒の採用予定数です。
中途は2025年度の採用実績で、経験者と未経験者の平均人数を合算しています。
採用人数は、業種や成長段階、離職状況によっても変わります。
平均値をそのまま目標にせず、自社の採用水準を確認する参考値として使うのが適切です。
新卒採用人数の平均・目安
新卒採用人数に、一律の適正人数や割合はありません。
企業規模や事業計画、育成できる人数によって必要数が異なります。
「就職白書2026」では、2027年卒の採用予定数は1社あたり平均29.3人です。
新卒採用予定企業の平均値であり、自社の目標人数としてそのまま使える数値ではありません。
新卒採用では、将来必要な人員数と、入社後に育成できる人数の両方から採用数を決めることがポイントです。
組織の年齢構成や退職見込みも含めて検討します。
固定の割合ではなく、中長期の人員計画から新卒採用人数を逆算するのが適切です。
中途採用人数の平均・目安
中途採用人数に、一律の適正人数はありません。
欠員補充と事業拡大に必要な増員数を分けて考えることが基本です。
「リクルートワークス研究所」の調査では、2025年度の中途採用実績は、
経験者が平均13.9人、未経験者が平均6.5人でした。
ただし、平均採用人数は企業規模による差が大きいため、そのまま自社の目標にはできません。
退職による補充人数と、事業計画から必要となる純増人数を基準に算出するのが適切です。
前年の採用実績だけで判断せず、今後の退職見込みや事業計画を踏まえて必要人数を設定します。
平均採用人数をそのまま自社に当てはめてはいけない理由
平均採用人数は、自社の採用人数を決める基準ではなく、参考値として使うのが適切です。
企業ごとに事業計画や離職率、人件費、育成体制が異なるためです。
同規模の企業が年間20名採用していても、自社の離職率が低ければ採用過多になる場合があります。
反対に、事業拡大が早ければ平均以上の採用が必要になることもあります。
平均値は参考にとどめ、採用人数は自社の事業計画と人員状況から算出することが重要です。
採用人数の決め方
採用人数は、事業計画だけでなく、現場の不足人数や採用以外の補完手段、予算などを踏まえて決めます。
単純に前年実績を基準にすると、過不足が生じやすくなります。
不足人数の確認から、採用以外の補完策や予算調整、最終決定までの流れを整理します。
1.事業計画と人員計画から不足人数を確認する
採用人数を決めるには、まず事業計画の達成に必要な人員数と、将来の在籍見込み人数との差を確認します。
例えば、来期の売上目標に対して営業5名が不足する場合は、その5名が人員計画上の不足数となります。
新規拠点や新事業に必要な人員も同様に算出します。
将来の在籍見込み人数には、現在の在籍者だけでなく退職見込みも反映します。
必要人員から在籍見込み人数を引くことで、不足人数を把握できます。
経営目標から必要な組織体制を逆算し、採用が必要な人数を明確にすることがポイントです。
2.各部署に採用が必要な人数・人材要件を確認する
事業計画上の不足人数を把握したら、各部署に必要な人数と採用する人材の要件を確認します。
要望だけでなく、任せる業務や必要なスキルまで具体化することがポイントです。
現場の希望をそのまま合算すると、採用過多になる場合があります。
採用理由と人材要件を整理し、本当に必要な人数を見極めることが大切です。
3.異動・育成・外部人材など採用以外で補える人数を確認する
不足人数が分かったら、異動や育成、業務委託などで補える人数を先に確認します。
すべてを新規採用で埋める必要はありません。
例えば、他部署からの異動や既存社員の育成で対応できる場合があります。
定型業務は、派遣や業務委託へ切り替えられることもあります。
採用以外で補える分を差し引き、外部採用が必要な人数を絞り込むことがポイントです。
4.採用予算・採用難易度・育成体制を踏まえて人数を調整する
必要な採用人数を算出したら、採用予算・採用難易度・育成体制から実行可能な人数を確認します。
必要人数を確保できない場合は、採用時期を分けたり、優先度の高い職種から採用したりする調整が必要です。
予算不足だけを理由に、必要人数そのものを減らすのは適切ではありません。
入社後に育成できる人数にも上限があります。
必要人数と実際に採用できる人数を分けて考え、差がある場合は補完策を検討することがポイントです。
5.経営・人事・現場ですり合わせて採用人数を決定する
最終的な採用人数は、経営・人事・現場で根拠と優先順位を共有して決定します。
それぞれ重視する視点が異なるためです。
調整時は、事業への貢献度や採用の緊急度を基準に、優先する部署や職種を整理します。
決定した人数は、算出根拠や優先順位とあわせて採用計画に残すと、関係者間の認識をそろえやすくなります。
自社に必要な採用人数を計算する方法
自社に必要な採用人数は、事業計画上の不足人数だけで決めるものではありません。
採用以外の補完手段や退職見込み、予算も反映する必要があります。
必要人数の算出方法と、退職予定や予算を踏まえた調整、優先順位の付け方を整理します。
不足人数から採用以外で補える人数を差し引く
必要な採用人数は、不足人数から、異動や育成などで補える人数を差し引いて算出します。
例えば、10名不足していて、異動2名、育成や業務効率化で1名分、業務委託で1名分を補える場合は以下です。
10名 - 4名 = 6名
この場合、外部採用が必要な人数は6名です。
採用以外で補える分を先に差し引くことで、過剰採用を防ぎやすくなります。
退職予定や採用予算を加味して採用人数を調整する
基本式で算出した人数には、退職見込みを加えて必要採用人数を調整します。
あわせて、採用予算内で実行できる人数も確認します。
例えば、必要数が6名で退職見込みが2名なら、必要採用人数は8名です。
そのうえで、採用単価から8名分の費用を算出します。
予算上6名しか採用できない場合でも、必要人数が6名になるわけではありません。
不足する2名は、採用時期の調整や予算追加、異動などで補う必要があります。
経営と現場の希望人数が異なる場合は優先順位を決める
経営と現場で希望人数が異なる場合は、事業への貢献度・緊急度・代替可能性で優先順位を決めるのが有効です。
経営は人件費や収益性、現場は業務負荷を重視するため、意見がずれることがあります。
感覚ではなく、共通の基準で整理することが大切です。
たとえば、事業計画への影響、欠員の緊急性、異動や外注で代替できるかを確認します。
優先度の高い職種から採用枠を配分すると、合意形成しやすくなります。
新卒・中途の採用人数をどう振り分ける?
新卒と中途の採用人数は、必要な人材や育成期間、事業のスピードによって配分が変わります。
一律の比率で決めるものではありません。
新卒を増やす場合と中途を増やす場合の考え方に加え、採用割合を決める際の判断基準を整理します。
新卒採用を増やしたほうがよい企業
中長期で人材を育てたい企業は、新卒採用の割合を高める選択肢があります。
将来の中核人材を計画的に育成しやすいためです。
新卒採用を増やしやすい企業の特徴は、以下の通りです。
- 組織の若返りを進めたい
- 自社の業務や価値観を基礎から伝えたい
- 現場に教育担当者がおり、育成期間を確保できる
- 数年先を見据えて中核人材を育てたい
短期的な即戦力確保より、中長期の組織づくりを重視する企業に適しています。
中途採用を増やしたほうがよい企業
専門スキルを持つ人材が必要な企業や、欠員を早く補いたい企業は、中途採用の割合を高める選択肢があります。
中途採用を増やしやすい企業の特徴は、以下の通りです。
- 新規事業を早く立ち上げたい
- 社内にない専門スキルを補いたい
- 急な欠員を早期に補充したい
- 育成にかけられる時間や人員が限られている
短期間で人員やスキルを補う必要がある場合は、中途採用を中心に配分するのが適しています。
新卒・中途の採用割合を決める際の判断基準
新卒と中途の採用割合は、事業の成長スピード・育成体制・必要なスキルの緊急度を基準に決めます。
固定の比率があるわけではありません。
新卒比率を高めやすいのは、組織の若返りを進めたい場合や、育成に時間をかけられる企業です。
中途比率は、新規事業や専門人材を早期に確保したい場合に高めやすくなります。
現在の事業課題と数年後の組織像を踏まえて、年度ごとに配分を見直すことがポイントです。
採用人数を決める際に考慮すべきポイント
採用人数は、必要数だけでなく、予算や採用難易度、入社後の受け入れ体制まで踏まえて決める必要があります。
採用単価や辞退率、退職率に加え、現場で育成できる人数まで含めて判断するポイントを整理します。
採用予算・採用単価・採用難易度を確認する
採用人数を決める際は、採用予算と職種ごとの採用難易度から実現可能性を確認します。
採用単価や採用までの期間は、職種や市場環境によって異なります。
専門職などは、想定より費用や期間がかかる場合があります。
「必要人数×想定採用単価」で総額を出し、予算内に収まるか確認します。
超える場合は、採用時期や優先職種、採用チャネルの見直しが必要です。
必要人数と予算内で採用できる人数を分けて考えることがポイントです。
退職率・内定辞退率を考慮する
採用人数を決める際は、退職見込みと内定辞退率をあらかじめ織り込む必要があります。
入社目標数と必要な内定数は分けて考えます。
例えば、内定辞退率が30%なら、必要内定数は「目標採用人数÷0.7」で逆算できます。
退職見込みも加味し、最終的に必要な在籍人数を確保できる採用数を設定することがポイントです。
現場の受け入れ・育成可能人数を確認する
採用人数を決める際は、現場が同時に受け入れ・育成できる人数を確認します。
教育担当者やOJT体制に余裕がなければ、採用後の定着に影響します。
配属先には、業務の質を落とさず何名まで指導できるかを確認します。
教育担当者の人数や育成に使える時間も判断材料です。
育成可能人数を超えない範囲で採用上限を設定することがポイントです。
採用人数を決める際によくある失敗
採用人数は、決め方を誤ると人員過剰や採用未達、入社後の定着悪化につながる場合があります。
前年実績や現場の希望、予算や育成体制を見落とす失敗を整理します。
前年実績や現場の希望だけで人数を決める
前年実績や現場の希望だけで採用人数を決めると、必要人数とのずれが生じやすくなります。
事業環境や離職状況は毎年変わるため、前年と同じ人数が適正とは限りません。
現場の要望も、業務量や役割まで確認して判断する必要があります。
「昨年と同じ」で決めず、最新の事業計画と人員状況から必要人数を算出することがポイントです。
採用予算・辞退率・採用難易度を考慮しない
必要人数だけで採用計画を立てると、予算不足や辞退によって目標未達になりやすくなります。
採用単価や内定辞退率、母集団形成の難しさは職種ごとに異なります。
必要内定数や採用費用まで見込んで計画することが必要です。
予算・辞退率・採用難易度を含めて、実行可能な計画に調整することがポイントです。
現場で育成できる人数を超えて採用する
現場の育成能力を超えて採用すると、立ち上がりの遅れや早期離職につながりやすくなります。
教育担当者やOJT体制が不足すると、新入社員へのフォローが行き届かず、現場の負担も増えます。
採用枠は、誰が何名まで育成できるかを確認した上で設定することがポイントです。
採用人数の決め方に関するよくある質問
採用人数を決める際は、割合の目安や決定時期、内定数の設定で迷うケースがあります。
従業員数に対する考え方や、誰がいつ決めるべきか、多めに内定を出す場合の判断基準を整理します。
採用人数は従業員数の何%を目安にすべき?
採用人数に、従業員数に対する一律の適正割合はありません。
企業の成長率や離職率、採用目的によって必要人数が変わるためです。
「従業員数の○%」という比率は参考にとどめ、事業計画から必要な純増数を算出します。
そこに退職による補充人数を加える考え方が基本です。
自社の事業計画と人員動向から必要人数を決めることがポイントです。
採用人数は誰が・いつまでに決めるべき?
採用人数は、経営・人事・現場が連携して決めるのが基本です。
人事だけでは、事業目標や現場の実情を十分に反映できません。
経営は事業計画、人事は予算や採用難易度、現場は業務量や必要人材を整理します。
時期は、予算策定や募集開始に間に合うよう早めに決定することが重要です。
事業計画の策定時期から逆算して進めると調整しやすくなります。
採用予定人数より多めに内定を出してもよい?
内定辞退を見込んで、採用予定人数より多めに内定を出すこと自体は可能です。
ただし、承諾者全員を受け入れられる範囲で調整する必要があります。
例えば、過去の辞退率が30%なら「目標採用人数÷0.7」で必要な内定数を逆算できます。
内定によって労働契約が成立したと判断される場合もあるため、
過去の承諾率と受け入れ上限を踏まえて内定数を設定することが重要です。
不足人員と採用条件を踏まえて自社に適した採用人数を決めよう
採用人数は、他社平均や前年実績ではなく、事業計画から必要な人員数を逆算して決めることが基本です。
不足人数から異動・育成・業務委託などで補える分を差し引き、退職見込みや採用予算、採用難易度も反映します。
新卒・中途の配分や採用上限は、必要なスキルと育成体制によって変わります。
経営・人事・現場で根拠を共有し、自社に合った採用人数を設定することが重要です。