公開日:2026.07.26
ハイレイヤー採用とは?人事担当者が押さえるべき手法・進め方・成功のポイントを解説
ハイレイヤー採用とは、経営や事業の中核を担う人材を採用することです。
経営や事業を任せられる人材が見つからない……。
候補者にアプローチしても、選考や入社につながらない……。
――このような課題を抱える企業も少なくありません。
ハイレイヤー採用を成功させるには、求める役割や採用要件を明確にする必要があります。
そのうえで、採用する人材に合った手法を選ぶことが重要です。
本記事では、ハイレイヤー採用の定義や、一般採用・ハイクラス採用との違いを解説します。
必要とされる背景や、採用が難しい理由についても紹介します。
さらに、具体的な採用手法や進め方、評価項目、成功のポイントを解説します。
人事・採用担当者はもちろん、責任者・経営層の方も、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の要点まとめ
ハイレイヤー採用とは、経営や事業の意思決定を担う人材を採用する取り組みです。
ハイレイヤー採用の要点は、以下のとおりです。
- 年収ではなく、役割や権限を基準に対象を定める
- 経営課題から採用目的や期待成果を整理する
- スカウトや人材紹介などを組み合わせる
- 専門性に加え、経営視点や組織との相性も見る
- 役職だけでなく、任せるミッションや裁量を伝える
- 経営陣も選考に関わり、相互理解を深める
- 入社後は、役割共有やオンボーディングを行う
- 社内の知見や工数が不足する場合は、外部支援も検討する
成功には、採用設計から入社後支援まで一貫して進めることが重要です。

目次
ハイレイヤー採用とは
ハイレイヤー採用とは、経営や事業の重要な意思決定を担う上位層の人材を採用する活動です。
対象には、CxO、経営幹部、事業責任者、本部長などが含まれます。
年収ではなく、担う役割や影響範囲で判断するのが基本です。
企業によって対象範囲は異なるため、役職名だけで区切ると認識がずれることがあります。
解決したい経営課題と任せる権限を基準に定義することが欠かせません。
採用前に対象ポジションの役割と期待成果を明確にすると、候補者選定や評価の精度を高められます。
一般採用・ハイクラス採用との違い
一般採用・ハイクラス採用・ハイレイヤー採用は、対象となる人材と期待する役割が異なります。
一般採用は幅広い職種や階層を対象とし、担当業務を担う人材の確保が中心です。
ハイクラス採用は、高い専門性や管理職経験、高年収などを持つ人材を対象とします。
一方、ハイレイヤー採用では、経営や事業の意思決定を担う人材の獲得を重視します。
| 比較項目 | 一般採用 | ハイクラス採用 | ハイレイヤー採用 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 幅広いポジションの人材確保 | 高度な専門人材や管理職の獲得 | 経営・事業を動かす人材の確保 |
| 主な対象 | 一般社員・実務担当者 | 管理職・高度専門職 | CxO・事業責任者・経営幹部候補 |
| 重視する点 | 経験・スキル・適性 | 実績・専門性・報酬水準 | 経営視点・権限・組織への影響力 |
| 選考への関与 | 人事・現場責任者 | 人事・部門責任者 | 経営者・経営陣 |
| 主な採用方法 | 求人媒体・人材紹介 | エージェント・スカウト | ヘッドハンティング・直接採用 |
ただし、ハイクラス採用とハイレイヤー採用に明確な統一基準はなく、対象が重なる場合もあります。
例えば、高年収のエンジニアでも、専門業務が中心ならハイクラス人材に該当します。
CTOとして技術戦略や組織づくりを担う場合は、ハイレイヤー人材と捉えられるでしょう。
そのため、報酬額ではなく、意思決定の範囲や事業への影響力で判断することが適切です。
ハイレイヤー採用が必要とされる背景
ハイレイヤー採用の必要性は、事業拡大や人材不足、技術革新など複数の要因から高まっています。
ここでは、経営人材の需要や企業成長、DX・AIの進展という3つの観点から背景を整理します。
まずは必要とされる理由を把握し、自社で採用を検討すべきか判断する材料にしてください。
経営人材の需要が高まっている
企業の成長や組織拡大に伴い、経営を分担できる人材の需要は高まっています。
事業が複雑になると、経営者だけで営業・財務・人事・技術の判断を担うのは困難です。
各領域を率いる責任者が求められます。
クライス&カンパニーの保有求人では、年収1,500万円以上のCxO求人が
2021年度の221件から2025年度の477件へ増加しました。
事業成長への対応に加え、後継者の確保も経営課題です。
成長と経営体制の安定を両立する採用といえるでしょう。
スタートアップやベンチャー企業が増えている
スタートアップやベンチャー企業の増加も、ハイレイヤー人材の需要を押し上げる要因です。
成長段階では、創業者だけで対応しにくい経営課題が増えます。主な課題は次のとおりです。
- 新規事業や事業拡大の戦略立案
- 採用や組織体制の整備
- 資金調達や投資家との交渉
- 営業・マーケティング体制の構築
- 上場に向けた管理体制の整備
経済産業省の資料では、2012年以降に創出された国内スタートアップの累計は、
2021年の16,100社から2025年の25,000社へ増加しています。
クライス&カンパニーの転職支援実績でも、年収1,500万円以上のCxO人材の7割超が、
スタートアップまたは上場ベンチャーへ入社しています。
企業の成長に応じて、経営機能を分担できる責任者を採用する必要性が高まっているといえるでしょう。
DX・AIによって求められる経営人材が変化している
DXやAIの普及により、テクノロジーと経営を結びつけられる人材の需要が高まっています。
ツールの導入だけで成果は出ません。活用方針や業務プロセス、組織体制まで見直す必要があるためです。
INDUSTRIAL-Xの調査では、経営層の関与は5割程度にとどまりました。
約4割が4年連続で人材・体制不足を課題に挙げています。
社内育成だけで対応しにくい場合は、変革を主導できるハイレイヤー人材を外部から確保する選択肢も有効です。
ハイレイヤー採用が難しい理由
ハイレイヤー採用は、候補者の希少性や条件競争、評価の難しさが重なり、長期化しやすい傾向があります。
ここでは、母集団形成・要件設計・選考・内定承諾の各段階から、採用を難しくする要因を整理します。
転職市場にいる候補者が少ない
ハイレイヤー採用では、条件に合う候補者との接点を持つこと自体が難しい傾向があります。
経営幹部や事業責任者は現職で高く評価されていることが多く、積極的に転職活動をしているとは限りません。
クライス&カンパニーの保有求人では、年収1,500万~1,999万円の84.5%が非公開求人でした。
年収3,000万円以上では95.2%に達します。
マイナビの調査でも、人材不足を感じる企業のうち、55.6%が質的な不足を挙げています。
候補者だけでなく求人情報も表に出にくいため、公開求人への応募を待つだけでは接点を広げにくいといえます。
そのため、求人掲載だけに頼らず、スカウトや人材紹介で潜在層へ働きかけることが有効です。
採用要件を定義しにくい
ハイレイヤー採用では、人物像や採用要件を具体化しにくい傾向があります。
業務経験だけでなく、解決する経営課題や期待成果、権限の範囲まで定める必要があるためです。
「優秀な事業責任者」だけでは、次の項目を判断できません。
- 解決してほしい経営課題
- 入社後に求める成果
- 任せる意思決定の範囲
- 管理する組織や予算
- 必要な経験や能力
「人事白書2025」でも、「選考基準が曖昧」は36.2%で同率最多でした。
認識のずれを防ぐには、経営陣と人事が役割・成果・権限を合意することが欠かせません。
年収や待遇面の競争が激しい
ハイレイヤー採用では、限られた候補者をめぐる報酬・待遇面の競争が激しくなります。
対象者は複数企業から声をかけられることも多く、条件を比較しながら転職先を選ぶためです。
クライス&カンパニーの保有求人では、年収1,500万円以上のCxO求人が5年間で約2.2倍に増加しました。
年収2,000万円以上の求人は約6割を占めます。
ただし、報酬を高めるだけでは十分とは限りません。
役割や権限、事業の将来性まで示すことが差別化につながります。
カルチャーフィットの見極めが難しい
ハイレイヤー採用では、候補者と企業文化の相性を見極めることが難しい傾向があります。
実績や専門性が高くても、経営陣の考え方や仕事の進め方と合わなければ、力を発揮しにくいためです。
選考では、主に以下の点を確認します。
- 意思決定の進め方
- 経営陣との役割分担
- 仕事で重視する価値観
- 組織や部下との関わり方
- 変化や課題への向き合い方
一度の面接だけで判断せず、経営陣との対話や経営課題を題材にした意見交換を重ねます。
企業の価値観や課題も率直に伝えることが、入社後の認識のずれを防ぐポイントです。
内定承諾を得にくい
ハイレイヤー採用では、内定を出しても承諾を得にくい場合があります。
候補者は複数社を比較し、役割や責任、生活への影響まで含めて慎重に判断するためです。
主な判断材料は、次のとおりです。
- 年収や報酬の内容
- 役職と権限の範囲
- 経営陣との関係性
- 企業や事業の将来性
- 入社後に期待される成果
- 家族や現職への影響
「人事白書2025」では、31.3%の企業が選考・内定辞退者の多さを課題に挙げました。
内定後も疑問や懸念を確認し、条件や役割を継続的にすり合わせることが承諾につながります。
ハイレイヤー採用で活用される主な手法
ハイレイヤー人材との接点づくりには、候補者層や社内体制に応じた手法選びが欠かせません。
ここでは、候補者へのアプローチ手法と、採用活動を支える外部支援に分けて紹介します。

ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業が候補者を選び、スカウトで直接接点をつくる採用手法です。
転職潜在層にも働きかけられるため、候補者が限られるハイレイヤー採用に適しています。
運用時は、次のポイントを押さえる必要があります。
- 採用要件に合う候補者を選定する
- 候補者ごとにスカウト文を調整する
- 任せる役割や事業の魅力を具体化する
- 返信後は速やかに面談を設定する
- 送信数や返信率を分析して改善する
採用人数や利用条件によっては、人材紹介より費用を抑えられます。
一方で、継続して運用できる人員と時間の確保が欠かせません。
リファラル採用
リファラル採用とは、社員や役員の人脈を通じて候補者を紹介してもらう採用手法です。
経験や人柄を事前に把握しやすく、企業文化との相性も確認しやすい利点があります。
紹介候補となる人材の例は、次のとおりです。
- 過去に同じ会社で働いた経営人材
- 取引先で成果を上げていた責任者
- 業界内で高く評価されている専門人材
- 新規事業や組織づくりを経験した知人
TalentXの調査では、リファラル採用を実施する企業は62.5%でした。2018年の41.7%から増加しています。
ただし、人脈だけに頼ると候補者の属性や考え方が偏る可能性もあります。
ほかの採用手法と組み合わせる運用が適しています。
人材紹介・エグゼクティブサーチ
自社だけで候補者を探しにくい場合は、人材紹介やエグゼクティブサーチの活用が有効です。
人材紹介は登録者を中心に紹介を受けるサービスです。
エグゼクティブサーチは、転職潜在層も含めて候補者を探索します。
| 比較項目 | 人材紹介 | エグゼクティブサーチ |
|---|---|---|
| 主な対象 | 登録している転職希望者 | 転職潜在層を含む |
| 対象ポジション | 一般社員から管理職まで | 経営幹部・事業責任者など |
| 探し方 | 登録者から選定 | 人脈や市場調査から探索 |
| 料金方式 | 成功報酬が中心 | 着手金と成功報酬の場合がある |
| 特徴 | 比較的早く紹介を受けやすい | 希少な人材へ接触しやすい |
ただし、サービス内容や料金体系は会社によって異なります。
同じ業界やポジションの支援実績、探索方法、担当者の専門性まで確認して選ぶことが大切です。
副業・業務委託からの採用
すぐに雇用契約を結ぶのが難しい場合は、副業や業務委託から関係を築く方法があります。
一定期間一緒に働くことで、双方が能力や仕事の進め方、相性を確認できるためです。
依頼する業務の例は、次のとおりです。
- 新規事業の戦略立案
- 営業・マーケティング体制の見直し
- 採用戦略や人事制度の設計
- DX・AIを活用した業務改善
ただし、業務委託で成果を出せても、正社員として組織を管理できるとは限りません。
将来の採用を想定するなら、移行時期や役割・権限・報酬を事前に共有することが欠かせません。
RPO(採用代行)
RPO(採用代行)とは、採用業務の一部または全体を外部へ委託するサービスです。
社内の知見や人員が不足していても、外部の専門性や運用体制を活用できます。
主に委託できる業務は、次のとおりです。
- 採用要件や候補者像の整理
- 母集団形成の方法設計
- スカウト対象者の選定・送信
- 候補者対応や日程調整
- 選考の進捗管理
- 採用データの分析・改善
- 入社前の候補者フォロー
矢野経済研究所によると、RPOを含む人事業務アウトソーシング市場は、
2024年度に前年度比4.8%増となりました。
ただし、採用方針や合否判断まで任せきると、社内にノウハウが残りにくくなります。
活用時は、委託範囲・目標・情報共有の方法を明確にすることが欠かせません。
経営陣や人事も意思決定に関わり続ける体制が適しています。

ハイレイヤー採用の進め方
ハイレイヤー採用は、要件設計から入社前フォローまで一貫して進める必要があります。
ここでは、経営課題の整理からオファーまで、採用プロセスを順に解説します。

経営課題と採用目的を整理する
最初に、採用で解決したい経営課題と目的を明確にします。
目的が曖昧では、必要な役割や経験、候補者の評価基準を具体化できません。
例えば、CTO採用では次のような目的が考えられます。
- 開発組織を拡大する
- 新製品の開発を加速する
- 技術面の意思決定を任せる
- 将来の経営幹部を確保する
- 資金調達や上場に向けて体制を整える
「開発組織を50名に拡大し、技術戦略を任せる」のように、現状と目標を示します。
なぜ今その人材が必要なのかを経営陣と人事で合意することが、採用設計の起点です。
役割・ミッション・権限を明確にする
採用目的を整理したら、候補者に任せる役割・ミッション・権限を明確にします。
役職や報酬だけでは、候補者が入社後の責任や期待成果を判断しにくいためです。
| 整理項目 | 整理する内容 |
|---|---|
| 役割 | 経営や事業の中で担当する領域 |
| ミッション | 入社後に達成してほしい成果 |
| 権限 | 採用・予算・人員配置などの決裁範囲 |
| 役割分担 | 経営者や他の責任者との担当範囲 |
| 評価方法 | 成果を評価する基準や時期 |
例えば、「営業部門を統括する」だけでは、期待する成果が伝わりません。
「1年以内に営業組織を立ち上げ、売上を伸ばす仕組みを整える」など、期限と成果を具体化します。
役割と権限を採用前に示すことで、候補者も経験を生かせるポジションか判断しやすくなります。
採用ターゲットと要件を設定する
次に、採用したい人物像と判断基準を具体化します。
要件が曖昧では、候補者の探索や面接で評価軸がぶれやすくなるためです。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 必須条件(Must) | 採用に欠かせない経験や能力 |
| 歓迎条件(Want) | 持っていることが望ましい経験や能力 |
| 見送り条件(NG) | 任せる役割や自社の方針と合わない条件 |
営業責任者を採用する場合は、次のように整理できます。
- 必須条件:法人営業組織の立ち上げ経験
- 歓迎条件:同業界での事業責任者経験
- 見送り条件:事業戦略には関わらず、現場管理のみを希望する
経験やスキルだけでなく、仕事の進め方や経営に対する考え方も確認します。
経営陣や事業責任者と要件の優先順位を共有することが、評価のぶれを防ぎます。
採用手法を選び候補者にアプローチする
採用要件を設定したら、候補者の状況に合う採用手法を選びます。
ハイレイヤー人材は転職潜在層も多く、求人掲載だけでは接点を持ちにくいためです。
主な採用手法は、次のとおりです。
- ダイレクトリクルーティング
- リファラル採用
- 人材紹介
- エグゼクティブサーチ
- 副業・業務委託からの採用
候補者へ直接連絡する際は、次の内容を具体的に伝えます。
- 声をかけた理由
- 解決してほしい経営課題
- 経験を生かせる領域
- 挑戦できる仕事
- 任せる予定の権限
候補者ごとに訴求内容を調整することで、自社で働く意義を伝えやすくなります。
面談・選考を実施する
候補者と接点を持てたら、面談や選考を通じて相互理解を深めます。
企業が候補者を評価する一方、候補者も経営陣や事業の将来性を見極めるためです。
選考は、次のような流れで進めます。
- カジュアル面談
- 人事・事業責任者との面接
- 経営陣との面接
- 代表者との最終面接
- 条件や役割のすり合わせ
面接官ごとに、以下の評価項目を分担します。
- 専門知識や業務経験
- 経営課題を解決する力
- 組織を率いた経験
- 仕事の進め方や価値観
- 経営陣との役割分担
- 入社後に実現したいこと
確認項目と評価基準を事前に共有することで、質問の重複や評価のぶれを防げます。
経営陣が早い段階から対話すると、企業の方針や採用への本気度も伝わりやすくなります。
オファーと入社前フォローを行う
選考後は、報酬だけでなく、役割・権限・期待成果まで含めてオファーを提示します。
候補者は複数社を比較し、入社後に何を任されるかも判断材料にするためです。
オファーでは、次の内容を明確に伝えます。
- 役職と担当業務
- 入社後に期待する成果
- 意思決定できる範囲
- 年収・賞与・株式などの報酬
- 経営陣との役割分担
- 入社後の支援体制
不安や疑問が残る場合は、追加面談を設けて認識をすり合わせます。
内定承諾後から入社まで期間が空く場合は、次のようなフォローが有効です。
- 経営陣との面談
- 事業や組織の最新情報の共有
- 社内イベントや会議への招待
- 入社後の予定や準備事項の案内
- 仕事や生活面の不安の確認
内定承諾後も継続して関係を築くことで、入社への不安を減らし、円滑な立ち上がりにつなげられます。
ハイレイヤー採用で設定すべき評価項目
ハイレイヤー人材の見極めでは、実績だけでなく、経営視点や組織との相性も判断材料になります。
ここでは、専門性・戦略立案力・リーダーシップなど、5つの評価軸から整理します。
専門知識・業務経験
まず、ポジションに必要な専門知識と業務経験を確認します。
入社後の早い段階から、経営課題や事業課題の解決を担うことが期待されるためです。
| ポジション | 確認する経験の例 |
|---|---|
| CTO | 技術戦略の策定、開発組織の構築、製品開発 |
| CFO | 資金調達、財務管理、上場準備 |
| CMO | マーケティング戦略、売上拡大、ブランド構築 |
| CHRO | 採用戦略、人事制度の設計、組織開発 |
| 事業責任者 | 事業計画、組織管理、売上・利益の改善 |
面接では、役職名だけでなく、組織規模や予算、成果、課題解決の過程まで確認します。
大企業での実績があっても、自社の規模や事業段階で再現できるとは限りません。
過去の経験を自社でどう生かせるかまで評価することが、見極めの精度を高めます。
経営視点・戦略立案力
ハイレイヤー採用では、企業全体を捉えて戦略を立てられるかを評価します。
担当部門の成果だけでなく、他部門や経営全体への影響を踏まえた判断が必要なためです。
面接では、次の質問から思考の過程を確認します。
- どのような経営課題を解決したか
- 課題をどう分析し、戦略を立てたか
- どの部門と連携して実行したか
- 計画どおりに進まない場合、どう対応したか
- 自社の課題をどう捉えているか
- 入社後1〜3年で何を実現したいか
回答の結論だけでなく、判断材料や戦略を組み立てた過程を見ることがポイントです。
自社の経営課題を題材に意見交換すると、候補者の視点や判断方法を見極めやすくなります。
マネジメント・リーダーシップ
ハイレイヤー採用では、組織を目標達成へ導くマネジメント力とリーダーシップを評価します。
本人の実績だけでなく、部下の育成や組織づくりを担う役割が求められるためです。
| 事業フェーズ | 求められる特性 |
|---|---|
| スタートアップ・急成長期 | 自ら動きながらチームを率いる力、迅速な意思決定 |
| 組織拡大・体制整備期 | 採用・育成を主導する力、業務を仕組み化した経験 |
| 大企業・変革推進期 | 既存組織を変える力、関係者との合意形成力 |
| 上場準備・管理体制強化期 | 管理体制を整える力、社内外への説明力 |
面接では、組織規模や成果に加え、対立への対応や部下を育成した過程まで確認します。
自社の事業フェーズや組織文化に適したスタイルかを見極めることが重要です。
企業理念やカルチャーとの適合性
ハイレイヤー採用では、候補者の価値観や行動特性が自社と適合するかを確認します。
実績が豊富でも、意思決定や組織運営の考え方が合わなければ、力を発揮しにくいためです。
選考では、次の点を具体的な経験から確認します。
- 意思決定をどのように進めるか
- 意見が対立した際にどう対応するか
- 失敗や問題をどう捉えるか
- 部下や他部門とどう関わるか
- 変化の多い環境にどう対応するか
- 仕事で何を重視しているか
自社と同じ考え方を持つことより、違いを認識したうえで建設的に対話できることが重要です。
複数の経営陣との対話など、場面を変えて接することで、普段の判断や振る舞いを見極めやすくなります。
入社後に実現したいミッションとの一致
ハイレイヤー採用では、候補者が実現したいことと自社のミッションが一致するかを確認します。
報酬や役職が希望に合っていても、任せる課題や期待成果が異なれば、不満につながるためです。
面談や面接では、次の点をすり合わせます。
- 転職によって実現したいこと
- 今後取り組みたい事業や課題
- 目指しているキャリア
- 入社後に達成したい成果
- 自社の経営課題への関心
- 任せる役割や権限への理解
例えば、新規事業を希望する候補者に既存事業の改善を任せる場合は、認識のずれが生じます。
候補者の希望と自社が期待する成果を具体的に共有することが、入社後の定着や活躍につながります。
ハイレイヤー採用を成功させるポイント
ハイレイヤー採用の成否には、訴求内容や選考速度、経営陣の関与など複数の要素が影響します。
ここでは、候補者との接点づくりからオファーまで、成功率を高めるポイントを整理します。

経営陣が採用活動に関与する
ハイレイヤー採用では、経営陣が候補者との対話に直接関与することが重要です。
候補者は役割や報酬だけでなく、経営者の考え方や事業の方向性も判断材料にするためです。
経営陣が関与する場面には、次のような例があります。
- カジュアル面談で事業の展望を伝える
- 経営陣名義でスカウトを送る
- 選考の早い段階から代表者が面談する
- 内定後も候補者の疑問や不安に答える
人事は、経営陣の予定を確保し、候補者と適切な時期に接点を持てる流れを設計します。
経営陣の言葉で期待する役割や採用理由を伝えることが、候補者の理解と信頼を深めます。
役職ではなくミッションを伝える
ハイレイヤー候補者には、役職名だけでなく、入社後に担うミッションを具体的に伝えます。
肩書きや報酬に加え、自身の経験をどう生かし、何を実現できるかも判断材料になるためです。
訴求内容は、次の3点に分けると整理しやすくなります。
- Why you:なぜその候補者に声をかけたのか
- What for:どの経営課題を解決してほしいのか
- What impact:入社後にどのような成果を期待するのか
| ポジション | Why you | What for | What impact |
|---|---|---|---|
| CTO | 開発組織を立ち上げた経験 | 技術戦略を担う責任者の確保 | 開発体制の整備と製品開発の推進 |
| CFO | 資金調達や上場準備の経験 | 財務戦略と投資家対応の強化 | 上場準備の推進と財務基盤の整備 |
| CMO | ブランド戦略や認知拡大の経験 | 市場での競争力の強化 | マーケティング体制の構築 |
| CHRO | 採用や人事制度の設計経験 | 組織拡大に向けた人事体制の整備 | 採用・評価・育成の仕組みづくり |
スカウト文・求人票・面談で一貫したミッションを伝えることが、候補者の理解を深めます。
候補者に合わせて魅力を訴求する
ハイレイヤー候補者には、転職理由や価値観に合わせて自社の魅力を伝えます。
重視する仕事内容や権限、事業への関わり方は、候補者によって異なるためです。
| 候補者の経験・希望 | 伝える魅力 |
|---|---|
| 新規事業を立ち上げたい | 事業をゼロから構築できる環境や権限 |
| 大規模組織を率いてきた | 既存組織の課題と変革できる範囲 |
| 技術を経営に生かしたい | 技術戦略や事業計画に関与できる機会 |
| 社会課題を解決したい | 事業の目的や社会に与える影響 |
| 経営経験を広げたい | 経営会議への参加や意思決定の範囲 |
面談では、現職での課題や今後実現したいことを確認し、関連する魅力を具体的に示します。
候補者が自社で働く意味をイメージできる訴求が、応募や入社の判断を後押しします。
選考期間を短縮する
ハイレイヤー採用では、必要以上に選考期間を長引かせないことが重要です。
対応が遅れると、他社の選考が先に進み、候補者の関心が薄れる可能性があります。
選考期間を短縮するには、次の対策が有効です。
- 面接回数と確認項目を事前に決める
- 選考の流れや期間を候補者に伝える
- 合否の連絡期限を社内で定める
- 経営陣の面接枠をあらかじめ確保する
- オファーまでの承認フローを整理する
ただし、面接を減らすだけでは、必要な評価が不足するおそれがあります。
評価項目を分担し、判断の質を保ちながら迅速に進めることが、候補者辞退の防止につながります。
候補者との信頼関係を構築する
ハイレイヤー採用では、良い面だけでなく、事業や組織の実情も率直に伝えます。
候補者は転職による影響が大きいため、課題も理解したうえで慎重に判断するからです。
候補者には、次の情報も共有します。
- 現在抱えている経営課題
- 組織体制で不足している点
- 過去にうまくいかなかった取り組み
- 入社後に苦労する可能性がある点
- 経営陣の考え方や意思決定の進め方
自社の実情を伝えたうえで、候補者の疑問や懸念にも丁寧に答えることが相互理解につながります。
すぐに転職しない候補者とも、継続的に情報交換できる関係を築くことが将来の採用機会を広げます。
報酬以外の魅力も提示する
ハイレイヤー候補者には、年収だけでなく、仕事や権限を含めた魅力を提示します。
高水準の報酬を示す企業もあるため、金額だけでは自社との違いが伝わりにくいからです。
| 魅力の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 意思決定への参画 | 経営会議への参加や重要事項への関与 |
| 組織形成の裁量 | 採用・評価・体制づくりを主導できる環境 |
| 中長期的な報酬 | ストックオプションなどの付与条件 |
| 社会的な意義 | 事業が社会や業界にもたらす変化 |
| 事業フェーズ | 上場準備、新規事業、組織変革を担う経験 |
候補者のキャリア目標を確認し、自社で得られる機会と結びつけて説明します。
その会社で働く固有の価値を具体化することが、他社との比較における判断材料になります。
ハイレイヤー人材の入社後の定着・活躍を促す方法
ハイレイヤー人材の定着と活躍には、役割設計や社内連携、入社後支援など複数の要素が関わります。
ここでは、期待値の共有からオンボーディング、継続的なフォローまでを順に整理します。
役割・権限・評価基準を共有する
入社前後に、役割・権限・評価基準を具体的に共有します。
期待された責任と実際の決裁範囲に差があると、意思決定が進まず、不満につながるためです。
| 項目 | 共有する内容 |
|---|---|
| 役割 | 担当領域と期待する成果 |
| 権限 | 単独で判断できる事項と承認が必要な事項 |
| 役割分担 | 経営陣や他部門との責任範囲 |
| 評価基準 | 評価する成果・指標・時期 |
口頭説明だけで終わらせず、文書にまとめ、入社後の1on1でも認識を確認します。
採用時に伝えた条件と入社後の運用を一致させることが、早期の活躍を支える土台です。
経営陣との認識をすり合わせる
入社後は、ハイレイヤー人材と経営陣が定期的に認識をすり合わせます。
同じ課題を見ていても、優先順位や期待する成果が異なる場合があるためです。
対話では、次の点を確認します。
- 現在進めている業務
- 本人が感じている課題
- 判断に必要な情報の不足
- 役割や権限の不明確な点
- 経営陣の期待とのずれ
- 他部門との連携状況
入社直後は対話の頻度を高め、状況が安定した後も定期的な面談を続けます。
即戦力として任せきりにせず、必要な情報と支援を提供することが、認識のずれを防ぎます。
オンボーディングを実施する
ハイレイヤー人材にも、計画的なオンボーディングを実施します。
経験が豊富でも、社内の関係性や意思決定の流れをすぐに把握できるとは限らないためです。
主な実施内容は、次のとおりです。
- 事業戦略や経営課題の共有
- 組織図や各部門の役割説明
- 意思決定や承認フローの案内
- 主要な社員や取引先との面談
- 入社後30日・60日・90日の目標設定
- 進捗や課題の定期的な振り返り
例えば、30日目までに現状を把握し、60日目までに課題と方針を整理します。
90日目までに施策へ着手するなど、理解・関係構築・実行を段階的に進める設計が有効です。
定期的なフォローの機会を設ける
オンボーディング後も、定期的な対話を通じて課題や認識のずれを確認します。
自律的に働ける人材ほど、役割への迷いや組織内の問題を周囲に相談しない場合があるためです。
フォローでは、次の点を確認します。
- 役割や権限に問題がないか
- 期待する成果を理解できているか
- 経営陣や他部門との連携に課題がないか
- 必要な人員や予算が確保されているか
- 本人の希望と現在の役割が合っているか
- 目標や支援内容を見直す必要がないか
月次面談に加え、四半期ごとに役割や目標を振り返ると、変化を把握しやすくなります。
事業や組織の状況に応じて権限・目標・支援を見直すことが、長期的な活躍を支えます。
自社だけでハイレイヤー採用が難しい場合は外部支援を活用するのがおすすめ
ハイレイヤー採用は、候補者との接点や採用設計、社内工数など複数の課題が生じます。
ここでは、外部支援を活用するメリットと、支援会社を選ぶ際の確認点を整理します。
自社に不足する機能を把握し、外部へ任せる範囲を判断する材料にしてください。

自社では接点を持ちにくい候補者にアプローチできる
外部支援を活用すると、自社だけでは接点を持ちにくい候補者へアプローチできます。
ハイレイヤー人材には、現職で責任ある立場にあり、積極的に転職活動をしていない人もいるためです。
外部支援会社のデータベースや人脈を通じて、次のような候補者と接点を広げられます。
- 現職の経営幹部や事業責任者
- 転職活動を始めていない潜在層
- 特定分野で実績を持つ専門人材
- 一般的な求人媒体では探しにくい人材
ただし、保有する候補者層や得意領域は支援会社ごとに異なります。
採用したい役職や業界に合うネットワークを持つ会社を選ぶことが、外部支援を有効に活用するポイントです。
採用要件や選考プロセスの設計を支援してもらえる
外部支援を活用すると、採用要件や選考プロセスの設計から支援を受けられます。
抽象的な人物像のままでは、候補者の探索や面接で判断基準がぶれやすいためです。
支援を受けられる主な領域は、次のとおりです。
- 経営課題を踏まえた採用要件の整理
- 採用ターゲットの具体化
- 面接項目や評価基準の設計
- 選考フローや面接官の役割分担
- スカウト文や訴求内容の改善
- オファー条件や候補者対応の整理
対応範囲は支援会社によって異なるため、契約前に委託内容を確認する必要があります。
社内の意思決定を残しながら専門的な知見を取り入れることで、採用活動の精度を高められます。
ハイレイヤー採用にかかる工数を削減できる
外部支援を活用すると、ハイレイヤー採用に伴う社内の工数を削減できます。
候補者の探索や連絡、日程調整などを自社だけで担うと、人事や経営陣の負担が増えるためです。
外部へ委託できる主な業務は、次のとおりです。
- 採用ターゲットの整理
- 候補者のリストアップ
- スカウト文の作成・送信
- 返信対応や面談の日程調整
- 選考状況の管理
- 採用データの集計・分析
- 内定後の候補者フォロー
定型業務を委託すれば、社内は候補者との対話や評価、合否判断に時間を使いやすくなります。
外部へ任せる業務と社内に残す意思決定を分けることが、採用の質を保ちながら負担を減らすポイントです。
実績や得意領域を確認して支援会社を選ぶ
外部支援を利用する際は、自社の採用課題と得意領域が合う支援会社を選びます。
支援会社ごとに、対応できる業界や職種、候補者層、支援範囲が異なるためです。
| 確認項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 採用実績 | 同じ業界や近いポジションの支援経験 |
| 得意領域 | 経営幹部・事業責任者・専門職などの対応範囲 |
| 支援範囲 | 要件設計から入社前フォローまで対応できるか |
| 候補者との接点 | 独自のデータベースや人材ネットワークの有無 |
| 担当者の専門性 | 対象となる業界や職種への理解 |
| 料金体系 | 固定費や成功報酬などの費用条件 |
| 情報共有 | 進捗報告や定例会、改善提案の方法 |
候補者紹介だけでなく、採用戦略や選考設計まで対応できる会社もあります。
依頼したい業務と社内に残す役割を整理して比較することが、適切な会社選びにつながります。
ハイレイヤー採用では要件設計と候補者との関係構築が重要
ハイレイヤー採用とは、経営幹部や事業責任者など、重要な意思決定を担う人材を採用する取り組みです。
成功には、経営課題を起点に役割・権限・評価基準を明確にすることが欠かせません。
候補者へのアプローチでは、複数の採用手法を使い分け、経験や転職理由に合った魅力を伝えます。
選考では、専門性に加えて経営視点や組織との相性も確認しましょう。
採用後も、経営陣との認識共有や計画的なオンボーディングを続けることが重要です。
自社だけで対応が難しい場合は、外部支援も活用しながら採用体制を整えましょう。
