公開日:2026.08.28
応募者情報の保管期間はいつまで?採用・不採用別の法律と適切な管理方法を解説
不採用者の履歴書や選考メモは、いつまで保管してよいのだろう……。
ATSやメールなどに残る応募者データを、安全に管理する方法が分からない……。
――こうした課題は、採用・不採用ごとのルールに沿って、保管期限と廃棄フローを明確にすることが重要です。
本記事では、履歴書だけでなく、メール・面接メモ・適性検査など、管理すべき応募者情報の範囲を解説します。
さらに、管理漏れを防ぐための「保管期間」と「起算日」の決め方も紹介します。
人事・採用担当者はもちろん、責任者・経営層の方も、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の要点まとめ
応募者情報には、履歴書だけでなく、面接記録・適性検査・ATSやメール上のデータも含まれます。
保管期間は、採用結果や利用目的によって異なります。
応募者情報の保管期間の要点は、以下のとおりです。
- 採用者の労働関係書類は本則5年ですが、現在は当分の間3年です。
- 不採用者や辞退者には、一律の法定保存期間はありません。
- 採用者の書類は、保存年数だけでなく起算日の確認も必要です。
- 面接記録や適性検査、ATS・メール上の情報も管理対象になります。
- タレントプールで利用する場合は、利用目的を明確にする必要があります。
- 期限後は、保存先を確認して適切に削除・廃棄・返却します。
- 対象者や保管期間、処理方法を社内ルールとして整理すると管理しやすくなります。
応募者情報は、法令と利用目的に沿って保管期間や処理方法を決めることが基本です。
応募者情報の保管期間はいつまで?
応募者情報の保管期間は、採用結果や情報の種類によって考え方が異なります。
ここでは、採用者・不採用者・辞退者に分けて、保管期間の考え方を整理します。
採用者の応募者情報に必要な保管期間
採用者の応募者情報は、すべて一律ではなく、書類ごとの法令と利用目的に応じて保管期間を定めます。
履歴書は雇入れに関する書類に含まれ、保存期間は本則5年です。
ただし、現在は経過措置により当分の間3年が適用されています。
雇入れに関する書類は、原則として労働者の退職または死亡の日から保存期間を数えます。
入社日から3年ではない点に注意が必要です。
一方、採用時に取得した情報すべてが同じ保存義務を負うとは限りません。
書類ごとに根拠と必要性を整理し、保存期限まで社内規程に定めると管理しやすいでしょう。
不採用者・選考辞退者・内定辞退者の保管期間
不採用者・選考辞退者・内定辞退者の応募者情報には、一律の法定保存期間はありません。
採用者の労働関係書類のように、3年・5年といった保存義務が定められていないためです。
保管期間は、情報を残す目的と必要性を踏まえて企業ごとに設定します。
たとえば、対象者ごとに次のような目的が考えられます。
- 不採用者:選考結果への問い合わせ対応
- 選考辞退者:辞退経緯の確認
- 内定辞退者:内定・辞退に関する記録確認
ただし、将来の採用で使う可能性があるという理由だけで長期間残し続けるのは避けるべきです。
利用する必要がなくなった個人データは、遅滞なく消去するよう努めることが求められます。
その他の応募者情報も、保有目的がなくなった場合は社内ルールに沿って削除・廃棄します。
対象者ごとに保管目的・期間・削除時期を明確にしておけば、
担当者による判断のばらつきや不要な長期保管を抑えやすくなります。
対象者別に見る応募者情報の保管期間一覧
応募者情報の保管期間は、採用結果と情報の種類によって考え方が異なります。
採用者には法定保存の対象となる書類がある一方、不採用者や辞退者には一律の法定保存期間がありません。
| 対象者 | 保管期間の考え方 | 期間満了後の処理 |
|---|---|---|
| 採用者 | 法令で保存期間が定められた書類は本則5年 ただし、現在は経過措置により当分の間3年 | 法定保存期間を満たし、 ほかに合理的な保有目的がなければ削除・廃棄 |
| 不採用者 | 法定の一律期間はなく、利用目的に応じて企業が設定 | 保有する必要がなくなった時点で削除・廃棄 |
| 選考辞退者 | 法定の一律期間はなく、辞退後の利用目的に応じて企業が設定 | 設定した保管期限後に削除・廃棄 |
| 内定辞退者 | 法定の一律期間はなく、保有の必要性を踏まえて企業が設定 | 設定した保管期限後に削除・廃棄 |
採用者についても、すべての応募者情報を同じ期間保管するわけではありません。
書類ごとの保存義務や利用目的を確認し、期限を設定する必要があります。
不採用者や辞退者は、問い合わせ対応などの目的に必要な期間を基準にするとよいでしょう。
「将来使うかもしれない」という理由だけで長期間保管し続けないことがポイントです。
対象者ごとに保管期間と処理方法を一覧化しておけば、
担当者による判断のばらつきを抑え、管理ルールを統一しやすくなります。
応募者情報とは?保管が必要な理由と対象範囲
応募者情報は履歴書だけでなく、採用活動を通じて取得するさまざまな情報が対象となります。
ここでは、応募者情報を保管する理由と、管理対象となる情報の範囲を整理します。
応募者情報を保管する主な理由
応募者情報を保管する主な理由は、法令上の保存義務への対応や、
採用・選考に関する事実を後から確認できる状態にするためです。
採用者の一部書類には法定の保存期間があります。
また、選考結果への問い合わせがあった際には、応募書類や面接記録が経緯を確認する材料になります。
ただし、応募者情報は必要な目的の範囲で保管・利用することが基本です。
個人データは利用する必要がなくなった場合、遅滞なく消去するよう努めることが求められます。
そのため、何のために保管するのかを情報ごとに明確にすることがポイントです。
目的に応じた期間だけ保有することで、不要な長期保管や情報漏洩のリスクを抑えやすくなります。
履歴書以外に管理が必要な応募者情報
応募者情報は履歴書だけでなく、採用活動の中で取得・記録した個人に関する情報全般が管理対象になります。
主な対象には、次のようなものがあります。
- 職務経歴書や応募フォーム
- 面接記録や評価コメント
- 適性検査の結果
- ATSに登録されたプロフィールや選考履歴
- メールやチャットに残る氏名、連絡先、添付ファイル
そのため、紙の履歴書を廃棄しただけでは十分とは限りません。
ATSやメール、共有フォルダ、担当者のPCなどに、同じ情報が残っている可能性があります。
情報の種類と保存先をセットで把握することが、削除漏れを防ぐポイントです。
保管期限後に関連データを確実に処理できる管理体制につながります。
応募者情報の保管期間に関する法律上のルール
応募者情報の保管期間は、採用結果や書類の種類によって適用される法律や考え方が異なります。
ここでは、労働基準法・個人情報保護法・職業安定法の観点から、保管に関するルールを整理します。
労働基準法における採用者の書類の保存期間
採用後の労働関係書類には、労働基準法に基づく保存義務があります。
保存期間は本則5年ですが、現在は経過措置により当分の間3年です。
主な保存対象は、次のとおりです。
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 雇入れや解雇に関する書類
- 災害補償や賃金に関する書類
- その他の労働関係に関する重要な書類
採用時に提出された履歴書も「雇入れに関する書類」の例として保存対象に含まれます。
応募時の情報を一括管理せず、書類ごとに保存義務を確認することが必要です。
社内では、書類名・保存期間・起算日を対応させて管理すると、法定期間内の誤廃棄を防ぎやすくなります。
保存期間5年と経過措置による3年の違い
労働関係書類の保存期間は、法律上の本則は5年ですが、現在は経過措置により3年です。
「5年」と「3年」は適用関係が異なり、どちらかが誤りではありません。
2020年4月施行の法改正により、労働基準法第109条の保存期間は従来の3年から5年へ延長されました。
ただし、経過措置として当分の間は3年が適用されています。
整理すると、現在の扱いは次のとおりです。
- 本則:5年間
- 経過措置:当分の間は3年間
そのため、現時点で法定保存期間として適用されるのは3年です。
社内規程でも本則と経過措置を分けて記載すると、制度変更時にも対応しやすくなります。
個人情報保護法・職業安定法における不採用者情報の取り扱い
不採用者の応募者情報には、個人情報保護法上の一律の保存年数はありません。
保管期間は、情報を利用する目的や必要性に応じて企業が設定します。
また、職業安定法では、応募者の個人情報を
募集業務の目的達成に必要な範囲で収集・保管・使用することが原則です。
たとえば、選考結果への問い合わせ対応を目的に保管する場合は、その目的に必要な期間を設定します。
別の目的で利用する場合は、本人への説明や同意が必要になるケースもあります。
個人データは、利用する必要がなくなった場合に遅滞なく消去するよう努めることが求められます。
保管目的・期限・削除方法をあらかじめ決めておくと、不要な長期保管を防ぎやすくなります。
不採用者の応募者情報における保管期間の決め方
不採用者の応募者情報には一律の法定保存期間がなく、企業ごとの判断が求められます。
ここでは、法定期間が定められていない理由と、保管期間を決める際の判断基準を整理します。
不採用者には一律の法定保存期間が定められていない
不採用者の応募者情報には、一律の法定保存期間は定められていません。
個人情報保護法でも、保存年数や廃棄時期そのものは一律に規定されていないためです。
そのため、採用者に適用される労働関係書類の3年・5年という保存期間を、
不採用者へそのまま適用する必要はありません。
保管期間は、選考結果への問い合わせ対応など、情報を保有する目的と必要性を踏まえて企業が設定します。
職業安定法上も、募集目的の達成に必要な範囲での保管・使用が原則です。
保管する目的と期限をセットで定めることが管理のポイントです。
目的を終えた情報を適切に削除・廃棄できれば、不要な長期保管を防ぎやすくなります。
6か月・1年などの保管期間を設定する判断基準
不採用者の応募者情報を6か月・1年など保管する期間は、法律で一律に決められているものではありません。
利用目的と必要性に応じて企業が設定する期間です。
判断する際は、選考結果への問い合わせ対応や再応募時の確認など、何のために情報を残すのかを明確にします。
その目的に必要な期間を基準に考えると整理しやすくなります。
あわせて、応募者に保管理由や期間を説明できるかも確認するとよいでしょう。
理由が曖昧なまま長期保管すると、管理負担や情報漏洩のリスクが高まります。
保管目的・期間・期限後の処理方法をセットで決めることがポイントです。
根拠のある基準を設ければ、過不足のない管理につながります。
応募者情報の保管期間を数える起算日の考え方
応募者情報の保管では、期間の長さだけでなく、いつから数えるかによって管理期限が変わります。
ここでは、採用者と不採用者・辞退者に分けて、起算日の考え方を整理します。
採用者の応募者情報における保管期間の起算日
採用者の応募者情報は、保存年数だけでなく、書類ごとに異なる起算日を確認する必要があります。
同じ「3年保存」でも、数え始める日が異なるためです。
主な労働関係書類の起算日は、次のように定められています。
| 書類 | 起算日 |
|---|---|
| 労働者名簿 | 死亡・退職・解雇の日 |
| 雇入れ・退職に関する書類 | 退職・死亡の日 |
| 賃金台帳 | 最後に記入した日(※) |
(※)賃金の支払期日が最後の記入日より遅い場合は、その支払期日が起算日となります。
たとえば、履歴書など雇入れに関する書類は、入社日からではなく、
原則として退職または死亡の日から保存期間を数えます。
社内規程では、「保存年数」と「起算日」をセットで管理することがポイントです。
期限まで明確にしておけば、早期廃棄や管理漏れを防ぎやすくなります。
不採用者・選考辞退者・内定辞退者における起算日
不採用者・選考辞退者・内定辞退者には一律の法定保存期間がないため、
企業が保管期間と起算日をあわせて定めます。
起算日は、担当者ごとに判断が分かれないよう、選考結果の通知日や辞退確定日など、
客観的に確認できる時点を基準にすると管理しやすくなります。
たとえば、次のような設定が考えられます。
- 不採用者:選考結果を通知した日
- 選考辞退者:辞退の連絡を受けた日
- 内定辞退者:内定辞退が確定した日
起算日と削除予定日をセットで記録することがポイントです。
期限を一覧で管理すれば、削除漏れや不要な長期保管を防ぎやすくなります。
タレントプールや再応募を目的に応募者情報を保管する際の注意点
不採用後も応募者情報を残す場合は、将来の活用目的や保管の必要性を明確にする必要があります。
ここでは、タレントプールや再応募を目的に情報を保管する際の注意点を整理します。
将来の採用を目的として応募者情報を保管する場合の取り扱い
将来の採用を目的に応募者情報を保管する場合は、
タレントプールへの登録や求人案内まで利用目的を明確にする必要があります。
当初示した利用目的の範囲を超えて情報を保管・使用する場合は、
新たな利用目的を示したうえで、原則として本人の同意を得る必要があります。
採用選考と将来の求人案内を同じ目的として扱えるとは限りません。
たとえば、不採用者をタレントプールへ登録するなら、利用目的や保管期間をあらかじめ整理します。
期限到来時に継続保有の必要性を見直す仕組みも有効でしょう。
「将来採用するかもしれない」という理由だけで漫然と保管し続けないことがポイントです。
目的と期間を対応させることで、適切な情報管理につながります。
本人の同意がある場合でも無期限保管を避ける
本人から応募者情報の保管について同意を得ていても、
必要性を確認せず無期限に保管し続けるのは避けるべきです。
同意があることと、継続して情報を保有する必要があることは別問題です。
将来の求人案内などの目的がなくなれば、保管を続ける合理性も薄れます。
そのため、保管期限や見直し時期をあらかじめ設定し、
期限到来時に継続保有の必要性を確認する運用が適しています。
個人データは、利用する必要がなくなった場合に遅滞なく消去するよう努めることが求められます。
同意だけに依存せず、利用目的と必要性に沿って管理することが適切です。
応募者情報を安全に保管する方法
応募者情報は、保管期間だけでなく、保存場所や媒体に応じた安全管理も欠かせません。
ここでは、紙・ATSやクラウド・メールなど、保存先ごとに必要な管理方法を整理します。
紙の履歴書・応募書類を安全に保管する方法
紙の履歴書や職務経歴書は、紛失・盗難・不正閲覧を防げる環境で保管する必要があります。
個人情報が多く含まれるため、誰でも触れられる状態は避けるべきです。
具体的には、次のような管理方法が考えられます。
- 鍵付きキャビネットや施錠できる保管室を利用する
- 閲覧できる担当者を採用業務に必要な範囲へ限定する
- 持ち出しやコピーに関するルールを決める
- 保管期限や廃棄予定日を記録する
また、採用者・不採用者など対象者ごとに分けて管理すると、期限を迎えた書類を把握しやすくなります。
保管場所・閲覧者・保管期限を一体で管理することが、安全な紙書類管理の基本です。
保管状況を把握できる仕組みが、紛失や廃棄漏れの防止につながります。
ATS・クラウドなど電子データを安全に保管する方法
ATSやクラウド上の応募者情報は、アクセス権限と保管期限を明確にして管理することが基本です。
電子データは複製や共有がしやすいため、権限設定が不十分だと情報漏洩につながるおそれがあります。
閲覧・編集できる担当者は必要最小限に絞ります。
主な管理項目は、次のとおりです。
- 閲覧・編集権限を担当業務に応じて設定する
- 異動者や退職者の権限を速やかに見直す
- 応募者ごとに保管期限や削除予定日を設定する
- 不要なダウンロードや複製を抑えるルールを設ける
ATSなどで情報を集約すると、保存先や削除時期を把握しやすくなります。
「誰が見られるか」と「いつまで残すか」を一体で管理することが、安全な運用につながります。
メール・共有フォルダ・個人PCなどの保存先を確認する
応募者情報はATSだけでなく、メール・共有フォルダ・個人PCなど複数の保存先に残る可能性があります。
削除時は、社内の保存場所を横断して確認する必要があります。
たとえば、履歴書をメールで受け取った後にPCへ保存したり、
共有フォルダへコピーしたりすると、同じ情報が複数箇所に残ります。
主な確認先は、次のとおりです。
- ATSや採用管理システム
- メールやチャットの添付ファイル
- 共有フォルダやクラウドストレージ
- 担当者のPCやダウンロードフォルダ
保存先ごとに削除対象と処理方法を決めておくことがポイントです。
確認範囲を明確にすれば、ATSだけを削除して情報が残存する事態を防ぎやすくなります。
保管期間を過ぎた応募者情報の削除・廃棄・返却方法
保管期間を終えた応募者情報は、媒体や保有状況に応じて適切な方法で処理する必要があります。
ここでは、紙・電子データの処分方法と、応募書類を返却する際の対応を整理します。
紙の履歴書・職務経歴書を安全に廃棄する方法
保管の必要がなくなった紙の履歴書や職務経歴書は、
個人情報を復元・判読しにくい方法で廃棄することが基本です。
具体的な処理方法には、次のようなものがあります。
- シュレッダーで細断する
- 機密文書の溶解処理を利用する
- 機密文書の廃棄を扱う専門業者へ委託する
一般ゴミへそのまま捨てるのは避けます。
外部業者へ委託する場合も、処理方法や個人データの取扱体制を確認しておくと安心です。
廃棄方法・実施者・処理日を明確にすることで、廃棄漏れや情報漏洩を防ぎやすくなります。
必要に応じて廃棄証明書などで処理完了を確認できる体制も有効です。
ATS・クラウド・メールなどの電子データを削除する方法
電子データを削除する際は、ATSだけでなく、応募者情報が残るすべての保存先を確認することが必要です。
履歴書や職務経歴書は、ダウンロードや転送によって複数の場所に残る場合があります。
ATS上の情報だけを削除しても、完全に消去できたとは限りません。
主な確認先は、次のとおりです。
- ATSや採用管理システム
- クラウドストレージや共有フォルダ
- メールやチャットの添付ファイル
- 担当者のPCやダウンロードフォルダ
期限到来から削除完了までの手順と確認担当者を決めておくことがポイントです。
保存先を横断して確認できる運用にすれば、コピーや添付ファイルの削除漏れを抑えやすくなります。
不採用者へ応募書類を返却する際の対応方法
不採用者へ応募書類を返却する場合は、返却方法や取り扱い方針をあらかじめ統一しておくことが大切です。
なお、個人情報保護法上、履歴書そのものの返却義務は定められていません。
返却するか、自社で適切に廃棄するかは企業の方針によります。
応募時や選考案内の段階で、返却の有無を明示しておくと説明の行き違いを防ぎやすくなります。
郵送で返却する場合は、次の点を確認します。
- 宛先や氏名に誤りがないか
- 別の応募者の書類が混在していないか
- 封入後の最終確認を誰が行うか
返却方法・廃棄方針・確認手順まで社内で統一することが、誤送付や説明不足を防ぐポイントです。
担当者が変わっても同じ対応を取れる状態にしておくと安心でしょう。
応募者情報の保管期間を社内ルール化する5ステップ
応募者情報の管理は、担当者任せにすると保管期限や削除方法にばらつきが生じやすくなります。
ここでは、情報の洗い出しから運用ルールの見直しまで、社内ルール化の手順を5段階で整理します。
1.社内で保有する応募者情報を洗い出す
社内ルールを作る最初のステップは、自社が保有する応募者情報と保存先をすべて洗い出すことです。
紙と電子データの両方を対象にし、次のような保存先を確認します。
- 履歴書や職務経歴書などの紙書類
- ATSや採用管理システム
- メールやチャット
- 共有フォルダやクラウドストレージ
- 採用担当者のPC
洗い出した情報は、「情報の種類・保存先・対象者」を一覧化すると整理しやすくなります。
採用者と不採用者を区別しておくと、後の保管期間設定にもつながります。
最初に情報の所在を可視化しておくことで、保管期限や削除方法を決める際の抜け漏れを減らせます。
2.応募者情報ごとの利用目的を整理する
応募者情報の保管期間を決める前に、情報ごとの利用目的を明確にすることが必要です。
目的が曖昧だと、不要な情報まで長期間残しやすくなります。
たとえば、次のように整理できます。
- 履歴書:選考や採用後の確認
- 面接記録:選考経緯や評価内容の確認
- 適性検査結果:採用判断に必要な範囲での利用
情報ごとに「何のために保有しているか」を一覧化すると、現在も残す必要があるか判断しやすくなります。
利用目的と保管の必要性を対応させて整理することで、各情報に適した保管期間を設定しやすくなります。
3.対象者ごとに保管期間を設定する
応募者情報の保管期間は、採用者・不採用者・辞退者など対象者ごとに分けて設定することが基本です。
採用者は、法定保存期間が定められている書類を確認します。
該当する場合は、社内ルールより法令上の保存期間を優先する必要があります。
一方、不採用者や辞退者には一律の法定保存期間がありません。
選考結果への問い合わせ対応など、利用目的と必要性を基準に期間を決めます。
対象者ごとに保管期間と期限後の処理をセットで定めることで、不要な長期保管を防ぎやすくなります。
4.保管期間の起算日と削除・返却方法を決める
保管期間を設定する際は、何年間保管するかだけでなく、起算日まで明確にすることが必要です。
起算日が曖昧だと、削除時期にばらつきが生じます。
たとえば、不採用者は結果通知日、辞退者は辞退確定日を基準にする方法があります。
採用者は、書類ごとに法令上の起算日を確認します。
あわせて、期限後に削除・廃棄・返却のどれを行うかも整理します。
紙と電子データでは処理方法が異なるため、対象ごとに手順を分けると分かりやすいでしょう。
起算日と期限後の処理方法をセットで定めることで、担当者が迷わず対応でき、削除漏れも防ぎやすくなります。
5.定期的な削除と運用ルールの見直しを行う
応募者情報の管理ルールは、作成して終わりではなく、定期的に運用状況を確認することが必要です。
確認時は、保管期限を過ぎた情報が残っていないかをチェックします。
ATSや共有フォルダだけでなく、メールや担当者PCも対象です。
また、採用手法や利用システムが変われば、保存場所や管理方法も変わります。
必要に応じてルール自体を更新する必要があります。
確認日・担当者・削除状況を記録することで、期限切れ情報の放置や運用の形骸化を防ぎやすくなります。
応募者情報の保管期間に関するよくある質問
応募者情報の管理では、廃棄や電子化後の扱いなど、判断に迷いやすい場面があります。
ここでは、履歴書の処理や面接メモ・適性検査結果の管理について、よくある疑問を整理します。
不採用者の履歴書はすぐ廃棄・返却してもよいですか?
不採用者の履歴書には一律の法定保存期間がないため、
保管する必要がなくなっていれば廃棄・返却を検討できます。
ただし、選考結果への問い合わせ対応など、合理的な利用目的が残っている場合は、
その目的に必要な期間だけ保管する方法もあります。
また、個人情報保護法上、企業に履歴書そのものの返却義務があるわけではありません。
ただし、保有個人データに該当し、利用する必要がなくなった後に
本人から利用停止等の請求を受けた場合は、一定の場合に対応が必要となります。
返却するか自社で廃棄するかは、あらかじめ方針を定めておくとよいでしょう。
応募時に示した取り扱い方針と実際の処理を一致させることがポイントです。
保管・返却・廃棄の基準を統一すれば、担当者による対応差も抑えられます。
紙の履歴書を電子化した後に原本を廃棄してもよいですか?
紙の履歴書を電子化した後に原本を廃棄する場合は、
電子データが必要な保存要件を満たしているか確認することが必要です。
労務関係書類は、必要事項を画面表示・印字でき、求められた際に提出できるなど、
一定の要件を満たせば電子保存が認められています。
確認したい主な点は、次のとおりです。
- 必要な内容を画面上で確認・印字できる
- 必要時に速やかに提出できる
- 誤って消去されない仕組みがある
- 法定期間にわたって保存できる
紙をスキャンしただけで直ちに原本を廃棄するのではなく、保存要件と社内規程を確認して判断するのが適切です。
原本を処分する場合も、復元・判読されにくい方法で廃棄します。
面接メモや適性検査結果も応募者情報として管理が必要ですか?
面接メモや適性検査結果も、応募者個人と結び付く情報であれば適切な管理が必要です。
履歴書だけが応募者情報に当たるわけではありません。
たとえば、面接官の評価コメントや選考結果、適性検査の結果なども対象になり得ます。
職業安定法上も、求職者の個人情報は募集目的に必要な範囲で扱うことが原則です。
保管する場合は、閲覧できる担当者を必要な範囲に限定し、選考終了後も残す理由があるか確認します。
情報の形式ではなく、誰の情報か識別できるかを基準に管理することがポイントです。
必要性を確認しながら、履歴書以外の選考データも含めて管理するとよいでしょう。
応募者情報の保管期間は対象者と利用目的に応じて設定する
応募者情報の保管期間は、採用結果や情報の種類によって異なります。
採用者には法定保存の対象となる書類がある一方、不採用者や辞退者には一律の法定期間がありません。
採用者の労働関係書類は本則5年ですが、現在は経過措置により当分の間3年です。
書類ごとに起算日も異なるため、保存年数とあわせて確認する必要があります。
不採用者や辞退者は、利用目的と必要性をもとに企業が保管期間を設定します。
紙だけでなく、ATS・メール・共有フォルダなども管理対象として把握しておくことが欠かせません。
対象者・利用目的・保管期間・起算日・処理方法を社内ルールとして整理することが適切な管理の基本です。
定期的に見直すことで、不要な長期保管や削除漏れの防止につながります。