公開日:2026.08.27
地方企業の人手不足はなぜ深刻なのか?5つの原因と採用・定着・省人化の対策を解説
求人を出しても、応募がまったく来ない……。
採用できてもすぐに離職され、現場の負担が減らない……。
――こうした課題は、「採る・定着させる・省人化する」の3軸で採用・人材戦略を見直すことが重要です。
本記事では、離職の連鎖や収益悪化、事業継続の停滞など、放置による3つの経営リスクを解説します。
さらに、ターゲットの見直し・待遇改善・外部人材の活用・DX化という4つの解消アプローチを紹介します。
人事・採用担当者はもちろん、責任者・経営層の方も、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の要点まとめ
地方企業の人手不足は、採用難だけでなく、人口減少や離職、業務負担などが重なって起こります。
採用・定着・業務改善を一体で考える必要があります。
地方企業の人手不足の要点は、以下のとおりです。
- 人口減少や若年層の都市部流出が、採用難の背景にあります。
- 給与・待遇・キャリアの不一致も、応募不足につながります。
- 採用体制の不足は、対応遅れや機会損失を招きます。
- 人手不足の放置は、離職や収益悪化、技能継承に影響します。
- 対策は、採用・定着・外部人材・業務改善の4方向で考えます。
- 自社のボトルネックを特定し、対策を選ぶことが大切です。
- 費用・期間・効果を見ながら、段階的に改善します。
地方企業の人手不足は、原因に応じて採用・定着・省人化を組み合わせることが有効です。
最新データで見る地方企業の人手不足の現状
地方企業の人手不足には、人口動態や採用環境など複数の要因が関係しています。
ここでは、公的データと都市部・地方の構造差から、人手不足の現状を整理します。
まずは全体像を捉え、自社で優先すべき採用・人材確保の対策を考える土台にしましょう。
中小企業の人手不足率と推移
地方企業だけに限定した全国一律の人手不足率は限られますが、中小企業では人手不足が高い水準で続いています。
日本・東京商工会議所の調査では、2024年に回答企業2,392社の63.0%が「人手が不足している」と回答。
前年調査の68.0%からは低下しました。
また、中小企業庁「2026年版中小企業白書」では、
労働供給制約社会の到来が経営環境の変化として示されています。
人手不足は中長期で向き合う経営課題といえるでしょう。
単年の人手不足率だけで判断せず、継続的な人材確保を前提に採用計画を考える視点が求められます。
都市部と地方で異なる人手不足の構造
都市部と地方では、人手不足の要因が同じとは限りません。
地方では採用母集団そのものが縮小しやすい点が大きな違いです。
総務省「令和7年国勢調査」の人口速報では、全国の市町村の90.6%で2020年から人口が減少しています。
また、総務省「住民基本台帳人口移動報告」の2025年結果では、
日本人移動者に限ると、東京圏への転入超過は20~24歳が最も多く、若年層の移動も確認できます。
都市部では企業間の採用競争、地方では人口減少や人材流出が重なりやすい傾向があります。
地域要因と自社で変えられる条件を切り分けることが、人材確保の方向性を定める起点となります。
地方企業で人手不足が起きる5つの原因
地方企業の人手不足は、人口減少だけでなく、待遇や採用体制、職場環境などの要因が重なって起こります。
ここでは、採用前から入社後までの流れに沿って、人手不足につながる主な5つの原因を整理します。
1.人口減少・高齢化と若年層の都市部流出
地方企業では、人口減少と若年層の都市部流出が重なることで、
採用対象となる人材そのものが減少しやすい状況にあります。
総務省「令和7年国勢調査」の人口速報では、2020年から2025年にかけて45道府県で人口が減少しました。
地域によっては、採用母集団の縮小が進んでいます。
さらに、総務省「住民基本台帳人口移動報告」の2025年結果では、日本人移動者の東京圏への転入超過は20~24歳が最も多く、進学・就職期を含む若年層の流入が大きいことが分かります。
地域内の応募者を待つだけでは採用が難しい場合、地域外まで採用対象を広げる視点も必要です。
通勤支援やリモートワークなど、居住地の制約を緩和できる条件も検討余地があります。
2.給与・待遇・キャリアの選択肢が求職者の希望と合わない
給与だけでなく、休日や働き方、成長機会まで含めた条件が合わないと、応募や入社をためらう要因になります。
求職者は、給与水準だけでなく、残業時間や福利厚生、評価制度、将来のキャリアまで含めて応募先を比較します。
そのため、相場並みの給与でも、他の条件や成長イメージが弱ければ、選ばれにくくなる可能性があります。
給与の引き上げが難しい場合も、働き続ける理由を条件全体で設計することが有効です。
休暇制度や育成、キャリアパスも見直す余地があります。
3.採用予算・人員・時間が不足している
採用予算・人員・時間が不足すると、候補者対応の遅れや採用機会の損失につながりやすくなります。
採用業務は、求人掲載から応募対応、日程調整、面接、内定後フォローまで多岐にわたり、
兼任体制では負荷が集中しがちです。
すべてを自社で抱えるのではなく、媒体の絞り込みや外部委託によって、
優先度の低い業務を減らす方法もあります。
限られたリソースの中では、成果に直結する採用業務へ集中できる体制づくりが、採用活動の安定につながります。
4.求人情報・採用手法で企業の魅力を伝えきれていない
求人情報が抽象的だったり、ターゲットに合わない採用手法を使っていたりすると、
企業の魅力が十分に伝わらない可能性があります。
「若手が活躍中」「やりがいのある仕事」だけでは、入社後の働き方を具体的に想像しにくいものです。
仕事内容や任される役割、職場環境、キャリアの例まで示すことで、
求職者は自分との相性を判断しやすくなります。
あわせて、ターゲットが利用する媒体や接点も見直し、
求職者が知りたい情報を適切な場所で届けることが応募につながる設計となります。
5.職場環境・離職・業務の非効率に課題がある
職場環境や業務体制に課題があると、採用できても定着せず、人手不足が繰り返される状態になりかねません。
教育不足や長時間労働、業務の属人化などが続けば、
既存社員にも負担が集中し、離職や生産性低下につながる可能性があります。
そのため、採用数を増やすだけでなく、教育体制の整備や業務の標準化、ITツールの活用など、
働き続けやすい環境づくりも必要です。
採用・定着・業務改善を一体で見直すことが、人手不足を繰り返さない組織づくりにつながります。
地方企業が人手不足を放置する3つの経営リスク
人手不足を放置すると、採用だけでなく、収益や組織運営、事業継続まで影響が広がる可能性があります。
ここでは、社員負担・収益悪化・技能継承という3つの観点から、経営上のリスクを整理します。
まずは自社への影響を把握し、深刻化する前に優先して対処すべき課題を見極める材料にしてください。
既存社員の負担増加によって離職と品質低下が起きる
人手不足を既存社員の負担増で補い続けると、離職の連鎖や業務品質の低下を招く可能性があります。
欠員分の業務が残った社員に集中すれば、残業や負担感が増え、疲弊しやすくなります。
さらに離職者が出れば、残る社員への負荷は一段と高まります。
現場に余裕がなくなると、確認や教育に使える時間も減り、ミスや対応品質のばらつきにつながりかねません。
人手不足を悪循環にしないためには、業務量・人員配置・業務プロセスをあわせて見直すことが、
社員の定着と品質維持の両面で有効です。
受注制限と採用コスト増加によって収益が悪化する
人手不足が続くと、受注機会の損失と採用コストの増加が同時に進み、収益を圧迫する可能性があります。
人員が足りなければ、受注制限や営業時間の短縮、納期の長期化によって、本来得られた売上を逃しかねません。
一方で、求人広告の長期掲載や人材紹介、派遣の活用が増えれば、採用関連の支出も膨らみやすくなります。
そのため、売上機会と採用コストの両面から人手不足を見ることが必要です。
採用手法と業務プロセスを見直すことで、収益への影響を抑えやすくなります。
技能継承・事業承継が進まず事業継続が難しくなる
人手不足で後継人材を確保できない状態が続くと、
技能やノウハウの継承が進まず、事業継続に影響する可能性があります。
特に、特定の社員しか対応できない業務が多い企業では、
退職によって技術や顧客対応の知識まで失われかねません。
採用だけに頼らず、業務手順の可視化やマニュアル整備、複数人への教育を進め、
知識を組織に蓄積する仕組みが必要です。
人材確保と属人化の解消を並行して進めることが、技能を次世代へ引き継ぎ、
安定した事業運営を続ける土台となります。
自社の人手不足原因を特定する診断チェックリスト
人手不足の原因は、応募不足や選考離脱、早期離職、業務負担など、企業ごとに異なります。
ここでは、採用前から入社後までの各段階をチェックし、どこに課題があるのかを整理します。
まず原因を切り分け、自社が優先して取り組むべき人手不足対策を判断する材料にしてください。
求人への応募が集まらない場合の確認項目
求人への応募が集まらない場合は、応募数だけでなく、
「見られていない」「見られても選ばれていない」原因を分けて確認します。
以下の項目で、自社に当てはまるものをチェックしてください。
- 求人の表示回数・閲覧数が少ない
- ターゲットが利用する求人媒体を選べていない
- 求人タイトルだけでは仕事内容や魅力が伝わりにくい
- 給与・休日・勤務地などが競合求人より見劣りしている
- 仕事内容が抽象的で、入社後の働き方を想像しにくい
- 必須条件が多く、応募できる人材を狭めすぎている
- 働き方や福利厚生、キャリアなどの魅力を十分に掲載していない
- 求める人物像と求人内容・訴求内容が一致していない
- 求人掲載後に表示数・閲覧数・応募数を確認していない
- 競合企業の求人内容や採用条件と比較していない
チェック数を目安に、次のアクションを決めます。
- 0~2個:求人データを確認
表示数・閲覧数・応募率から、離脱している段階を特定します。 - 3~5個:求人内容を改善
タイトル・仕事内容・条件・訴求内容を中心に見直します。 - 6個以上:採用設計を再検討
媒体やターゲット、応募条件まで含めて全体を見直します。
※チェック数は、自社の課題を整理するための簡易的な目安です。
実際の優先順位は、各課題の影響度や採用・離職データなども踏まえて判断してください。
ただし、チェック数だけで判断するのではなく、
表示・閲覧・応募のどこに課題があるかを優先して特定することがポイントです。
原因に合った施策から改善することで、無駄な採用費を抑えやすくなります。
応募はあるものの採用に至らない場合の確認項目
応募はあるものの採用に至らない場合は、
「選考で見極めすぎている」のか「候補者に辞退されている」のかを分けて確認します。
以下の項目で、自社に当てはまるものをチェックしてください。
- 書類選考の通過率が低い
- 必須条件が多く、選考基準を厳しく設定している
- 求人票の応募条件と実際の選考基準にずれがある
- 面接官によって評価基準や合否判断にばらつきがある
- 応募から面接設定までに時間がかかっている
- 面接回数が多く、選考期間が長期化している
- 面接前後の辞退が多い
- 面接で仕事内容や働く魅力を十分に伝えられていない
- 候補者の希望条件や転職理由を十分に確認できていない
- 内定後の回答期限やフォロー方法を設計していない
チェック数を目安に、次のアクションを決めます。
- 0~2個:選考データを確認
通過率・辞退率を見て、離脱が多い選考段階を特定します。 - 3~5個:選考基準を改善
必須条件や評価基準、面接内容、選考スピードを見直します。 - 6個以上:選考全体を再設計
採用要件から内定後フォローまで、一連の選考プロセスを見直します。
※チェック数は、自社の課題を整理するための簡易的な目安です。
実際の優先順位は、各課題の影響度や採用・離職データなども踏まえて判断してください。
ただし、チェック数だけでなく、「不合格が多いのか」「辞退が多いのか」を最初に切り分けることがポイントです。
ボトルネックを特定すれば、採用基準と候補者対応のどちらを優先すべきか判断しやすくなります。
採用後の早期離職が多い場合の確認項目
採用後の早期離職が多い場合は、「入社前の期待とのずれ」と「入社後の受け入れ体制」を分けて確認します。
以下の項目で、自社に当てはまるものをチェックしてください。
- 求人や面接で伝えた仕事内容と実際の業務に差がある
- 入社前に勤務条件や職場環境を十分に説明できていない
- 入社後の研修や教育体制が整っていない
- 配属後に相談できる上司や担当者が明確でない
- 入社直後から業務量や責任が大きい
- 残業時間や休日などが入社前の想定と異なっている
- 評価基準や昇給・キャリアの仕組みが分かりにくい
- 上司や既存社員とのコミュニケーション機会が少ない
- 入社後の面談やフォローを定期的に行っていない
- 退職理由を記録・分析し、改善に反映していない
チェック数を目安に、次のアクションを決めます。
- 0~2個:離職理由を確認
退職者の傾向や入社時期を整理し、離職の共通要因を探します。 - 3~5個:受け入れ体制を改善
研修・面談・業務配分・情報共有を中心に見直します。 - 6個以上:定着施策を再設計
採用時の説明から入社後フォローまで一連の流れを見直します。
※チェック数は、自社の課題を整理するための簡易的な目安です。
実際の優先順位は、各課題の影響度や採用・離職データなども踏まえて判断してください。
チェック数だけでなく、「入社前」と「入社後」のどちらでギャップが生じているかを特定すると、
改善の優先順位を決めやすくなります。
採用しても業務負担が減らない場合の確認項目
採用しても業務負担が減らない場合は、「人員不足」ではなく「業務設計」に原因がないかを確認します。
以下の項目で、自社に当てはまるものをチェックしてください。
- 一部の社員に業務が集中している
- 業務の担当範囲や役割分担が曖昧
- 新入社員へ仕事を引き継ぐ仕組みが整っていない
- 特定の社員しか対応できない業務が多い
- 手作業や二重入力など非効率な業務が残っている
- 会議・報告・承認に時間がかかっている
- 業務量や工数を把握できていない
- 優先度の低い業務を減らせていない
- 外部委託やITツールを十分に活用できていない
- 採用後も既存社員の残業時間がほとんど減っていない
チェック数を目安に、次のアクションを決めます。
- 0~2個:業務量を確認
工数や残業時間を整理し、負担が残る部署・業務を特定します。 - 3~5個:業務分担を改善
役割分担や引き継ぎ、業務手順を中心に見直します。 - 6個以上:業務設計を再構築
廃止・削減・外注・自動化まで含めて業務全体を見直します。
※チェック数は、自社の課題を整理するための簡易的な目安です。
実際の優先順位は、各課題の影響度や採用・離職データなども踏まえて判断してください。
チェック数だけでなく、「人を増やせば解決する業務か」を見極めることがポイントです。
採用と業務改善を切り分けると、必要な対策が明確になります。
診断結果から優先すべき人手不足対策を判断する
診断後は、チェックが多かった領域を優先候補とし、
数値への影響や緊急度も踏まえて対策を決めると、改善すべき課題を絞り込みやすくなります。
まず、4つの診断結果を比較してください。
- 応募不足のチェックが多い
求人内容・採用ターゲット・媒体選定を優先して見直します。 - 採用未達のチェックが多い
選考基準・面接・候補者対応・選考スピードを改善します。 - 早期離職のチェックが多い
入社前の説明や教育、配属後のフォロー体制を整えます。 - 業務負担のチェックが多い
業務分担・標準化・外部委託・自動化を優先して検討します。
複数の領域でチェックが多い場合は、次の順で判断すると整理しやすくなります。
- 離職が多い:定着を優先
採用しても人員が減る状態を先に改善します。 - 応募・採用が不足:採用を改善
求人から選考までのボトルネックを特定します。 - 採用しても負担が減らない:業務改善を優先
人員追加ではなく、業務そのものを見直します。
「採用人数を増やすこと」を目的にせず、
人手不足を生んでいる原因に合わせて施策を選ぶことが、優先順位を誤らないポイントです。
地方企業の人手不足を解消する4つの対策
地方企業の人手不足は、採用だけでなく、定着や人材活用、業務効率にも目を向ける必要があります。
ここでは、採用・定着・外部人材・省人化の4つの切り口から、具体的な対策を整理します。
対策1|採用ターゲット・求人票・採用手法を見直す
採用成果を高めるには、媒体を増やす前に、採用ターゲットを具体化することが必要です。
任せたい業務や必要なスキル、勤務条件を整理すると、求人票で伝えるべき内容も明確になります。
仕事内容や待遇に加え、職場環境やキャリアも具体化し、ターゲットに合う媒体やエージェントを選びます。
「誰に・何を伝え・どこで届けるか」を一貫させることが、自社に合う人材との接点を増やす土台になります。
対策2|労働条件・育成・マネジメントを改善して定着率を高める
人手不足を改善するには、採用数を増やすだけでなく、入社した人材が定着できる環境づくりも欠かせません。
給与や休日、勤務時間などの条件に加え、教育体制や上司との関係、評価の納得感も働き続けやすさに影響します。
特に早期離職が多い場合は、入社後の研修や業務量、面談機会、評価基準などを確認し、
離職につながる要因を整理します。
採用と定着を一連のプロセスとして見直すことで、採用を繰り返す状態から、
安定して人材を確保できる組織へ近づけます。
対策3|外国人材・副業人材・UIターン人材などを活用する
地域内の正社員採用だけで人材確保が難しい場合は、採用対象や働き方の選択肢を広げることが有効です。
外国人材や副業人材、U・Iターン希望者なども対象に含めれば、
地域内の求職者だけに依存しない採用が可能になります。
例えば、専門業務を副業人材へ切り出したり、
住宅補助や移住支援で地域外からの採用を促したりする方法があります。
出入国在留管理庁の案内では、外国人を雇用する際に在留資格や就労可能な業務範囲の確認が必要とされています。
すべての業務を地元の正社員だけで担う前提を見直すことで、
自社の業務に合った人材確保の選択肢を広げられます。
対策4|業務改善・外部委託・DXで必要人員を減らす
人手不足への対応では、採用だけで補うのではなく、必要な業務量そのものを減らす視点も有効です。
まず業務を洗い出し、「廃止」「削減」「外部委託」「自動化」に分類すると、
効率化できる部分を見つけやすくなります。
あわせて、属人化した業務を標準化し、定型作業にはITツールや
外部サービスを活用することで、社員の負担を軽減できます。
「人を増やす」と「仕事を減らす」を組み合わせることで、
少ない人数でも安定して業務を回せる体制につながります。
人手不足対策の選び方と実行手順
人手不足対策は、採用・定着・省人化など複数あるため、自社の課題に応じた選び分けが必要です。
ここでは、費用・期間・優先順位・実行手順の4つの観点から、施策の進め方を整理します。
費用・期間・効果から施策を比較する
人手不足対策は、効果だけでなく、費用・実行期間・期待効果をセットで比較することが大切です。
施策ごとに必要な予算や担当者の工数、成果が出るまでの時間は異なります。
効果が高くても、継続できなければ十分な改善にはつながりません。
施策ごとの一般的な費用・期間の目安は、次のとおりです。
| 施策例 | 費用 | 実行期間 | 期待できる効果 |
|---|---|---|---|
| 求人票の改善 | 小 | 短期 | 応募率の改善 |
| 採用媒体の見直し | 小~中 | 短期 | 応募数・採用効率の改善 |
| 育成・定着施策 | 中 | 中期 | 早期離職の抑制 |
| 人事制度の見直し | 中~大 | 中長期 | 定着・働きやすさの改善 |
| DX・業務改善 | 中~大 | 中長期 | 業務負担・必要工数の削減 |
※費用・期間は企業規模や施策内容によって異なります。
まずは短期間で着手できる施策と中長期で進める施策を分け、
自社が継続して実行できる組み合わせを選ぶことが現実的です。
採用・定着・省人化の優先順位を決める
人手不足対策では、最も大きなボトルネックから優先して改善することが効果的です。
まず、応募数・採用数・離職率・残業時間などを確認し、どの段階で人手不足が生じているかを整理します。
| 状況 | 優先する対策 |
|---|---|
| 応募が少ない | 採用ターゲット・求人・媒体の改善 |
| 選考で採用できない | 選考基準・候補者対応の改善 |
| 早期離職が多い | 労働条件・育成・定着施策の改善 |
| 採用しても負担が減らない | 業務改善・外部委託・DX |
複数の課題がある場合も、数値への影響が大きい領域から順に着手することで、
限られた予算や人員を有効に使いやすくなります。
現状把握から効果検証までの手順を整理する
人手不足対策は、施策を実行して終わりではなく、
現状把握から効果検証までを一連の流れで管理することが必要です。
進め方は、次の5ステップで整理すると分かりやすくなります。
- 現状を把握する
応募数・採用数・離職率・残業時間などを確認します。 - 課題と原因を特定する
採用・定着・業務負担のどこに問題があるか整理します。 - 施策とKPIを決める
担当者・期限・予算と、成果を測る指標を設定します。 - 施策を実行する
決めた内容を実施し、途中経過も記録します。 - 効果を検証して改善する
KPIの変化を確認し、成果が弱ければ施策を見直します。
「実行→検証→改善」を継続できる仕組みにすることで、単発の対策ではなく、
継続的な人手不足改善につなげやすくなります。
30日・90日・半年のロードマップで実行する
人手不足対策は、複数施策を同時に進めるより、短期・中期・中長期に分けて実行することが進めやすい方法です。
例えば、次のように時間軸を分けると、優先順位を整理しやすくなります。
| 期間 | 主な取り組み |
|---|---|
| 30日 | 採用データ整理・求人票改善・課題特定 |
| 90日 | 新しい採用手法・定着施策の実施と検証 |
| 半年 | 人事制度・業務プロセス・DXの見直し |
30日で現状を整え、90日で施策を試し、半年を目安に構造的な改善へ広げる流れです。
期間はあくまで目安ですが、小さく実行して検証しながら改善範囲を広げることで、
現場への負担を抑えながら継続しやすくなります。
地方企業の人手不足に関するよくある質問
地方企業の人手不足では、採用・待遇・応募不足など、状況によって迷いやすいポイントが異なります。
ここでは、特に判断に迷いやすい3つの質問をもとに、考え方と対応の方向性を整理します。
まず自社の状況に近い課題を確認し、次に取るべき対策を見極める参考にしてください。
地方企業が人手不足の時に最初に取り組むべき対策は何ですか?
最初に行うべきなのは、求人を増やすことではなく、人手不足がどこで起きているかを特定することです。
応募数・採用数・離職率・残業時間などを確認すると、課題の位置を把握しやすくなります。
- 応募が少ない:求人内容・媒体を見直す
- 選考辞退が多い:選考方法・候補者対応を改善する
- 早期離職が多い:育成・定着施策を優先する
- 業務負担が大きい:業務改善・省人化を検討する
原因に合った対策から着手することが、限られた予算や人員を有効に使うための出発点となります。
給与を上げられない場合は何を改善すべきですか?
給与をすぐに上げられない場合は、働きやすさや成長機会など、給与以外の条件を見直すことが有効です。
求職者が比較する条件は給与だけではありません。例えば、次のような項目も応募先を選ぶ判断材料になります。
- 休日数・残業時間
- 勤務時間の柔軟性
- 通勤・住宅支援
- 教育・研修体制
- 評価制度
- キャリアパス
制度を整えるだけでなく、求人票や採用ページで具体的に伝えることも欠かせません。
「この会社で働くメリット」を給与以外でも明確にすることが、採用競争力を補う手段になります。
求人を出しても応募が来ない原因は何ですか?
求人を出しても応募が来ない場合は、
「見られていない」のか「見られても選ばれていない」のかを分けることが必要です。
まず、表示数・閲覧数・応募率を確認し、どの段階で候補者が離れているかを整理します。
- 表示数が少ない:媒体選定・求人タイトル・露出方法を見直す
- 閲覧数が少ない:給与・勤務地・仕事内容など一覧情報を確認する
- 閲覧後の応募が少ない:待遇・仕事内容・応募条件・訴求内容を改善する
あわせて、競合求人との条件差や、ターゲットに合った媒体を使えているかも確認します。
求人内容と届け方を切り分けて検証することで、採用費を増やす前に改善すべき箇所を特定しやすくなります。
地方企業の人手不足は採用・定着・外部人材・業務改善で解消する
地方企業の人手不足は、人口減少だけでなく、
採用条件や職場環境、業務体制など複数の要因が重なって起こります。
そのため、採用人数を増やすだけでなく、原因に合わせて対策を選ぶことが欠かせません。
主な対策は次の4つです。
- 採用ターゲット・求人票・採用手法を見直す
- 労働条件・育成・マネジメントを改善する
- 外国人材・副業人材・U・Iターン人材などへ対象を広げる
- 業務改善・外部委託・DXで必要な業務量を減らす
応募不足、早期離職、業務負担など、自社のボトルネックを確認したうえで優先順位を決めます。
短期で改善できる施策から着手し、効果を検証しながら改善範囲を広げることが、
持続的な人材確保につながります。